帰り道
僕は歩いていた、ただ、ただ家に帰るため……
風景なんて楽しむ余裕はない、ご飯もななる余裕はない、人が死ぬってこういうことだ
ぶらりぶらりと歩いていた、家に着くまで後5分くらいといったものだろうか、僕は立ち止まった、
ペットショップの前で立ち止まった、よく低学年のときはお母さんにペットが欲しいって懇願してたっけ
右端からネコやイヌを見て行く、かわいいなぁ、
よく一人暮らしの人が、寂しさからペットを飼うらしい、
右端からどんどん左へとスライドするように見て行く、かわいい動物たちがたくさんだ、
やっぱり動物を見てると心が癒される、僕は動物が大好きだ、
そろそろ歩こう、お母さんを待たせるわけにはいかない最後の左端の動物を見たら帰ろう、そう思って左端の動物に目を向けた、
白い毛、青い目それは、とにかく可愛いネコだった、
僕はそのネコに魅入ってしまった、あの猫が欲しい、そんな気持ちが心の底から溢れ出す
ずっと魅入っていた、ずっと同じ方向を魅ていた僕をお母さんが
『あのネコ飼いたいの?』
言ってくれた、それに僕は首を縦に振った
生まれたてのネコだったからちょっと高かったけど、このネコでこの心の傷が癒やされたらいいな
家に帰ってきた、両手には猫が入っているカゴを抱えている、
『どんな名前にしようか』
お母さんが呟く、
ネコをカゴから出して、ネコによくありがちな名前を読んでいった
ミケ、ムギ、ソラ、モモ、ルナ
そのほかにもありそうな名前を言っていった
夕飯を挟んだものの、夕暮れごろに帰ってきて、深夜になっても名前は決まらなかった、
『ほわぁぁ、、お母さんは眠いから先に寝るね、水城も早く寝なさい』
そう言い残し、お母さんは寝室へと歩いて行く
『なあ、お前はどんな名前がいいんだ?どんな名前なら満足するんだ?』
いろんな名前を呼んで行った、それでもネコはこっちに歩いてこない、
『ショウカ……』
本当に小さく呟いたそしたら次の瞬間、ネコはこっちに向かってもういいかげん猛突進してきたのだ
ネコは人間より数倍も聴覚がいいらしい、それでも聞こえないような声で呟いたつもりだ、
『ショウカ?』
もう一度呟く、そしたらそのネコは満面の笑みを見せながら僕の手を甘噛みしてきた
とっても嬉しそうだ、
僕は少し笑った、あの事故が起きてからはじめて笑えた
徐々に心の傷を癒していこう
僕が学校に通い始められたのはその事故から2ヶ月経ってからだった、その期間は、家でショウカと遊んでいた、このネコは本当に可愛い、
心にぽっかり空いた穴は、ある程度満たされた、
学校に通い始めた頃には、もう心傷は癒えた、
僕が再登校し始めた頃には、もう卒業式の準備が進んでいた、そして登校再開から2ヶ月後、僕は小学校を卒業した、卒業式は華やかだった、でも、
こんなに良い卒業式なら、アイツと一緒に出たかったな……
コメント
2件
安心してください 今作も次作もハッピーエンドなんで でも三作目を描くとするならバッドにしたいっす
五月中には完結する予定です、 六月くらいからは新作もある程度考えてます