(もうダメだ!!! )
ーその時ー
秀信「そこまでだ義時!!」
殿「蒋済家が何故ここに?!なんのつもりだ!!」
秀信「貴様の悪行は度を越えすぎた。よって我の手で貴様を終わらせにきた」
殿「ヒィィィィッッ 死んでたまるか! お前ら行け!」
武士「………。」
殿「お、おい!聞いておるのかお前ら!」
バタバタ…
次から次へと倒れていく武士達。
そこには、護衛を引き付けたっきり姿を見せ無かった総悟さんがいた。
殿「どういう事だ…いつの間に殺られて…?!総悟…お前が殺ったのか」
総悟「はい。私が殺りました」
殿「何故だ!お前は余に忠誠を誓ったではないか!
まさか、あの女狐に騙されたんか?!」
総悟「違います」
殿「じゃあ何故余を裏切ったのだ!!!」
総悟「 これ以上貴方の悪事に見て見ぬふりなどできません。
それに、私には新たに仕えるお方ができました。
これからは蒋済家に仕えます」
殿「許さん……許さんぞ!!!誰がここまで育てたと思っておるのだ!!
本当にお前は死んだ出来損ないの父親そっくりに育ってしまった。
親が親なら子も子だな」
総悟「今の言葉、取り消して下さい」
殿「ハッ、本当の事ではないか。
何をやってもダメなお前の父親が余にここから去る代わりに腹の子だけはここに残して欲しいと必死にせがまれてな。
お前が産まれた後、 ここを去って自害したのだ。
なんとも情けない最期だったぞ(笑)」
総悟「黙れ!!!
そんな事…そんな事全部知っておったわ!!
元々身体が弱い母上が俺を産んで死んだことも、それに心を病んだ父上に畳み掛けるようにアンタが自害に追い込んだのも!!!」
(今まで総悟さんは家族の話をしたがらなかったけど、それにはこんなにも壮絶な過去があったからなのか…)
殿「わ、悪かった。な?
だからどうか許してくれぇ総悟……お前の親代わりだった余を裏切らないよなぁ?」
総悟「だけど、アンタがここまで育ててくれた事には感謝している。
だから……せめて苦しまずに逝かせて差し上げます」
殿「……………は??」
ザシュッ………ドサッ
鋭い音と共に殿様の首が吹っ飛び、地面に転がった。
斬られた体から大量の血が吹き出て周りを赤黒く染める。
産まれて一度も目の前で人が
殺される光景を目にした事が無い私は驚きと恐怖で身体が動かず、上手く状況が飲み込めないでいた。
総悟「はぁー………。」
総悟さんはため息を吐きながら暁の空を見上げていた。
遺体は蒋済家が処理し、側室達はそれぞれ蒋済家の馬車に乗って帰って行く。
帰蝶「栞様大丈夫ですか?」
栞「はい……ただ目の前で人が殺されるのは初めてで…」
帰蝶「それは、お辛かったでしょう」
栞「あの、総悟さんはどちらに?」
帰蝶「今、 秀信様とお話しております」
栞「ありがとうございます!」
帰蝶さんにお礼を告げ総悟さんを探すが なかなか見つからない。
もしかしたらと屋敷の中を探すと総悟さんの部屋の襖が少し開いているのが見えた。
トントントンッ
栞「栞です。入ってもいいですか」
総悟「ああ」
襖を開けるとこちらに背を向けてはいるが酷く項垂れている様子の総悟さんがいた。
栞「大丈夫ですか?」
総悟「やっとすべて終わった」
『全て』には復讐の意味も入っているのだろう。
パサッ
後ろの本棚から一冊の古い本が落ちた。
それを拾い上げページをめくると1ページの初めに『これからの日々をここに記す』と書き綴られていた。
栞「コレは総悟さんの日記ですか?」
総悟「俺は日記など書かん」
栞「じゃあ、コレって?!もしかして総悟さんのお父さんの日記なんじゃ?!」
総悟「貸してくれ!」
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