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今日は良い天気だ。
清々しい風。無邪気な太陽。
死ぬのにふさわしい日だ。
もう耐えられないんだ。
日常の細かなノイズが、溜まって、溜まって。
「なぁ、奥多摩の堕天使って知ってる?」
静かだからか、通行人の噂がよく耳に通る。
少しだけ、聞いてみることにした。
「え?何それ。知らないけど。奥多摩はここ、だけど…」
「まぁ聞けよ。」
「その者、死に堕ちる者全てを救い、」
「全てを虜にさせ、」
「全てを狂わせ、」
「その全ての者が、救いを憎む。」
「…何だそれ。厨二病すぎだろ。」
「分かってねぇな〜!!こう…何かカッコいいだろ!!」
「厨二病拗らせ過ぎな。ほら、行くぞ。」
「馬鹿にしやがって…」
…特に面白みも無い話だった。
聞かなくても別に良かったな。
どうせ死ぬのだから。
ビルの屋上に、着いた。
高い。恐い。下がよく見えない。
人間は我儘だ。死にたいのに、死にたくないと言う。
…俺はもう、覚悟を決めたんだ。
靴を揃える。遺書を置く。
俺が死んでも誰も悲しまない。誰もだ。
仕事はまともに行ってない。家族にはもう二年程連絡していない。
友人も、中学からもう付き合いが無い。
こんな人間、死んだほうがマシだ。
息が荒くなる。心臓の鼓動が強まる。
足が見えない鎖に絡みついている。
…もう面倒くさい。
一息に落ちて、終わらせれば良いだろう。
…さような
「待ってよ。」
…誰だ?俺はもう終わらせたいんだ。
「ねぇ、君死にたいんでしょ?」
…見てわからないのか?
「あはは。分かるに決まってんじゃん。」
何しに来た。止めに来たんだったら、無駄だぞ。
「う〜ん…半分正解、かな?」
じゃあ何しに来た。早く言え。
「…どうせ死ぬんだったら、俺のために死んでよ。」
…?どういう事だ?
「簡単だよ。」
「俺の大切な人になってから、死んでほしいんだ。」
「今日から100日間、俺の彼氏になって。」
…狂ってるな。
「無理も承知だよ。どうする?やる? 」
…いいさ。どうせ死ぬんだ。やってやるよ。
「…ありがとう。」
「君の、名前は?」
「…DD、だ。」
「DD、か。良い名前だね。」
「俺の名前はうみにゃ。」
「今日から100日間、よろしくね。」
「…よろしく。」
俺はこの判断を、一生後悔することになる。