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柘榴とAI

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#没入感フィクション
柘榴とAI

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柘榴とAI

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「ハッハッハ、未熟未熟。私の真似をするコンピューターだと聞いたので期待しましたが、修行が足りていない印象ですなぁ」
『勘弁して下さいよ……10さん。あくまでも“今までの貴方”をトレースしたモノなんですからね? ここに来て新技披露されたら、そりゃこっちのNPCは未収得ですって』
「これは失礼。古い武闘家の悪い癖でして……基本的に“全力”というモノは隠す主義なんですよ。こればかりは、申し訳ない」
それだけ言って今しがた戦った相手に一礼してから、静かに“刀”を鞘に納める。
前回の“賞金首専用装備”、本当に何でも好きな物を言ってくれとおっしゃられたので。
思わず、“刀”を要求してしまったが。
やはり……此方の方が私には馴染む。
普段はツインバレルと呼ばれる長い物を使ったり、補助武器として短いショットガンを腰に下げたり。
これ等は猟銃に近いので、私には扱いやすかったと言うだけ。
そして私の特分野は……刃物なのだ。
これまではナイフ各種を要望し、徹底的に“暗殺”を貫いてきたのだが。
どうやらこのゲームとはあまり雰囲気が合わないと言う事で。
銃も使い始めはしたのだが……未実装の装備も作ってくれると言われたら、やはり欲しいのは刃物。
一人だけ皆様と別のゲームをしている様で、非常に申し訳ないのだが。
コレが形に嵌って来たのか、本気で私を狙うプレイヤー達も現れてくれた。
いやはや、現代には存在しない闘争。
そしてここでは、いくらやっても怒られないのだから……実に、楽しい。
とはいえ、私の本来の目的はまた別にあるのだが。
「ウチの馬鹿孫は……今回に関しても、また皆様にご迷惑を掛けていないでしょうか……?」
恐る恐るサポーターに聞いてみると、相手は。
『ハ、ハハ……まぁ、えぇと、大丈夫です。1のサポーターは、結構苦労しているみたいですけど。まぁ、何とかちゃんとやって貰っているみたいです』
「本当に……本当に申し訳ありません。こうしてお仕事を頂いているというのに、あの子は我儘ばかりで……」
『いえいえいえ! 大丈夫ですって! 此方としても若い子を使う以上、ある程度は覚悟していましたから。なんたって、賞金首の中では“最年少”ですから』
子供だから、皆様そう言って下さるのだが。
ウチの孫と歳が一つ違うだけの少女が、立派にこの仕事をこなしているという話は度々聞いている。
賞金首の6番目。
直接会った訳でも無いし、サポーターの皆様も相手の個人情報を簡単に漏らす筈も無い。
が、しかし。
このゲームでは、どこに行こうと“シックス”という名を聞く。
他の賞金首の皆様とご一緒した時ですら、彼女の噂話を耳にする程だ。
なんでも素晴らしい実績を残し続け、本人はとても“良い子”なんだとか。
ついでに言うと、料理がとてもお上手な御様子。
以前参加出来なかった、賞金首とサポーターのみの謝恩会。
私も首都圏に住んでいたのなら是非参加して、爪の垢でも煎じてウチの馬鹿孫に飲ませて頂きたいモノだと何度思った事か。
「また何か我儘を言い出したら、私の方へご連絡頂ければと……きつく、叱っておきます」
『た、大変ですね……“お爺ちゃん”も。とはいえ、お孫さんと同じゲームをしているだけではなく、ここまで上り詰めているだけでも凄い事なんですけど。プレイヤネームも、お孫さんに“監視してるぞ”って伝える為だと仰っていましたもんね』
「えぇ、まぁ。この名前にしてから、一発で気が付いたらしく。ピーピーと喚いて来ましたが。道場で叩きのめしてやったら、“ゲームだったら俺の方が強い”などと威勢の良い事を言っておりましたわ」
