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あれから俺達は美術館を出て、バス停まで来ていた。癒姫華とずっと話しながらも頭の中はさっきのことばかり考えてしまっていた。
今日がもしあの日の前日を指しているとして、だとしても明日が9月21日の可能性もある。もし、時間が進んでる場合であるなら明日があの日になるが、入れ替わってるだけだとしたら21日になる。だけど、俺は…
「あ、アリン。明日も遊ばない?一応課題が出てるんだけど学校で昨日終わらせてきたから遊べるの!」
「癒姫華凄いな。うん、遊ぼう。あ、でも…」
「どうしたの?」
「…ごめん、今日は一緒に帰れそうない。あと、明日も遊べるか…」
「え、?なんでなんで?!」
そりゃ、そうなるよな…言うしかないか
「シスに行きたいんだ。この傷のために」そして俺は結んでいる髪を横に流し彼女に見せた。
「一見…普通の傷に見える。だけど触ってしまえば、気を失うんだよ」俺はついに傷のことを彼女に明かした。もう隠しても意味ないと今日のことで察したから。
「…そうなんだ。どうして隠していたかは聞かない。だけど、それとシスには何の関係があるの?」
「さっき言った絵画の何かがこの傷と同じ形をしていた。そしてもう一つ。このシウルが鳴る11月12日3:50…つまり、あのタイトルと数字が完全に一致している。cはつまり、comeということ。『戻れ』って意味だ。そしてあの絵画の風景はシスの街並みを表していた。図書館で読んだ街並みと全く同じだ」
「なるほどね…それじゃあ、私もついていかせて」
「何言ってるんだ、癒姫華。何があるか分からないし家の人が心配する」
そう、癒姫華は俗に言うお嬢様だ。両親は過保護なためなに不自由しないように常に目を光らせている、ある意味俺からしたら怖い人だ。
「大丈夫だよ!今日はアリンと出掛けるって言ってるし朝になってもアリンと一緒に泊まったんだって言えばうちの親許してくれるから」
「…確かに、そうかもしれないが…」
彼女の両親は何故か異常に俺のことも気に入ってくれており、絶大な信頼と期待を寄せて下さっている。だけど何より、もし、万が一何か癒姫華にあったらどうなるか…
「反対されても私アリンについていくから」俺の目を真っ直ぐ見て彼女は言った。
「…分かった。君に“何か”がないよう絶対守ってみせる。あと、傷の話を少し君にしよう」