テラーノベル
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「さーてさて!」 急な大声にびっくりした樹に東屋は放火の件について聞き始める。
「まず、教師石田さんについてだね。前も聞いてたけどそんな酷かったの?」
その時。部屋のドアがとんでもない速度で開いた。
人が来ないため静かな3号館にドンと轟音が響く。
「その通り!あれはもう酷かった!」
呆気にとられている東屋の顔を見ると
「うわ、何このヒト!滅茶苦茶可愛いじゃん!」と叫んだ。
ドアを開けた人物は千也だった。
「えーっと、?君はどちら様だい?」不思議そうに東屋が問うと、樹が注釈する。
「彼はこの間話した北須賀千也です。ほら、僕の友人の。」
「あー!そうかそうか、君が千也君か!」
「え?なになに?オレって有名人?」
「いや、ね。君も色々知ってそうだしちょっといくつか聞いていいかい?」
千也は同意すると樹の横の席にどかっと座った。
「まず2人に聞きたいんだけどなんで石田さんは嫌われてたの?」
「うーん、いくつか理由はあると思うぜ?」「僕もそう思います。」
口を揃えて非難する2人の前で東屋はメモ帳を取り出す。
「複数理由があったってこと?」
「はい。まずは前も話した女子にだけ甘いっていう点ですかね…。叱るときもあったけどほぼほぼ声を荒げたりはなかったと言うか…。」
「それもあったけどオレは一番の理由としては『罰』だと思うな。
あいつキレるとすぐ罰で走らせてきたんだ、おもちゃのでっかい鉛筆持ってきただけで足の皮むけるまで走らせたりしたんだぜ?」
改めて言葉にすると酷い。教師あるまじき発言や行動が山ほどある。
「じゃあストレス発散でやってたのか。」
「…賢いね。」
ふいに飛び出した東屋の言葉にキョトンとする。
「体罰ってさ、定義があいまいな言葉のひとつなんだよ。だけど、皆ぱっと想像するのは『直接的な暴力』なんだ。走らせてるだけなら相談したくても『それは体罰じゃないです』って言われたらどうしようって考えちゃうから半分合法で生徒に嫌がらせできるんだ。」
なるほど。
数年間教わっていた自分たちよりも話を聞いただけの東屋が分析できるているのは凄い。
同じ齢で同じ同好会、だが彼女の推理力は自分とは比較できないほどかけ離れていた。
「じゃあ次だけど荒木夫妻について聞きたいな。」
「俺詳しく知ってます!」千也は手を挙げた。
「ひと言で言うなら優しい人でしたね。ほんとに殺されるとは思わなかったよ。
でも昔一回だけ裁判沙汰になったことがあったって聞いたな。」
「裁判沙汰?」
「うん、なんか隣人との揉め事?とか何とか聞いたけど。」
「そっか…。皆恨まれるにしては十分な理由があるね。」
すると頭を悩ませる3人のいる部室で大きい音楽が流れ始めた。
「うわっ何々?」
「ごめんごめん、私のケータイだ。」
すると彼女はボタンを押して「もしもし」と話しかけた。
しばらく彼女を見ていたが次第に笑顔が消えていくのがわかった。
「何かあったんじゃね?オレ抜けよっか?」
「うん、そうしてもらおうかな、色々聞かせてもらってありがとう。」
手を振りながらドアを閉めた千也に手を振り返した。
同時に「西ヶ谷君。」
と呼びかけられた。
東屋の顔はどこか深刻だった。
「刑事さんから連絡が来たよ。」言いにくいことを言うように彼女はこちらを見た。
「…また事件が起きたんですか?」
「うん、今回は連続殺人事件だって。」
樹は東屋のケータイに送られてきた事件の詳細を見る。
25日午後2-3時の僅かなあいだに起こった連続殺人事件。
被害者は計5人。
そして被害者に共通する点は「富豪であること」。
だがお金を奪われた形跡は一切ない。
さらに事件の証拠も未だ不明。
謎が謎を呼び事件は迷宮に片足を突っ込み始めている。
巨大な事件は、また小さな部室に舞い込んだ。
次章予告。
「さて。犯人がわかりましたがきっと助手の樹くんも気づいてる。
さあ、樹君!真相を公表するんだ!」
「…え?」
次回。【革命事変編】。開演。
1話 貴婦人製の秒針
乞うご期待。
コメント
4件
皆様へ 諸事情により少しの期間投稿できない可能性があります。 出せたら出すんですけど投稿されなかったら気長に待ってて欲しいです… 申し訳ない、
読ませていただきました!第6話、一気に事件が大きくなって「連続殺人事件」の言葉にドキッとしました。東屋さんの推理力が光っていて、特に体罰の定義の曖昧さをピンポイントで突くところ、すごく印象的でした。次回「貴族事変編」のタイトルも気になりますね…!
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