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あれ翠さんだった。ばっちり目が合ったな。めちゃくちゃ狼狽えてたってことは、そういうことなんだろう。私は1人に見えただろうか。何食わぬ顔で通り過ぎてきたつもりだけど、手と足が一緒に出たりしてなかったかな。甘かったな。まさかあんな所で知り合いに会うなんて。
どうしようか。次の打ち合わせまで置いとくか。あの角度だと私は1人に見えてたはずだから、焦ってるのはきっと翠さんの方だよね。打ち合わせの後にこっそり話しかけようかな。このままじゃ私が弱味を握ってる感じになっちゃっててあまりにも気の毒だ。
翠さんは一緒に仕事をしていても、居心地が良い。性格的なところは違うんだけど何となく近いものを感じる。きっと年齢も近い。何でもさらっと言っちゃうようなオープンな所が私には無い所で、一緒に飲んだら楽しそうだなって思ってた。今度誘ってみるか。
私たち同士だよって言ったらどんな顔するかな。何となく話が合うような気がするんだよね。次の打ち合わせはまだ先か。それまで悶々と過ごすのかな。過ごすよね。私だったらあれこれ考えちゃうもんな。何だかかわいそうだけど、わざわざ私から連絡するのもおかしいよね。
素知らぬ顔をしてきたわけだし、翠さんがもしかしたら私って思わなかったかもしれない。…そんなわけないか、青ざめてたもんな。微笑むくらいしてあげたら良かったかな。それもおかしいもんね。とりあえず次の打ち合わせで、かな。