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第三話(途中まで冨土原と末崎が会話してるだけです)

「おーい、冨土原帰ろー」

「わかったー」

放課後。今日は色々あったので何だか一日が凄い長く感じられた。主に花園さんで。

「なんかさ、ここ数日で結構雰囲気変わったよな、お前」

「そうかな」

「好きな人でもできた?」

「う゛ん!!?いや、いないから!!いない!」

「分かりやす」

なんかベタな反応をしてしまった…。

「というか、末崎は好きなヤツとかいんの」と素早く話題を転換する。

「異性だったら母さんかな」

「うっわーつまんな。マザコン?」

「ひっど!?」

「お母さん以外!」

「恋愛対象として見ないなら冨土原だな」

「きも」

「お前が言ったんだろ!!それより冨土原の好きなひとは!?」

「だからいないって!」

「いるって!」

「いない!!」

「いる!!」

「いるよ…」

「い・・・だれ!?」

「教えない」

「教えなさい。さっきもやっただろこれ」

「花園さん」

「口軽いな…友達が俺だけで良かったな」

「それは関係ないだろ!」

「つーかなんか意外」

「俺も意外。」

「なんですきなの?」

「うーん、気の置けないところというか…」

「冨土原って俺以外と落ち着いて話せるの!?」

「失礼だな!そりゃ最初はどもりまくってたけどさあ!」

「でもなんか違う気がする」

「何で末崎が言うんだよ…まあ考えてみればそれは花園さんと話せるようになってからだから、一番最初の理由ではないね。

でも正直意識し始めたときのこと、なんにも覚えてないんだ。というか、そもそもあったのかすら謎」

「たしかに好きに理由は無いっていうもんな…花園かあ…意外と不思議な感じだったよなあ…一番あり得るのはやっぱ容姿かな」

「それは無いかなあ…人の顔とか見れないし…」


その放課後から翌日、陸上部がいつもみたいに朝練で校庭を回っている中に花園さんがいるのを僕は見た。いつも同じようなすこし不思議な声でしゃべる彼女とは違い、真剣な顔をして誰よりも速く走る彼女の姿を僕は見たのだ。

僕が、あの日見た。



高校一年の、体育祭。陽キャの青春の大部分を占めるような行事。

太陽の日差しが肌に直接刺してくる中で、鼓膜を打つように偽の銃声があたりに響く。

実にそれらしい実況の声とともにそれぞれの選手たちが蛇みたいに一斉に走る。走る。走る。走る。バトンを渡して、受け取って。次へ。次へ。次へ。まるで蛇みたいにつながれていくバトンはすぐにアンカーに渡り、走り終わった奴らの応援の声も、実況もかつてなく興奮して大きくなる。勿論僕も少し興奮はしていた。アンカーには末崎がいる。僕にとってこのリレーの見どころなんてそれしかなかった。なのに、ただ走るだけの競技にまさか初めての「恋を」経験したのだ。僕は。

少し短いロングの女子のアンカーが、一番後ろにいた。そして一番前に居たのは末崎。対して差はなくとも末崎の一番は確実だとみんなが思っていただろう。そう思っていたら、目を奪われるような光景が、この目に映っていたのだ。「3組、2組、4組…どんどん抜かしていきます!1組頑張ってください!」そう実況が言っていたのを覚えている。他のアンカーだって十分に早いのに、一番後ろにいたクラスがいつの間にか末崎の後ろにいる。まるで前にいる相手をみんな引きずりおろしてしまうような走りともいえるのに、誰よりも凛としていた。一瞬、本当に末崎を抜かすのではないかと思った。


「優勝は…」

結果は、末崎の勝利でリレーは終わった。末崎の所に行きたいのをこらえながら、次の競技を待っていると、先ほどの女子が視界に入った。短めのロングの子は立ち止まって少し涼むように風にあたっていた。揺れる黒髪を眺めていたら不意に彼女と目が合ってしまった。慌てて目をそらし、次の競技に向かったが、はっきりと見えてしまった。

あの、透き通るような少し水色の掛かった瞳が。

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