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いやまじで琥珀さんのノベル読みやすいな!?笑 設定も作りこまれてるし、読みやすい書き方だし、面白いし、 好きすぎます(突然の告白) 最初からギスギスしてたしこれから夢主は距離置かれるんだろうけど、夢主は全く気にしなそう笑 続きが見たすぎます!!笑 琥珀さんのモチベが上がるようにいいねたくさん押しときます!!!
控えめに言って設定最初から神だしもう、全てが最高。(さっきまでアニメ見てた。)
私には夏油傑と言う兄が居ました。
そう、居たんです。
兄は優しい人でした。
勇敢でカッコよくて、優しく微笑みながら頭を撫でられるのが好きでした。
時折、「あれが見えるかい?」と何もない空間に指を差して質問をされ首を横に振るとあからさまに残念そうに肩を落としていたのは気になりますが。
でも、
私の中の兄はある日唐突に死を迎えました。
兄は全寮制の学校に通っており、高校になってからは家に顔を出すことが無くなりました。
それから3年ほどの月日が経った頃兄は突然私達の前に現れ、まるで汚物を見るような冷たい目で私達を見下ろしながらこう言いました。「私が猿と血が繋がっている事実に吐き気がするよ。
私には新たな家族が出来た。もうお前らは必要じゃない。ただの猿だ。
もう金輪際、私には関わらないでくれ。」突然の出来事に言葉を失う私達。
そんな私達に目も暮れず背中を向ける兄に私は手を伸ばしながらこう呟いた。「おっ、お兄ちゃん…?」そう言うと同時に止まる兄。
そうして振り向いた兄は思わずゾッとするような表情で私を睨みながらこう言った。「もうお前の兄ではない。虫唾が走るんだよ、猿がっ」「っ、まっ、待って…!」そう言って去っていく兄は酷く冷たかった。
シーンとしたリビングには扉の閉まる音が異様に響いていた。
あれから私の両親は兄を嫌うどころか心配していて、それは私の姉もそうだった。
両親が部屋で話している声がする。
時々、母の鼻を啜っている音が聞こえた。
姉は私をそっと抱きしめると少し震えている声でこう言いました。「きっと兄さんも何か訳があったのかもしれない…。きっと、疲れちゃってただけ。
大丈夫。だって、私達の優しいお兄ちゃんだもの…。あんな事、言う訳ない。」私は知ってる。
ただの強がりだって事。
私は幼いながらも周りより大人びていて察しが良かったから分かったのだろう。
姉は私を強く抱き締めれば濡れる私の肩。
私はそんな姉を慰めるように優しく背中を撫でた。
あの日から何もかも狂ってしまったんです。
一年と経たずして私の家族は死にました。
どうやら、兄を恨んでいた者達が腹いせに私の家族を殺したのだ。私は巫山戯るな、とふつふつと怒りが湧いてきた。
かってに縁を切って関わるなと言いながら私の大事な家族の命を奪った。
お前が私達に関わったせいで。
自分勝手もいい加減にしろ。でも、私の家族は帰ってこない。
どれだけ怒り狂ったって私の家族が再び温もりを持つことはない。
その事実に、怒りと、悲しみと、喪失感、様々な感情が入り混じってグチャグチャになって、もう、訳が分からなくて。
滲む視界にはかつての家族。
姉の亡骸をギュッと抱きしめる。
両親の死体は原型を留めていないほどに酷い状態だった。
四肢はさまざまな方向に曲がり、腹からは内臓が飛び散り、焦げ茶色の目玉は抉り出され地面に転がっていた。
はっきり言って酷いなんてものじゃなかった。
姉の死体はまだ綺麗で、それだけが救いだった。
私は大量に流れる涙に顔を埋めれば後ろから聴こえる足音。
ゆっくりと後ろを振り向けば愉快そうに顔を歪め、私をまじまじと見ている1人の年配の男。
男と目が合い、困惑しながらも私は問いかけた。「あっ、貴方は誰ですか…?」少し怯えを交えたその態度にまた機嫌を良くしたのか目を細め、地面に転がる家族を殺した男に指を差しこう言う。「この死体はお前がやったものか?」「は、い」「そうか、そうか…。何故殺した?」「私の、家族を殺されたから…。
