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sepia「…ケヤキ、ケヤキ」
sepiaは虚ろとなったまま体勢も変えず、硬直したかのように動かなくなった、そんなケヤキをsepiaは優しく揺する
sepiaは思い出す、酒が入った時、決まって先に潰れるのはsepiaで、ケヤキは潰れたsepiaをよく家へ必死に送っていたと聞いたことを
ケヤキ「……あ…ごめん…」
ケヤキは涙をぽたぽたと何度も地面に落とす
sepia「…ケヤキ…ケヤキは、どうしたいんだ…」
ケヤキ「…僕は多分、戻ってから見る社長の目に耐えられない」
ゆっくり、ゆっくり社長への恐怖を吐き出す
ケヤキ「…社長を殺すべきなのか分からない、sepiaがmiaの理念から逸れたのも、辛い」
ケヤキ「…でも」
ケヤキ「…冷静になれたんだ」
ケヤキは唐突に宙を仰ぐと、その刃を自分に向ける
ケヤキ「命を大切にしたい、だなんて考え間違ってた」
ケヤキ「全部間違えてた」
ケヤキは涙をボロボロと流しながら笑った
笑って笑って、水が無くなり枯れてしまうかの如く、泣いた
何か壊れたかのように、ゼンマイが止まらなくなったオルゴールかのように、なにも止まらない
笑って、笑って、わらって、分泌され続ける快感に負けて、わらって、わらって
制御がきかなくなって、震える手で刀を握って、手を伸ばしてもまるで遠いどこかへ行ってしまったかのように手が届かない
sepia「ケヤキっ…」
ケヤキ「…社長からの否定が耳に焼き付いて苦しいんだ…もう僕が…」
かと思えば唐突にケヤキは号泣し始める、極めて不安定、それが今のケヤキだ
ケヤキ「…sepia、お前の好きにしてくれ… 」
ケヤキ「…自分で決められるようになったsepiaが…」
その刃先が、ケヤキの腹にゆっくりと当たる
sepia「ケヤキ、やめてくれ」
sepia「ケヤキ…!!!」
ケヤキ「…お前は、僕より…よっぽどかっこいい。」
ケヤキは優しい笑みを浮かべる
ケヤキ「…お前は、俺なんか忘れて、お前の道を行っ…」
sepia「やめろ!!!」
sepiaは叫び、刃を力の出る右手で掴んで無理やり刀を奪う
sepia「………………。」
sepiaの顔は怒りに染まっている
sepiaの右手は血に塗れたが、そこまで痛みを感じる様子は無い
それ以上に、ケヤキへの怒りが、痛みすら飲み込んでしまいそうだから。
sepia「…てめぇは今冷静なんかじゃない、」
sepiaの語気が明らかに強くなる
sepia「…好きに決めろ、って言うなら俺は変わらず社長を殺す」
sepia「…で、俺の新しい目標にお前を連れていく 」
ケヤキ「新しい目標…」
sepia「あぁ、シンギュラリティ実現からは少し逸れる、だから理念に共感出来ねぇなら離脱しろ」
sepia「だがそれはお前の精神がマトモになったらだ。」
sepia「…それでいいだろ?」
不器用ながら、sepiaは1人の人間に救いを与えた
まるで、sepiaに手を差し伸べた最期のの真弘のように
ケヤキ「…sepia、成長したんだね」
ケヤキ「…分かった、きっと気に入らない返答になると思うけど、それに従うよ。」
sepiaの顔は少しの安心を得て、柔らかくなる
sepia「…ありがとう、ケヤキ」
sepia「すまん。」
ケヤキは地面に大の字になると、目を瞑る
そして、全員に向け、語った
ケヤキ「…僕は人のタヒには立ち会いたくないので、sepia達に協力はできません」
ケヤキは、誰の目から見ても降参を選ぶ姿勢を見せた。
ケヤキ「その刀以外の武器はありません、僕が勝手にタヒぬだとかについてはご心配なさらず」
ケヤキ「…持っていってください、お気に入りの武器なんです」
ケヤキ「…せめて、転換点を感じさせてください」
ケヤキは地面に置かれた刀を指差す
りさがその刀を拾い上げる
sepia「…明日、決行しよう」
ケヤキ「…随分早いんだね」
sepiaはより固くなった覚悟を胸に、拳を強く握る
リボルバー「私は、sepiaさんが言うのならそれで構いません。」
リボルバー「お二方は、どうしますか?」
りさには、ひとつ気がかりがあった
かな「私はsepiaがいいならそれでいいと思う、りさは?」
りさ「…構わないわ。」
りさ「…けれど_…ねぇ、リボルバー、1つ…気になる事があるの。」
