「…」
「ん〜…」
「…おい…」
「ん〜?どしたのすいちゃん 」
「どしたの、じゃないから!」
「早く離れろ! 」
「やだ!!」
「はぁ…?!」
…あ、どうも。星街すいせいです。 今、収録が終わって楽屋のソファーに座ってたんだけど… 隣にみこちが座って来たなぁ、 って思ったら…あたしの手で遊んでます。
「離せ…まじで…」
「いーじゃん…」
早く離れてくれないかなぁ……ん?
急に鼻を突き抜けるような甘い匂い。目の前の彼女からか、匂いがする。
「ね、みこち…もしかしてだけどさ」
「…」
「ヒート…来た感じ…?」
ギクッと、彼女は図星のようで。分かりやすいように肩を浮かせて驚き、気まずそうな顔をしている。
「はぁ…」
溜息を吐く。何でこんな時に限って来るかなぁ…
「ね…すいちゃ…」
声を掛けられたと思ったら…もう既に顔が火照ってる。え?早すぎじゃない?
「ぐ…早く薬飲んでよ…」
「やだ…」
「…」
『やだ』じゃなくてさ…!! 飲んでよ、今すぐ…!! みこちに手出したくないし…!
「ね…おねがい…」
ぽろぽろと涙を流す彼女。あたしが罪悪感で押し潰されそうになる。
理性が切れる前に早く薬飲んで欲しいんだけど…!?
「お願いじゃなくて…薬飲みなって」
ふるふると首を横に振る。そんなに飲みたくないか…?
「いっしょいて…おねがぃ…」
子供みたいに涙を流して、あたしの服の裾を掴んでくる。
「…はぁー…」
再び溜息を吐く。まじで抱いて欲しいんかお前…?
…でも、そんな事したらビジネスじゃなくなるし。ここはあたしがちゃんと抑えないと…
「…んしょ…んしょ…」
「…あの、みこさん?」
気が付けば、何故かみこちはあたしの膝の上に乗ってた。は?え?なんで?
じっと見てくる翡翠の瞳には、あたしが映っている。
「…離れて」
「やだ」
「…早く離れて…!」
「だから言ってんじゃん…いやだ」
本当にこのΩは…!! 他のαが来たらどうすんの?! 無防備すぎるんだよ、みこちは!!
「早く薬飲んで…まじで…」
「…薬無い」
常備しとけよこのぽんこつ…!!!!
「…」ズイ
「はッ…?」
「…ん」チュ
「んッ?!」ピク
は?え?
何やってんのこいつ?
「ん…ぷは」パッ
「…おい」
「なに~…」
「…ぽんこつ 」
「は?…でゃまれ…!」
みこちが怒ってる今の内に離れ…
「ね、すいちゃん」
「…何」
上目遣いをしてくる彼女。多分無意識だろうが、その行動は本当に辞めて欲しい。何故かって、あたしの理性が持たない。
「今日、すいちゃんの家行っていい?」
「…何されても文句言うなよ」
「わかってるって」
あぁ、あたしの理性は今日吹っ切れるんだろうな。Ωのビジネスパートナーのおかげで。
その桜色、青色に塗り替えてやるよ。覚悟しろ…
「あ、このままだとフェロモンヤバいなぁ…」
「薬飲も」ガサゴソ
「…あんのかよ」
「ん…あ、バレちゃった?」
「決めた。手加減しないから」
「え、ちょ…?!」
これはみこちが全部悪い…あたしは悪くない…!
誘って来たのはみこちだし。
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ビジネスの境界線、超えちゃうかな。
コメント
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えぇ凄ッ!? 普通に言葉選び上手すぎて見惚れた...、!! 天才かよ...()