もうすぐ学パロ終わりにしようかなぁ
昼休み、藤澤涼架はクラスの女子数人に囲まれていた。
にこやかに話していた涼架だったが、
一人の女子が少し顔を赤らめて「ふ、藤澤くん…少し時間ある…?」と声をかけた。
他の女子たちは気を利かせたのか、少し離れた場所へ移動する。
元貴と若井は、購買へ向かう途中でその光景を目撃した。涼架が誰かと二人で話している。
しかも、その相手は女子だ。二人は足を止め、様子を窺った。
女子は時折、恥ずかしそうに言葉を詰まらせながらも、一生懸命に何かを伝えている。
涼架は真剣な表情でその言葉に耳を傾け、時折優しく微笑んでいる。
元貴の胸には、じわじわと黒い感情が湧き上がってきた。「また…涼ちゃんの周りに、あんな子が…」
隣の若井も、無言でその様子を見つめている。普段は冷静な若井の表情も、今は明らかに険しい。
涼ちゃんがあの女子の言葉にどんな返事をするのか、二人は気が気ではなかった。
そして、女子は意を決したように顔を上げ、涼架の目をまっすぐ見つめた。その瞬間、元貴と若井は、女子が涼架に告白しているのだと悟った。
涼架は少し驚いた表情を見せたものの、すぐに困ったような、申し訳なさそうな顔になった。それでも、女子の言葉を最後までしっかりと聞いて、何かを伝えようとしている。
その光景が、元貴と若井の嫉妬心に火をつけた。自分たちの知らないところで、涼架が他の誰かの好意を受け止めている。
それが、二人には耐えられないほど苦しかった。
いてもたってもいられなくなった元貴は、その場を離れようとした。「行こう、若井」
若井も頷き、二人で足早にその場を後にした。購買に行く気力も失せ、二人は人気のない屋上へと向かった。
「くそっ…何なんだよ、あれ…」
屋上のフェンスに凭れかかり、元貴は苛立ちを隠せない。
「涼ちゃんの鈍感さも大概だけど…あんな可愛い子が告白してるとか、マジでありえない」
若井の声も低い。普段のクールな様子はどこへやら、その表情は歪んでいる
「涼ちゃんは…僕たちのものなのに…」元貴は呟くように言った。
放課後、軽音楽部の部室。涼架が少し遅れてやってきた。
「ごめんね、二人とも。少し用事が…」
涼架がそう言いかけた瞬間、元貴と若井は立ち上がり、涼架に詰め寄った。涼架は二人のただならぬ様子に、目を丸くする。
「元貴?若井?どうしたの?」
二人は何も言わず、涼架の両腕を掴んだ。そして、顔を見合わせると、まるで示し合わせたかのように、涼架の唇に同時に自分たちの唇を重ねた。
突然のことに、涼架は驚いて目を見開いた。二人の熱いキスは、涼架の思考を完全に停止させた。
元貴の少し子供っぽい攻撃的なキスと、若井の深く包み込むようなキスが、同時に涼架を襲う。
しばらくして、二人は同時に涼架の唇を離した。息を切らし、頬を赤く染めた涼架はぼーっと二人を見つめている。
「涼ちゃん…今日、他の人に告白されたでしょ?」
元貴の低い声が、静かな部室に響く。涼架はハッとしたように目を泳がせた。
「え…あ、うん…クラスの、子が…」
その言葉を聞いた瞬間、若井は再び涼架の顎を掴み、逃がさないように深く口付けた。
今度は先ほどよりも激しく、まるで所有権を主張するかのように。
「涼ちゃんは、俺たちのものだから。他の誰かに、そんなエロい顔絶対見せないでね。」
若井の低い声は、嫉妬と独占欲に満ちている。
キスが終わり、今度は元貴が涼架の頬を両手で挟み込んだ。
そして、優しく、けれど逃げられないように、涼架の唇に自分の唇を重ねた。
「涼ちゃん…僕たちのこと、ちゃんと見てて。他の人のことなんて、見ないで」
元貴の瞳には、不安と切実な想いが宿っている。
二人のキスは、涼ちゃんへのお仕置きだった。
他の誰かに心を奪われそうになったことへの、独占欲の表れだった。
涼ちゃんは、二人のキスによって頭がくらくらしていた。同時に、二人の自分への強烈な感情を改めて感じ、胸がドキドキと高鳴る。
「元貴…若井…」
掠れた声でそう呼ぶのが精一杯だった。二人は相変わらず涼架を見つめている。
その瞳には、もう二度と涼架を誰にも渡さないという強い決意が宿っていた。