テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
注意⚠
技名が間違っているかもしれません。その時は知らせて頂けると嬉しいです。
皆静まる夜の町。 ──────昼間とは一転する世界。
そんな中、普通とは言い難い速さで地を駆ける者たちがいた。
屋根の上を音を立てずに走る「2人」は、見守るように高所から街を見下ろしていた
「ねぇお兄ちゃん、本当に上弦の鬼が出たのかしら?」
梅は少し前を走る「お兄ちゃん」と喋っていた。
飛ぶように走り続けているが、疲れて足が止まるような気配は微塵もなかった。
「…それは俺達が確認した訳じゃねぇから分かんねぇなぁ、御館様が仰っていた通り、強い鬼が出ているから…そうかも知れねぇけどなぁ」
「なるほどね。──────!!お兄ちy」
「梅っ!行くぞ!!」
彼女が声を上げる頃には、もう地面に降りている妓夫太郎。彼は急かすように声を荒げる。
タッ、と砂粒を散らして降りた梅は、兄と共に目の前にいる「敵」を睨む
その敵…鬼も気配に気づいたのか、くるりとこちらを振り向いた
二人の姿を目に映すと、ヒラヒラと舌を伸ばす。
目を細めてニヤリと獲物を見るような視線を送る姿には神経を逆撫でされるような恐怖しか湧かないが、彼らは平然としていた
「なァなァ……俺達に会っちまったって事は、もうお前に勝ち目はねぇんだよなぁ…可哀想になぁ……」
「そうね、こんな雑魚、私一人で十分よ」
「はぁ?おめぇらは鬼殺隊だろ?鬼はな…人を殺す生き物なんだよ!!おめぇらも俺に殺されて一部になる運命なんだよ!!!」
鬼が雄叫びのように言い放ち、腕がメキメキと音を立てる
次の瞬間には、両腕に同じ位の長さの刃が生えていた。
ダンッ!!
土煙が舞う。息する暇もなく、さっきの場所から鬼が飛びかかってきていた
刃が届く刹那、彼女が奴よりも素早く反応、チンッと小さな刃物の音が鳴ったかと思うと、梅は目に止まらぬ速さで日輪刀を振った
「遅いわね、欠伸が出るわ」
シャキン________
ゴトン。
鬼の向かい側にいつの間にか立っていた梅。
俺が振り返る隙もなく、スパンと頚が落とされていた
奴は大きく大きく目を見開いたが、すぐに塵となって消えてしまった
骨も何もかも消えた、ほんの数秒前に鬼がいた所を、梅はちらっと目をやっていた
「大した奴じゃなかったわね、私達を誰だと思ってるのかしら?」
火災の燃えカスのような塵が、そっと空に去る
「鬼の下っ端は感覚が鈍いんだろうなぁ。……しかし」
妓夫太郎は自然と手を鎌の方に動かしながら、突如言い出した。
その瞳はまるで、獲物を見つけた猛獣の様だ
「バレバレなんだよォ、気配を消すって事を知らねぇのか?」
シャキン!!
鎌を後ろへ大きく振った
左から右へ振った鎌には、真っ赤な血が付いていた。見下ろせば胴を切断された鬼が地面に這いつくばって倒れている
不意打ちを喰らわせる気だったろだろう。でも____彼にはそんな術は全く効かなかった。
鬼が顔に大量の汗を滲ませ、僅かに震えながら鬼殺隊の顔を見る
月光で隠されたその顔は、不意打ちを仕掛けようとした鬼にとって、恐ろしくて仕方なかった
「(…何で…気付いたんだ…!!今まで殺してきた団員は呑気に首を掻っ切られて死んでったぞ…!?反応速度がイカれてる…異次元だ…!もしかして……この鬼狩りは…!!)」
ドクンと心臓が波打った。
「(もしかしたら…もしかしなくても…”手を出してはいけない奴”に手を出してしまったのか…!?とにかく、早く再生して…………!)」
ドンッ!
