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『愛と光のラビリンス〜青龍の誓い〜』


ちーちゃんこと、橋村千裕は『乙女ゲーム』のパッケージを眺めていた。


(沙織、本当に異世界に行っちゃったんだぁ……。そういえば、変わった色のカワウソ抱っこしてたな。向こうの世界のペットかな?)


突然、親友の山田沙織が行方不明になったかと思ったら……その一週間後に帰って来た。

それも、超ハイスペックな美貌のキャラ達を連れて。


(まあ、正確には……)


キャラ達が、勝手に転移して来たらしいが。


「……カリーヌ様、超絶美しかったなぁ〜」


カリーヌ、ミシェル、ガブリエルの姿を思い出すだけで胸がときめく。


(今度、カリーヌ様に会えたら『お黙りっ! 泥棒猫!!』って、言ってくれないかしら?)


絶対に、沙織に止められるだろうが……そこはどうにか、粘るつもりだ。


以前、千裕は沙織にゲームの詳しい内容や、タイトルを言ってなかったことを思い出した。内容よりも、推しキャラの説明に熱が入ってしまったのだ。


しかも、その時はまだ――。

最終イベントの、攻略対象キャラが出ていなかった。


ゲームの中に転移したなら、沙織の向こうでの生活に、このストーリーが関わってくるのではないか。と少し心配になった。


一応、沙織に……タイトルを知らなくて良いのか尋ねたら、知らなくていいと言った。タイトルを見れば、これから起こりそうな事が、何となくでも分かったかもしれない。


(うーん。時には知らない方が、良い結果を生む場合もあるしねぇ)


現実世界で逆ハーレムなんて、有り得ない。沙織は、ゲームのようにキャラ攻略は、まずやらないだろう。

きっと、誰か好きな人が出来たら、小さな幸せを望む筈だ。沙織の性格をよく知る千裕は、確信している。


(ま、そのうち……。私の一推しキャラの、龍王様には出会うでしょ。あぁ〜羨ましいっ!)


「千裕ー! 遅刻するわよー!!」


一階の階段の所から、母親の大声が聞こえた。


「はーい、今行くよ〜」


乙女ゲームを引き出しに入れ、いつも通り急いで高校に向かった。

ちょっと違うのは、隣に沙織が居ないこと。


(寂しいけど、私も頑張るぞー!)



◆◆◆◆◆



――所変わって、異世界グリュンデル帝国。


其処は、ベネディクト国から海を隔てて、南西に位置する強大な国だった。

豪奢な玉座に座っている皇帝は、目を閉じて話を聞いていた。


「ヴィルヘルム皇帝陛下、例の国で光の乙女が現れたと、ヨーゼフが預言致しました」


王であるハインリヒは、ヴィルヘルム・グリュンデル皇帝に、預言者ヨーゼフによる聖霊からの神託を伝えた。


ベネディクト国で――。

いつか光の乙女が召喚され、龍の血を引く皇太子が龍王として覚醒すると、預言されていたのだ。


それを知った皇帝は、生まれて間もない息子をベネディクト国へ孤児として潜り込ませた。預言の通りなら、その後は運命の流れで勝手に出会う筈だと。


「そうか……。ならば、我が息子の覚醒も近い。左肩に青い鱗状の痣がある者を探し出すのだ。そして、光の乙女と――この世界を我が手に治める」


ヴィルヘルムは金色の瞳を光らせ、ハインリヒを見た。


「仰せのままに」



――グリュンデル帝国は、ベネディクト国への侵略に動き出した。

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