「猜疑心」
事が終わり、荒い息の落ち着かない 日比野(ひびの)の髪を、そっと撫でた。
自分から手を伸ばそうと思ったことも久しぶりで、日比野をもう一度昔のように好きになれたらいいな、と思う。
「先にシャワーするね」と日比野がベッドから出て行くと、シーツをたぐり寄せてくるまった。
……やり直してみよう。
彼への気持ちを、もう一度やり直す。
自分に言い聞かせるようにして心の中で呟くと、ふっと 紀坂(きさか)のことが頭に浮かんだ。
(彼のことは―――)
思い出せば罪悪感で胸が苦しくなる。
日比野を忘れたくて、紀坂と過ごした時間は濃かった。
知り合ってまだ浅いけど、抱きしめてもらうとやすらぎも覚えた人で……。
(でも……私は俊樹(としき)とやり直してみようと決めたから)
日比野に愛情や好意があるわけじゃない。
でも日比野はもう生活の一部みたいなものだし、信じられるな***************************
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