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## 『一匹狼ヤンキーは、風紀委員長の幼なじみに調教されました。』
#第1話:甘くない幼なじみ
「おい翔太、また第一ボタン開いてる。あと、そのネクタイの緩め方も風紀違反」
朝の3年4組の教室。
ホームルーム前の騒がしい空間に、凛とした、低く心地のいい声が響いた。
声の主は風紀委員長の宮舘涼太。この学校の全生徒から一目置かれている、完璧なる優等生だ。ピシッとシワ一つない制服を着こなし、席の後ろに立つだけで独特の緊張感を漂わせる。
「……チッ、うるせぇな。関係ねぇだろ、涼太」
教室の最背面、窓際の席。
机に肘をついて気だるそうに外を眺めていた一匹狼ヤンキー・渡辺翔太は、わざとらしく大きく舌打ちをして涼太を睨みつけた。
目つきは鋭く、口調も荒い。周囲の生徒ならこれだけで「関わったらボコボコにされる」と震え上がって逃げ出すレベルの威嚇だ。
だけど──涼太は眉一つ動かさず、むしろ楽しむようにふっと唇の端を上げた。躊躇いもなく翔太のデスクに両手を突き、顔をぐっと至近距離まで近づける。
「関係あるよ。俺は風紀委員長で、幼なじみだからね」
「っ……!? 近ぇよ、離れろ!」
「直してあげるから、じっとしてて」
すらりとした涼太の指先が、翔太の開いた襟元に触れる。
その瞬間、翔太の身体がビクッと強張った。
(やべぇ、心臓の音、聞こえてねぇよな……!?)
翔太の頭の中は一瞬でパニックに陥っていた。
睨みつけているのも、突っぱねているのも、すべては涼太のことが「好きすぎる」のを隠すための必死の防衛本能だ。絶対に報われるはずのない、昔からずっと完璧な幼なじみへの片想い。涼太に触れられた場所が、まるで火をつけられたように熱い。
「……どうして俺と目が合うたび、そんなに顔を赤くするの、翔太?」
涼太が、翔太の緩んだネクタイをゆっくりと引き上げながら、わざとらしく小首を傾げた。その切れ長の瞳は、翔太の動揺をすべて見透かしているように怪しく光っている。
「……っ、うるせぇ! 暑いだけだろ、こっち見んな……っ!///」
翔太は耳まで真っ赤に染め上げ、涼太の手をバシッと振り払って顔を背けた。
本当は、今すぐこの場から逃げ出したいほど恥ずかしくて、胸が苦しい。
「そう? 今日は随分と涼しい気がするけど」
涼太は振り払われた手を気にする様子もなく、自分の席へと戻っていく。その背中を、翔太は赤くなった顔のまま、苦いものを噛み潰したような目で見つめることしかできなかった。
「なーに朝からイチャついてんの、翔太」
「イチャついてねぇわ!!」
隣の席からニヤニヤしながら話しかけてきた特攻隊長の佐久間大介に怒鳴り散らしながら、翔太は机に突っ伏した。
分かっている。涼太は、自分がからかわれているだけだ。
あんな完璧な男が、自分みたいなヤンキーを本気で相手にするはずがない。
だけど──。
自分の席に戻った涼太が、教科書を開きながら、一瞬だけ、誰にも見せないような酷く独占欲に満ちた目で翔太を振り返ったことを、当の翔太はまだ何も知らなかった。
コメント
1件
あ〜これ完全に両片思いじゃん!翔太の「好きすぎて隠すためにツンツンしちゃう」感じがもう可愛すぎてやばいし、涼太の余裕ある風紀委員長面してるけど実は独占欲ギラギラな目線が最高すぎる。風紀委員長×ヤンキーの幼なじみって設定だけで萌えるし、最後の涼太の振り返りで「ん?こいつも狙ってる?」って気づく感じがたまらん。続き気になるわ!
𝕔𝕪_𝕣🎧❄️🫧
22
おその★
15,441