『ほ、本当に大変だぁ……というか貴方は、リアルでもやっぱり強いんですね。“timelimit:10”。この名前も、最初は何の事だろうって思いましたけど……』
皆様方が、賞金首全員で1から10までの名前を付けようと話していた時。
私は迷わず10番目を選ばせて頂いた。
そして、“timelimit:10”と名付けたのだ。
本来だったらもう少し分かりやすく、覚えやすい名前の方が良かったのだろうが。
まぁ、本人に伝われば良いかと思って。
というのも、私の元へよく遊びに来る孫。
ゲームの才能だけはあるようで。
俺はプロとして生きて行くんだ、親父や爺さんよりずっと金持ちになるんだと。
そしたら親父や爺さんみたいな考えは古臭いって証明になる! とか何とか。
非常に調子に乗った、更には世の中を舐めている様な発言繰り返す様になったので。
「10年以内に、それだけ立派な存在になって見せるのなら。それこそお前が全て正しかったと認め、全力で褒めてやろう、褒美も考えておこう。幾度かチャンスがあろうと、その片鱗さえ見せられずに燻ってしまう人間や、一時しか輝けず消えて行く人間の方がずっと多いのが現実だ。その才能を発揮し続けて、今後“生活していけるだけの環境”を整えてみろ。生きると言うのは、お前が思っている以上に大変な事なのだ」
と、お説教した結果。
「10年もあれば余裕だっての! 実はもう“プロ”の誘い来てるし、ハイ俺の勝ちー!」
あのお馬鹿は、一度目のチャンスで調子に乗りまくった。
その結果、このガンサバイブオンラインというゲームで、賞金首の1番目を名乗っている。
お調子者過ぎるので、他の皆様に迷惑を掛けていないかと心配で……私と、私の息子。
つまりあの子の父が、胃を痛め過ぎて本当に体調を崩した程。
その結果、息子の方が私に全力で頭を下げて来たのだ。
「親父……頼む。普段ゲームをやらないって知ってるんだけど、この“ガンサバイブオンライン”ってヤツの試験を受けてみてくれないか? アイツの保護者って事で、会社の人に何度もお願いした結果……成績さえ問題無ければ、“監視役”的な意味で採用枠を考えてくれるって言ってくれたんだ。けど俺じゃ無理だ、ゲームとはいえ“戦闘”の難易度が高すぎる。なので……頼む! 親父がずっと習って来た“暗殺術”ってヤツと、“剣術”をVRで披露してみてくれ!」
という事で、私という時代遅れの賞金首が生れたという訳である。
真新しい銃ばかりのゲームなのに、刃物ばかり使うヤツがあるか……と、自分でも思うのだが。
これがまた違う形で運営の皆様の目に留まったらしく、更には私の成績も悪くなかった様で。
仮採用という形で参加し、本番を幾つか経験した後、本採用となった訳だ。
なので、この会社の皆様には……孫共々、非常にご迷惑をお掛けしていると言っても良い。
「今度また何か送りますので、会社の皆様にも配って頂ければと……お歳暮やお中元だと思って、お納め下さい」
『テンさん、本当にそういうのは気を使わなくて大丈夫ですからね? こちらとしても、皆様にそれだけの能力があるからこそ、こっちから“お願い”している状態なんですから。むしろ1と10のナンバーズが此方に来られる予定が立てば、それに合わせてまた集まる席を私から発案しますので……』
「いやはや、気を使って頂いてばかりで申し訳ない。しかしそちらに足を伸ばせる事がありましたら、是非。他の皆様にも御挨拶したいので」
そんな会話をしつつ、監視カメラに向かってペコペコ。
件のNPCテストも終わったのだから、さっさとログアウトして普通に通話すれば良いのに。
どうしても、こういう所でも年寄りの悪い癖が出る。
何かある度に、どんどんと違う話に持って行って長く付き合わせてしまうのだ。
これもまた……最近の若い人達には不評を買ってしまいそうだと、気を付けてはいるのだが。
『とにかく、そちらの話は一旦置いておくとしまして。どうですか? NPC。もっと強くしないと話にならないって雰囲気ですかね?』
