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[スパイ]というのはかっこいい。と、幼い時は思っていた。当時流行っていたアニメの印象が強いのだろう。警察という敵を欺き華麗に情報を入手する。スパイと怪盗がごっちゃになって何故かスパイが宝石を狙っていると思ってた時期もあったそんな憧れの肩書きをドット・バレットは持っていた。実際のスパイは警察と面と向かって対決などしたら負け確定だし、宝石なんてもっての他。
潜入捜査などはあるが上位のお偉いさんたちの役目だ。俺みたいな一組員が任されることでは無い。そもそも仕事が回って来ないのでアルバイトで生活を繋いでいるただの貧乏だ。
「あー。やばいな、」
今月の家賃と給料を見比べてふと声を漏らす。明らかに釣り合っていない。どうしたものか。この家と離れるのも時間の問題だろう。
そんなとこに珍しい奴から連絡が入った。
『お前生活大丈夫か?』
なんで知ってんだよこいつ。
『だめ』
素っ気なくなってしまった…、久しぶりだから感覚が掴めない。妙に緊張してしまう。
『もし良かったら俺の家に来ないか?』
は?
どういうこと?
こいつは俺との関係を覚えているのだろうか。
元恋人。しかもかなり前の。
あいつは可愛い彼女とキャッキャウフフ♡しながら同棲でもしているんだと思っていた。
元恋人を家に呼ぶ神経が俺にはよく分からない。
『嫌だ。』
本心だ。もう別れたというのが一番の理由だが、気まずいのと、…きっとこの気持ちが抑えられなくなってしまうからだ。
『でも、生活が厳しいのだろう?』
クッ…なんでそこまで知ってんだよ、
確かに痛い所を突かれた。そう。住む場所が無いのだ。でも、流石にな…
『俺と一緒に住むのは嫌か?』
そんなことは全くない。むしろ逆まである。
『そういう訳じゃねぇけど…』
『じゃあ決まりだな。早めに荷物を纏めて家へ来い。』
は?
どうやら一緒に住むことになったようだ。
今も想いを馳せている元恋人と。