「………!!」
妓夫太郎が一歩足を踏み出した
まるで両肩に岩を乗せられたかのような重圧が、鬼を押し潰す。
再生させる暇があるならば、剣士は等に頚を斬っているだろう
『我らは滅するまでだ。』心に刻まれた言葉が、彼の中で赤く輝いた
「俺達の仕事は鬼を殺す事だ、それは……お前も例外とは、数えねぇからな! 」
悪鬼滅殺
鎌に刻まれた文字が浮かび上がったように思えた
───シャキンッ
儚い刃の音が鳴る。刹那、ボロボロと砕け散る肉体があった
「ねぇそこにいる君!そんな所でうずくまってどうしたの?…何だか気味悪い匂いがするんだけど……」
人の姿がない廃墟に、かなり目立つ血を被ったような赤黒い羽織。雪のような真っ白い頭髪。
そう____童磨だ。
「君さぁ……何してるの?ねぇ、俺の話に乗ってくれないなんて酷いな〜」
彼が一方的に話しかけている相手は、鬱陶しそうに振り返る。その様子は、精神を壊しにかかっていた。
故意ではない、自然と、こちらがそう感じてしまうだけ___だが。
口元を紅いペンキのようなもので汚し、嫌な咀嚼音を立てており、喰らっている物を両手でがっちりと掴んでいた
『人間の左腕』
「人様が食事してる時にペチャクチャ話しかけて来るんじゃねぇよ、 殺されてぇのか?」
「えー、喋りかけてるだけで殺されるなんて…そんな事思ってないよ?心外だなぁ。俺はただお喋りしたいだけなのに 」
童磨はムウ、と口を膨らませる
予想外の反応に鬼側も困惑しているようだが…童磨は構わず続ける
「それよりもね、俺は救いたいと思ってるんだよ、”君達”の事を」
「はっ?それは”鬼を”って事か?」
「そう、俺はね、鬼殺隊でもあるんだけど”万世極楽教”の教祖なんだ。人々を極楽に導いて、信者の皆と幸せになるのが俺の務めでもある。元々鬼だって人間だったし、俺が救ってあげる」
シャリンと音がしたかと思えば、彼の手には黄金色に光る対の扇が現れていた
「…で、鬼に対してどうすんだよ」
「俺が倒してあげる事で、君が喰った子達も極楽に導くよ。だって、人喰っておいて一人だけ幸せになるのは違う気もするし…たった一人しか幸せにできないからね」
「はぁ!?!?それじゃお前が言う”極楽”ってのは……」
「ん?あぁ、それは違うよ〜天罰って物があるか知らないけど、俺が皆の想いを受け止めて救済し、高みへと導くからさ」
童磨はニカーッと笑った
それを聞いた鬼はたちまち怒りで顔が染め上げられて行く。童磨はその様子に目を丸くし、「えー」と素っ頓狂な声を上げた
「俺だってその後は知らないし、そもそも”無い”から安心して!」
「…んな事を言ってんじゃねぇ!!ふざけんな糞野郎!!」
そう言うが否や空を爪でを引っ掻くように大きく動かした。その爪の先から、風に似た斬撃が飛ぶ
「だから知らないし無いのに……まったく、そんな事が分からないのかなぁ…話くらい最後まで聞いてくれたらいのに、せっかちだなぁ」
はぁと溜息をつくと、童磨は静かに扇を開いた
それを見た鬼は思わず顔に満面の笑みを浮かべてしまった。クスクスと挑発するように、左手で指差す。
「そんなので頚が斬れる訳ないだろ?馬鹿じゃねぇのか〜??」
「【氷の呼吸 枯園垂り(かれしのしづり)】」
ヒュガッ!!
両者の視界が氷に包まれる。正確には…氷で出来たつるやつたのようなものだ。
次に目を開いた時───斬撃が消滅していた。同時に鬼はヒヤリとする…よりも強い、背中が凍る感覚を覚えた
鬼が放った斬撃は、童磨が繰り出した連撃によって相殺されていたのだった。
「ねぇ」
虹色の瞳がじっと見つめる
スッと差し出された扇の鋒(きっさき)は、心なしか冷たく感じた。 ____いや、本当に冷たい……?
気付けば扇の先端が鬼の頚にくい込んでいた。
ズブブブ…………と、つっかえることなく肉の中に真一文字に入って行く。
シャキン!!
