コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「…」
ギィンッ!!!
間一髪、刃をガードする
かな「…クソっ、キリがない…」
かな「やりすぎると私の体力が…」
かな「…あんたの目的は!?」
かなは男をギロりと睨みつける
男は攻撃の手を止めたかと思うと、口を開く
「貴方と、貴方の妹」
「そして_」
「sepia。」
かなにとっては聞き覚えのない声だ、sepiaと同じくらいであろう、若い男の声
「貴方と妹は捕らえる、裏切り者は殺す。」
社長にも、sepia達にも、それほど時間は残されていない
sepiaの思惑はmiaに伝わっているし、sepia達もいつでも計画を実行できる状態にあるのだ。
かな「…私は、できるのなら誰も殺したくない」
かな「でも…仲間を殺そうと考えるなら、私だって黙ってられないから」
かな「悪にだって、なんだってなるよ。」
2人は走る
走る時に吐き出した白い息で、降らなくなった雪に思いを馳せてみる
ガンッ!!
遠くから、ふたつ、金属の擦れ合う音が響き渡る
りさ「…リボルバー、多分かながあそこで戦ってる!」
そう叫びながらりさは音の方向へ指を指す
リボルバー「えぇ、かなさんを助けましょう!!」
2人はより急いで走った
次第に大きく、耳を刺すような音に変貌していく金属音に飛び込むかのように、そのペースを早め続ける
リボルバー「りささん!!あそこです!!」
リボルバーはかなの姿を捉えると指を指し、りさに今日有する
りさ「ありがとう、リボルバー!」
かなはピストル一丁で剣に応戦していた
かなも少し傷を負っている、このまま応戦しなくてはいつか負けてしまう
リボルバーは自分の持つ”本物のリボルバー”を構え、ヘルメットの男に向け即座に発砲した
咄嗟に反応出来なかった男のヘルメットが砕け
散った
その素顔は、
男「 …はっ、はあ…」
男「. ..あ、あぁ、あ」
ヘルメットが砕け、その顔が露になると男は明らかに取り乱し始める男「しゃ、社長に怒られる、嫌だ社長に、ころ さっ…」
男はひどく怯える、涙がとめどなく流れる、顔が動揺でぐちゃぐちゃになり、声が弱々しく震えていた
3人は男の様子に目を見開き、思わず声をかける
かな「君!!もしかしなくてもmiaの社長に関係があるんだよね!!?」
男「…ちが、べつのしゃっ…」
かな「言い逃れはさせないよ、私の名前、私にいる妹、そしてsepiaの事もあんたは知ってる!」
かな「miaの関係者じゃないとおかしいでしょ!!?」
かなは男に掴みかかり、そう怒鳴る
男も流石にダメか、と言わんばかりに汗をかきながら俯くと、miaの関係者であることを認めた
りさ「…君のところの社長なら、私達が殺してあげる」
男「…社長を…殺す…」
男「…なら僕は、その後どうすれば…」
男は弱々しく呟く
リボルバー「…貴方が決めるんですよ!」
男「…」
男は肩を震わせる
男「…」
男「………あたまの止まった僕には、なにも決められない…なにも…」
男は思考停止状態にある、指示を待ち、その通りに遂行する、そんな人間に成り果ててしまった。
りさ (…明らかにカウンセリングが必要な状態ね。)
りさ (…社長を殺すことについて、あまり嬉しそうにはしなかった、なら社長の事も…嫌いではないのかな)
りさ (…いや、そうだろうな、一応同じ理念を持った者同士、仲間割れはきっと望んでいなかった)
そこに、入院着を着たsepiaが現れた
男「…っ!!」
男は反射的に刀を構えるが、それをすぐに下ろす
sepia「…ごめん、俺が…道を違えたから」
sepiaは男にゆっくり近付くと、男の傍でしゃがんだ
sepia「…ごめん、”ケヤキ” 」
未だ、束の間の日常を想うことがある
二人で酒を飲み酔いつぶれた、
二人で共同作戦をした、
sepia「…全部大切な思い出だって心から思ってるんだ。」
ケヤキ「…sepia…」
ケヤキ「ならどうして…」
sepia「…大きな特異点が、あったんだよ」
それこそが 兄、そしてかな なのだ。
タヒんだはずの”兄”との出会い、同じような経験をした”かな”とsepiaは認め合う関係となった
それが大きく、sepiaの考えを変えた。
sepia「お前が社長のこと心の底から尊敬”してた”のも知ってる、言葉は強いけど、あいつは賢かった」
ケヤキ「………」
ケヤキは俯いたまま黙っていた
まるで力が抜けきってしまったかのように
ケヤキ「…わからないよ」
脳そのものが、フリーズしたかのように
“わからない”
そう呟くと、ケヤキは呼吸以外のアクションを一切起こさなくなる
澄んでいた空気が、その瞬間だけ澱み、吸いにくくなる
sepia「…こいつ、俺の同僚なんだよ。」
sepia「…1番意気投合したし、こいつに悲しんで欲しくない」
sepiaは下を向くケヤキと対象的に、曇った空に視界を移して、黄昏れるかのように呟く
sepia「…何が、正解なんだろうな」
sepia「俺…頭わりぃから分かんねぇよ」
声は空気と溶け合う
雑踏は全員を無視して流れる
時間も、何もかも、苦しむ人間を微塵も見ていない
もはやそういう世界なのだ、エイビオ、否、この地球において 命は軽い、機械も、人も同じくらい
全員がそのことをとうに理解している、過去の任務、β地区、そして今回の任務
全部全部、なにかしら命は失われて、因縁が生まれて、また失って
失う、恨む、失う、恨む、失う_
繰り返す、まるで生命の輪廻のように
りさ「…そんなに単純な話じゃないのね、分かってはいたことだけど…。」