テラーノベル
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緑谷出久がパニック障害を患って居ます。
それを許せる方だけ見てください。
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退院の日、緑谷は病院の玄関で立ち尽くしていた。
耳にはヘッドホン、手には相澤が持たせた小さな防音イヤーマフ。
その横には、A組全員が並んでいる。
「……今日は一緒に帰ろう」
轟が短く言い、芦戸や葉隠が柔らかく笑う。
緑谷は一歩、二歩と足を出す。
だが、校門までの道のりは人や音でいっぱいだ。
背後で誰かの笑い声が響いただけで、肩がぴくりと跳ねる。
すぐに八百万が横に歩調を合わせ、小声で「大丈夫、今は私たちだけが近くにいます」と囁く。
爆豪は数歩先を歩き、周囲の人間を睨みつけるように視線を走らせる。
まるで、緑谷の“盾”そのものだった。
校舎に戻ってからも、彼の生活は一変していた。
教室では隣の席を空け、話しかけるときは必ず名前を呼ぶ。
休み時間には耳を休めるための静かなスペースを作り、そこには交代でクラスメイトが座って見守る。
ある昼休み、芦戸が机に折り紙の小さなキツネを置いた。
「触らなくても、これならそばにいるって伝わるでしょ?」
緑谷は少し驚いた顔をした後、小さく「……ありがとう」と言った。
それでも、時にはパニックが襲ってくる。
廊下で背後から走ってくる足音に、身体が固まり、息が荒くなる。
だが、その瞬間には誰かが必ず横にいてくれる。
「大丈夫だ、今は雄英だ」
轟の低い声。
「ほら、深呼吸だ、デク」
爆豪の不器用な励まし。
その度に、緑谷は少しずつ——ほんの少しずつ、恐怖の波を乗り越える時間を増やしていった。
コメント
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全員優しい〜