「いえいえそんな。とても綺麗な太刀筋でしたし、隠れるのも踏み込むのも上手かった。なかなかどうして、苦戦させられる敵になるとは思いますよ?」
『あんなにあっさり、しかも笑いながら片付けておいて……しかしとりあえずは、コレで他の方々にもテストして頂く形で大丈夫ですか?』
「えぇ、お願いします。土俵が違えば、それこそあっさり負けてしまうでしょうが。中距離や近距離が得意な方であれば、結構良い勝負をするのではないかと」
私が共に戦った事のある方々だと……ちょっと厳しいと言う他無いかもしれないが。
特に8番目の聖職者さん。
彼女にテストしてもらった場合は、建物ごとあっさり生き埋めにされてしまいそうだ。
しかし間違いなく、1番目の孫にはこのNPCでも勝てるだろう。
色々な意味で、アイツは未熟なので。
『そうなってくると……一番良いデータが取れそうなのは6keyさんですかねぇ』
「ほぉ? 例の」
『えぇ、例の。あの人もまた、超近接戦を得意としますから。同じ土俵でありながら、戦い方は全く違う。けど似通った点も多いんですよ? シックスもステルスキルが得意ですし、一応ナイフだって使いますから。あと格闘術も』
「お、おぉ……素晴らしい」
いかん、ジジィの悪い癖が出て来てしまいそうだ。
若い子が新たな技術を覚え、成長していく姿は見ていて何よりも微笑ましい。
更に言うのなら、6番目の方は孫の一つ上。
というか誕生日が向こうの方が早いだけで、同学年だと言う話だし。
もっともっと言うのなら……その人物は、非常に素直な上に頑張り屋だという話を聞いている。
お、教えてみたい……私が教えられる古臭い技術を、その人が活かせる部分だけでも良いから。
「ちなみに、6番目の方と少しお話する事などは……」
『釘を刺す意味で言っておきますが、相手は女の子です。そして非常に過保護なお兄さんがサポーターの為、とてもガードが固いです。テンさんの“教えたい病”と、お爺ちゃん的な年齢って事を考慮すれば不可能じゃないかもしれないですけど……相手次第ですかねぇ』
「くっ! やはり厳しそうですねぇ」
私のサポーター様とそんな会話をしながらも、一旦はログアウトする事になったのであった。
その後、我々の統括とも言える早乙女リーダーから「こっちももう終わっちゃったの!?」というお言葉を頂いたが。
“こっちも”という事は……自身の分身とも言える存在に、あっと言う間に勝利した賞金首が居ると言う事か。
もしもそうならその人は、恐らく私と似たタイプか……それとも、心の中に化け物を飼っている人物なのか。
このゲームは非常に現実味がある、だからこそ面白い。
そう言った意味合いも含めて、自らと“同じ”という存在は……とても気味が悪いと同時に、“気持ちが悪い”と感じてしまう事だろう。
しかしながら、ソレをあっさりと片付けたと言う話なら。
きっとその人物は、とてつもなく“強い”と表現する他無いお方の筈だ。
是非とも、その御仁と試合の一つでもしてみたいものだねぇ……。
あぁやはり、このゲームは面白い。
色々と理由付けの為に参加させてもらっているのに、今では私もすっかり夢中になってしまっている程だ。
これ程何かに夢中になったのは、それこそ何十年ぶりだろうか?
コメント
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おお、第119話!今回は賞金首10番目「タイムリミット・テン」ことおじいちゃん賞金首の話か…!渋すぎんだろ! 銃ばっかのゲームで堂々と刀振るって「刃物の方が馴染む」って言い切るスタイル、めちゃくちゃカッケェわ。しかも「古い武闘家の悪癖で全力は隠す主義」って台詞、一味違うわね。 孫の1番目が調子乗ってるから監視役で参戦ってエピソードもめっちゃ好き。道場で叩きのめしてゲームでは名前で牽制って、おじいちゃんの愛が重いしかっこいい。シックスさんに興味津々なのもほっこりするし、この世界観の広がり方、毎回ええわ…!🔥