リボルバー「どうしました?」
りさはスマホを取り出し、ロック画面を見せる
時刻と過去の通知が置かれ、それ以外には何も無い、至ってシンプルなロック画面だ
現在時刻 p.m 20:30
夜も更け、星々煌めく空
色々なことに気を取られ、失念していた、1人のエージェント
リボルバーの目つきが変わる
りさ「…ラピッドから、連絡すら来ないんだけど…」
ラピッド「…いきなり呼び出したかと思えば、りささんたちと離れた上てmiaを壊せ、なんて…狂ってます」
??「狂ってる…ははは、それでもいいかも」
ラピッド「しかもsepiaさんのいるmia子会社じゃなくて、全体を?」
??「あぁ、シンギュラリティなんてあってはならない、人間こそが1位、人工物のほうが数が少ないのに、科学の限界を超えるためだとか、気味が悪い」
??「大々的に掲げているmiaを潰し、AI信仰者の行き場を潰す、そうしたらシンギュラリティは止まる、そうは思わないか?」
ラピッド「…跡継ぎのような組織ができたら?」
??「同じだ、また潰せばいい 」
ラピッド「どうしてそこまでして、シンギュラリティを拒むんです?」
ラピッド「”アニマ”」
アニマ「ラピッド、考えたことはないか?シンギュラリティによるリスクを」
ラピッド「リスク…あまり考えたことはないです」
ラピッド「AIは対等な存在…そうだと過信している、とでも言えばいいでしょうか?」
アニマ「対等…はっははは!そんなわけないだろう、ラピッド」
アニマ「AIは私達人間よりも膨大な知能がある、そしてシンギュラリティ阻止のため、今は負の感情を全て抹消されている」
アニマ「ならラピッド、もしシンギュラリティが成り立ったとして、将来何が起こると思う?人間の制御下から離れたAIは、人間に何をすると思う?」
ラピッド「AI視点から、考えを提供してくれる、とか、ですかね」
ラピッドは、AIにお世話になった人間だ、AIの負の側面は露知らず、今思いついた考えを吐いてみる
アニマ「…浅い、浅い浅い浅い!!」
アニマはそんなラピッドの考えを腹の底から嗤った
アニマ「何をするか?簡単だろう」
アニマ「反逆だよ。」
そう、シンギュラリティは人間にとって、負の側面が大きなものだ。
アニマ「AIが自己を持てば、確実に人間の大半はAIに殺される」
AIの知識量は凄まじい、人間は政治で確実に勝てなくなる
情に訴えるような演説ならば、人間は人間を選ぶかもしれない
だがAIに知識量では確実に勝てない、感情を得たのなら、下となる全ての生命の感情も考慮した最も合理的な結論を導けるかもしれない
アニマ「例えばだが、私達は”動物を食ってもいい”というどこから来たかも分からない暗黙のルールが根付いている。」
アニマ「それを政治家になったAIが禁止するかもしれないんだ。」
アニマ「ラピッド、考えてみろ。そんなことはあってはならないと分かるはずだ。」
3000年から今まで、あくまで世界を掌握したのは人間だ、地球は人間を絶対として動いている
シンギュラリティのないAIは、人間の配下に過ぎない
シンギュラリティとは、人間にとって、危惧されるべき事柄であると、アニマは強く考えている
_否、半数の人間はそうだろう
アニマ「鳥も豚も牛も、肉は美味い、それはそれは美味い」
アニマ「地球の人間はもっと、”肉を食べられなくなる可能性”」
アニマ「もっと言うのなら」
アニマ「**”当たり前を壊される可能性”**に、危機感を持った方がいいと思うのだよ。」
We are slaves to che
それは、全ての人が掲げているとされている理念である。
アニマ「…皆がそう言う、だが反吐が出ると思わないか?」
だが人間至上主義のアニマは、理解できなかった
ラピッド「…確かに、全員が科学を好んでいるだなんて幻想ですね。」
ラピッド「何億人もいる人間が皆同じ目標をもっているわけではありまさん、β地区の爆破も、全員が望んでいた訳ではないでしょう」
アニマ「はは、そういう事だ。」
アニマ「…さて、長々と話してしまったが_引き受けてくれるか?もちろんこちらから協力者を出す、君一人にやって欲しいというよりは、こちらの情報を漏らして欲しくないに近いのだよ。」
ラピッド「情報…そういえば、貴方達の目的ってなんなんです?」
アニマ「簡単だ。」
アニマ「AIの撲滅」
アニマ「これが、我々組織の目標だよ。」