重い物体が跳ね、微かに液体が滴る音が聞こえた
「扇を使うからって、油断しちゃいけないよ?俺みたいに形が違う武器を使う剣士もいるからね。ちゃーんと日輪刀と同じ素材で造られてるけど!」
あっ!!と童磨は口に手を当てて子供のように叫んだ
「もう君死んじゃったからこれ聞こえてないか!うっかりしてたよ〜」
それにしても、と童磨は独り言を零し続ける。
とっくに鬼は消えてしまっているけど、誰かに話すように話す童磨は誰の目から見ても妙だった。
「天罰とか鬼になっても信じてるんだね、何で分かんないんだろう……そんなもの妄想なのに、実在しないのにな。死んだら消えるだけ、何も感じなくなるだけ、鬼になって何年何年と生き続けても分からないんだね…可哀想に」
童磨は悲しげに僅かに下を向くと、すぐに一度だけ鬼の方を振り返った。本当に一瞬だけ。
少ししゃがむと、彼は曲げた方の脚で地面を蹴った
暗い暗い夜の闇の中に、童磨の姿は見えなくなった
ある所、二人組の男女が街灯に照らされる街を歩いていた
遠くから見た様子はカップルの様だった。
雑談を交わしてクスリと笑い合う、仲睦まじい彼らのささやかな幸せを、周りの人々はただそっと微笑んで見ているだけだろう。
───だが、理不尽に壊そうとする奴らは居るものだ
人に憎しみを持った他人か____ただ喰らう為に本能のまま襲う鬼か。
「でさ、この前こんな事が起こっちゃって……っ咲希?どうしたの?」
「…あ、そこ……………!陸斗さ……」
女性は男性に伝えようと人差し指を続く道の先へと向ける。男性は目を凝らして奥をじっと見つめた
「変な奴が…居─────!!」
言葉を発する前に、女性は姿を消していた。
男性は意味が飲み込めないと言わんばかりに目を見開いて、消えた女性の姿を探しているのか、キョロキョロとしていた
「キヒヒヒッ 」
嘲笑うかのような声がした
けど、どこから聞こえているのか分からない。嫌な予感に体が反応して、息をする事すらままならない緊張感が漂っていた
「大丈夫だぜ、この女一人で満足してやるからなぁ。ほーら、今逃げればお前は生きられるんだぜ?」
おどろおどろしい声だ。耳をつんざいて壊わして来るような、明らかに人の恐怖を煽ってくる声音。
声の主は屋根の上に佇みながら、発達した手で女性をぬいぐるみのように握っていた。
握り方は優しくではない、ムカついてぬいぐるみに対して感情に任せ、殴るだの蹴るだの手が震えるほど握り締めるだの……それに類似していた
男性はドサッと鈍い音を立てて尻もちをついてしまう
彼は震えが止まらないのだろう、絶え間なく体がカタカタと動き続けている。
『さっき楽しく話していただけなのに…何で……!!』と繰り返しているのだろう、心の中で、きっと。
【本当に分かるよ___痛い程、辛い程…見つけるのが遅くなって…すまなかった。】
タッ!!!
「…………!?何だ貴様は!!!」
鬼の手から棘が生まれ、風船が破裂するように円状に拡散した
薔薇が纏っている、美しいと感じる棘とは程遠い、岩を簡単に貫通しそうな太さ、硬さがあると見て理解できる
「伏せろ!!!」
衝撃音と共に轟く青年の声。
その声に操られたように、男性はその場に頭を抱えてしゃがんだ
────────ほんの数十秒だった。
スタッ───
「…!あなた、は……」
青年の服が着地の時の衝撃で揺れている。
目の前で力強く立つ青年は、くるりとこちら…男性の方を向いた
彼は、当たり前のように女性を抱いていた。
あの一瞬で、女性に傷一つ付けずに____まず、棘にかすりもせずに____
心の底から驚いている男性に、青年はゆっくりと語りかけた。
普通よりもちょっと長いまつ毛が、穏やかに揺れる。奥に透き通るような紫に似た青い目も。
「大丈夫ですか?怪我はないですか?…それと、この方を……」
彼は男性の手元にそっと女性を手渡した
男性は震えながら自分の腕の中に包み込むと、それを見てか青年は静かに目を細め た。
と同時に、ドスンと落ちる音が。
青年はすぐさま鋭い目線を彼らとは逆の方向に向ける。
そして、後方へ向けて一言。
「俺の後ろ、ここから動かないで下さい。勝手に動かないで下さいね?…必ず、救います」
コメント
11件
今回もさいこーーう! 童磨が鬼から女性を救う時の態度?が無限城のしのぶとにててなんかこう…凄かった!下の人も言ってるけど「もう死んでしまったから聞こえないか」もしのぶのナタグモヤマでの、セリフに酷似してるんだよ!最高!あぁ、2人の柱での強さが分かる1話だったね…本当柱はすごいよ!上弦になった柱たちも早く見たいね!
ヤバーイ! 面白すぎる!! リーブさんはやっぱりすごいなあ! 童磨が言っていた「もう死んでしまったから聞こえてないか」みたいなことってしのぶさんが累のお姉ちゃんに言っていた言葉かなあ? ちがかったらごめん(_ _;) しのぶさんと童磨は関係的は 結構あるから入れたのかと思いました! 語彙力なくてすみません。 もっと言葉の勉強します! あと喋り方そのまんまだった! 最高すぎる!
わあ☆リーブの神作品だあ~!! ほんっとにいつも神作品を提供してくれてるから助かってる!!(?) 相変わらず語彙力が神ってる…!!