「君の口から聞きたい」
「今どこ?」
彼からの短い質問に、私は深呼吸して指を動かした。
「もうすぐ東京駅です」
「わかった。じゃあ東京駅で待ち合わせしよう。着いたら連絡する」
「わかりました」と返信した後、言いようのない不安に包まれる。
でも「なんとかなる」と自分に言い聞かせて、スマホをカバンにしまった。
新幹線を降りれば、小雨の降る東京は、思ったより気温が低かった。
ワンピースとカーディガンではすこし肌寒く感じられるほどで、神戸はあれだけ暑かったのに、急に別の世界に来たような……現実の世界に引き戻されたような気がした。
紀坂(きさか)から連絡があったのは30分ほど前だから、来るにはまだ時間があるだろう。
迷路のような構内を在来線のほうへと歩いていると、スマホが着信を知らせた。
見れば紀坂からで―――。
「着いたよ。*******************
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