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まるで捨て猫に餌付けしている気分だった、彼は鼻歌を歌いながら当たり前のようにすんなり、わたしの領域に入ってきた
今彼は目をすがめて一心不乱に私の作った食べ物を食べている
数分後、舐めたかのようにきれいなお皿から、生姜焼きの最後の一枚に箸をつけようとしてピタリと止まった
途端に、彼は気まずい表情をみせた
「鈴ちゃん食べないの?」
・・・鈴ちゃんて・・・・
思わず笑いそうになる
「ううん、私はもうおなかいっぱい、それあなた食べて 」
「ハイ!はんぶんこ!」
そう言って彼は大きな生姜焼きをお箸で器用に半分にした
この子といると優しい気持ちになって思わず笑顔がこぼれる
この子に愛しい気持ちを抱いてもまったくのお門違いのように思えた
つい飼う気のない野良猫を家に上げてしまい、餌をあげた時の後悔の様なものだ、もう外に放りだすことは出来ない
「・・・・まだ・・・・おなかすいてるでしょ?」
私は上目づかいで聞いた、彼は頬を染めて、近くにあったティッシュで口を拭きふき、途端にコホンッと上品に振舞った
「腹八分目を心がけてるから」
私は笑いながら、立ち上がって冷蔵庫の中を覗き込んだ
思わない掘り出し物が見つかった、冷凍庫に依然作っておいたラザニアだ
これなら彼は満足するだろう私はチーズを振りかけラザニアを電子レンジに入れた
その間彼は食べ終えたお皿を重ねてシンクに、持って行きテーブルを拭いて片づけて、二つのお茶が入ったグラスだけ置いた
まぁ・・・ずいぶんお行儀が良いのね・・・