私の家族の命を奪ったから、貴方の命も奪っても文句はないなと…、思って。」そう言った途端楽しそうに笑い始める男に私は眉を顰める。
そして男は腕を組むと長い髭を撫でながらこう言い放った。「気に入った。この呪詛師はたしかそれなりの実力を持っていた筈だ。
それを殺せる程の術式。極めれば強者になりうるな。お前、名は何だ。」そう言って見下ろしてくる男に私は口を開いた。
「げ、夏油聖奈です…。」
こうして私は呪術界に関わる事になった。
月日は流れ、私はめでたく?一級術師となり来年には京都校に通う手筈だった筈なのですが…「えっと、御当主様、つまり私は東京校に入学するということでお間違えないでしょうか?」「あぁ、そうだ。お前は五条悟などの要注意人物の見張りだ。
この年で一級とは大したものだな聖奈。
それくらいなら応用は効くだろう。
まぁ、要は監視だ。
4月から東京校に入学させる。
伏黒恵と甚爾にそれから夏油傑にも目を付けとけ。
話は以上だ、下がれ」「はい、失礼いたします。」
私は襖を閉め、掃除が行き届いた廊下を歩く。
自室に戻り私は手帳を手に取ると今回の内容について纏めようと真っ新なページを巡りペンを走らせた。まずは五条悟。
五条悟と言えば呪術界最強と謳われ、五条家の相伝である無下限呪術と六眼をもち、更には無下限呪術のデメリットを脳に常に反転術式をかけ続けることで無くす。
まさに最強。
東京校では教師をしており、突拍子の無いことや、かなり鋭いところが要注意ですね。次に伏黒甚爾。
呪力ゼロと言う代償に天に与えられた圧倒的な身体能力を持つ。
パワーがある事は勿論のこと、研ぎ澄まされ、人間離れした五感で隙がない。
戦闘センスも凄まじく様々な呪具を完璧に使いこなし、特級相手に勝つことなんてザラなようです。
禅院のものが何故伏黒甚爾を認めなかったのか理解し難いです。
変にプライド高いですしね。伏黒恵。彼は禪院家の相伝、十種影法術を使いこなし、既に様々な式神を調伏しているようです。
冷静な判断力と式神との連携も高く評価されています。
禪院家は喉から手が出るほど欲しかったそうですが、五条悟に阻まれとてもイライラしている御様子でした。
その八つ当たりで私が殴られるのはどうかと思いますが。そして夏油傑。黄金時代と呼ばれた世代の1人であり、特級術師である男。
術式は呪霊操術を扱い、数多の攻撃手段と手数を持ち、体術も優れている。
また、文脈が問われる任務においても優秀で五条悟と並び教師を行なっている。
ただ、価値観の理解に苦しむ人間でもあり、呪霊を目視できない、非術師を猿と呼びあからさまに嫌悪すると言う五条悟同様、頭のネジが何十本か飛んでいるイカレサイコである。
呪術師にマトモ枠は一握りしかいないと言うことです。私は一通りまとめたい情報をまとめ(最後らへんは私情も含まれていたが)ペンを置き、パタンッと手帳を閉じる。あぁ、東京校には行きたくないのですけれども…。
だって、夏油傑がいますもの。
まぁ、別にいいですか。
私の中の兄は死んだのですから。少し肌寒さを感じる空間に私の白い息が溢れた。
「君が、禪院聖奈?」
そう言って問いかける五条様に私は肯定の意味を込めてニコリと笑う。
自己紹介をしなければと私は口を開いた。
「初めまして五条様。わたくし、禪院聖奈と申します。これからよろしくお願いいたしますね。」
「やだなぁ〜これからは君の担任になるんだから五条先生ってよんで♡」
「五条先生がそれを望むのであれば、今後はそのように呼ばせていただきますね。」あはは、うふふと会話をしていると突如何者かの気配を感じ、私は目を向ける。あぁ、来てしまいましたか。女性の方の様に伸びた長い黒色の髪。
釣り上がった糸目に胡散臭い笑みを貼り付けた男は五条先生に寄るとまだ私の姿を視界に移してないのか、悠長に話している。
そして、話終わったのか私の方向に目を向けた。「やぁ、君が新しい一年せいかっ…え…?
