光が去った後、私は恐る恐る伝票の裏を捲った。
そこには、殴り書きのような字でこう書かれていた。
『お姉さん、顔引きつりすぎ。無理して笑うと、ファンじゃなくて不審者に見えるよ。飲みすぎんなよ。』
「……余計なお世話だよ」
私はその紙を握りつぶし、カバンの中に押し込んだ。
結局、その後の飲み会がどんな味だったのか、私は全く覚えていない。
光が他のテーブルで接客するたびに、心臓が跳ねて、ビールの味がしなかった。
「桜川さん、今日は意外な一面が見れて良かったです!」
「明日からも、よろしくお願いします!」
ようやくお開きになり、部下たちをタクシーで見送る。
一人残された駅前。夜風が火照った頬を冷やしてくれたけれど、胸のざわつきは一向に収まらなかった。
(……どんな顔して、あのボロアパートに帰ればいいのよ)






