[殺し屋]、これは平和な魔法界の裏でひっそりと活動している裏社会の組織。この[殺し屋]になるのは金銭的な理由、家の階級、何か大きな裏社会に関わる問題を起こした者達が九割九部である。空色の髪、整った顔立ち、頬に刻まれている二本線の持ち主、「ランス・クラウン」も例外では無い。裏社会のお偉いさんにちょっかいをかけられた妹を守るために反抗してしまった。そのため職を失い、日銭を稼ぐためにこのような非人道的な仕事をせざるを得なかった。
「今回のターゲットだ。」
上司にあたる人物から資料を受け取ったランスは普段の仏頂面からは想像出来ないくらい目を丸くした。
「ドッ…ト…?」
ランスが口にしたその名は資料と完全に一致していた。少しオレンジがかった夕日のような赤髪、口を開けた時に見える八重歯。特徴的なヘアバンドは今はもうしていないようだ。
「どうした?知り合いだったのか?」
上司に問われランスは柄にもなく動揺しながら振り絞ったような声で
「そう…です。学生のころの友人です、」
とたどたどしく答えた。
「そうか。友人だからって“そういうこと”したら分かるよな?」
「はい。勿論です。」
どうやらランスは殺さなければいけないようだ。
今も想いを馳せている元恋人を。
コメント
1件
危機感の気配…!! ( ゚∀゚):∵