どうして…、君がっ、ここにっ」私と目が合った瞬間目を見開き顔を青く染めながら後ろに一歩下がっていく。
私は久しぶりに再開した哀れな兄に微笑みながらお辞儀をした。
「初めまして。わたくし、禪院聖奈と申します。以後、お見知り置きを。」
そう言ってあからさまにさっきとは一線引いた自己紹介に五条は少し驚く。
夏油は、はくはくと口を開閉しながらニコリと微笑みを張り付けている聖奈から目を離せずにいる。
色々な感情が混じり、言葉にならない言葉を発しながらなんとか、言葉を絞り出した。「なっ、何故…聖奈がここにっ、」夏油の中では答えはもうわかっていたはずだ。
でも、否定したかった。
此処は呪術について習う学校。
この学校に通う最低限の条件として、見て・触れて・祓えるだ。
つまり、此処にいると言う事は、自身の妹は猿ではなく…「?…何故って、それは、私が呪術師としてこの学校に通うからですけれども。
それからわたくしと何処かでお会い致したでしょうか?”夏油先生”とは初めてお会いした気がするのですが?」そう言って首を傾げる私に夏油傑は「は?」と間抜けな声を出す。
あぁ、実に愉快です。
私の言葉によって貴方はどんどん絶望に顔を染めていくのですから。そんな事を考えているとは知らずに聖奈の問いに固まる夏油。
そして数秒の間の後、夏油は震える声で問いに応える。「せっ、聖奈と、わっ、私は兄弟だろ…?」その答えに聖奈は「ああっ!!」と何かを思い出したかの様に声を発する。
その声に夏油は思い出してくれたのか、と少しの希望を感じ聖奈の言葉を待つ。
しかし、夏油は知らない。
聖奈がそこまでお優しい性格ではない事を。「確か、私にも兄が”居た”んですよ!
まぁ、だいぶ前に死んでしまったのですが。」そうニコニコと答える聖奈の言葉が明らかにおかしな言動にあからさまに顔を顰める。
私は此処にいるのに。
その疑問をぶつけるかの様に。
そして、”仲直り”の為に。
自身の正当化のために口を開く。「私は、君の兄だろう…?あの時の事は謝るから…、もう一度私と兄として…見てくれなだろうか…。」そのふざけた言葉に聖奈は先程まで張り付けていた笑顔をゴミに捨てたかの様にして顔から表情が抜け落ちる。
その目は深く沈んでいて、無症状でも静かに怒りを宿している。そうして私は眉を下げながら表だけの笑顔をまた貼り付け口を開いた。「あぁ〜あ、折角他人のフリしてあげましたのに…空気読めないんですかね貴方は。」夏油を知っている様な口ぶり。
夏油は何故他人のフリをしたのかがますます気になった。「何故…?他人のフリなんかしたんだい?」その問いに聖奈は当たり前かの様にこう答えた。「何故とは?貴方とは大分前に縁を切りましたし、その時に私の好きだった兄は死にました。そして教師としての夏油傑とは初めてお会いしましたし、ほら?他人でしょ?」「…」
その言葉に夏油は何も言い返せない。
事実なのだから尚更。
そんなギスギスした空間に増える視線と足音に気づき3人が後ろを振り向くと1、2年生3人と体術講師の伏黒当時それから美々子と菜々子という大所帯で此方に向かってくる。
おそらく新しい新入生とやらが気になったのであろう。
正直この空間で完全に空気と化し嫌気がさしていた五条はみんなが来た時にあからさまに救いを求めてみんなを見やる。
そして、最悪なタイミングで夏油信者の2人が来てしまった事に。「「夏油様!!」」そう言って2人の可愛らしい双子が夏油の背中からひょこっと現れて夏油に抱きつく。
夏油は少し焦りながらも柔らかく表情を崩した。
しかし、聖奈は2人の双子に目を細めた。
そして聖奈は口を開く。「あらあら、可愛らしい双子さんですね。
夏油さんの”新しい”家族ですか?」「…あぁ。そうだ。」その答えにますます空気が重くなる。
そして新たに来た者達はその雰囲気に違和感を覚える。
何故、新入生の迎えでこんなにギスギスしてるのか、と。
少しの間をあけ聖奈が新入生が先生に言う言葉にしては明らかに発さないであろう言葉を落とした。「…私の兄、夏油傑とは金輪際関わらない事を誓いましょう。
しかし、生徒、先生の関係については必要最低限しか関わりません。
そして、貴方と私の仲を取り戻す事はたとえ何があろうとも一生ありません。」「っ、なっ、何故!」「何故?当然でしょう?
私の家族を猿呼ばわりした挙句、縁を切り、家族を見殺しにして貴方は自分の理想を掲げたおままごとをしてさぞかし楽しかったでしょう。
私、知っていますよ。
貴方の元に夏油家への上層部からの脅迫状が。しかも、日付や時間、場所もご丁寧に記載されていたらしいではありませんか!
貴方はそれを無視して!
わたくしの元に送られてきたのは特級の貴方なら楽々倒せる様な輩でした。
そして、禪院に拾われ、私はあれから地獄でした。
貴方のせいで私の幸せは狂ってしまったんです!!
えぇ、えぇ、私、優しいと思いませんか?
家族を奪われ、環境を奪われ、散々な目に在ったのに…。
私、貴方のこと、本当は殺したいほど憎んでおりますよ?」そう叫びながら夏油の胸ぐらを掴み夏油を睨みつける。
流石にやばいと思った周りの人達は焦りながらも聖奈を宥め、聖奈は謝りながら手を離しまたニコッと笑う。
それに夏油は驚きながらも頭を深々と下げる。「本当に…すまなかった…。心から反省している…。」「げっ、夏油様!何してるわけ!」「何で夏油様が頭を下げてるの?」「ばっ、馬鹿っ、やめろ!」「ちょ、落ち着いて!」それに目を見開く聖奈と声を荒げる美々子と菜々子。
本来ならば夏油に非が有るのは当然だが、2人の双子は状況を把握しきれずにますます悪化しそうな事を言ってしまう。
それに良くない空気を感じどうにかしようとするがもう遅い。
聖奈は夏油の顎を掬って上を向かせる。
そして冷たい声はやがて周囲は凪いだように静かになってゆく。「謝れば、私の家族は帰ってくるのでしょうか。」「っ、」その言葉に夏油は息を呑み込む。「形だけの謝罪なら幾らでも取り繕えます。
謝れば、母の目玉は?父の臓物は?姉の皮は?帰ってくるでしょうか?
否、帰ってなどきません。
もし、私と仲直りしたいのであれば私と同じ苦しみを味わってもらいますよ?
まず、手始めにその双子でしょうか?」そう言って2人に指さす。
2人はその指にビクッと体を震わす。
聖奈に静かに向けらた殺気は2人を脅かすのには充分だった。「そうですね、例えば生きたまま目玉を抉り出したり、急所を外して串刺しにしたり、四肢を色々な方向に曲げたり。
他にもたくさんございますよ。
安心してください、殺しは致しませんから」それを想像した双子は顔を青ざめる。「…2人を巻き込むのはやめてくれないか…」その言葉に夏油を見据えた聖奈は楽しそうに笑いながらこう答えた。「では諦めてください!それが良いでしょう!」そう言って指先を合わせる聖奈はほくそ笑みながら愉快そうに話す。
それでも夏油は食い下がる。「わっ、私にもう一度、ちゃっ、チャンスをくれっ」パァァン夏油の言葉が不自然に切られ、代わりに響くのは銃弾の発砲音。
聖奈が片手に持っている銃は真っ直ぐ美々子を捉えている。
顔面スレスレに外された銃弾は美々子の頬を掠め微かに血を流していた。
そして美々子の眉間に当たるはずだった銃弾はある者の手に阻まれた。
ゴツゴツとした鍛えられていた手は聖奈の銃口を逸らしていた。
聖奈は答えがわかっているかの様に振り向くと口元に傷を持った男が呆れたかの様にため息をついた。「やり過ぎだ、聖奈。」「あら、甚爾。すみません。あまりにもしつこいもので…思わず。」「思わずで人殺すなよ戦闘狂。」甚爾は私から手を離すとやれやれと言いたげな表情だ。
聖奈は怯えきっている美々子の頬に手を添え出血しているところに絆創膏を貼る。「申し訳ございません。お怪我をさせてしまい。女の子の顔に傷をつけてしまいました。」「っ、嫌っ…!」そう言ってバチンと手を叩き落とす双子さんに眉を下げる私は後ろを振り返り先程から放心状態夏油に向け、こう言い放った。「次は当てますから。」そう言い残しカツン、コツンと高いヒールを軽快に鳴らしまた一歩とその場から離れていく聖奈は何かを思い出したかの様に固まっている高専生に向けて深々とお辞儀をし、こう言った。
「私の名前は禪院聖奈。これからよろしくお願い致しますね。」
そう言い微笑む聖奈は、この修羅場の空間に似つかわしくないほど清々しかった。