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部屋には監視カメラがある。ドアには内側から鍵がかからない。窓は格子付き。
数日間、食事はきちんと出された。傷つけられることはなかった。
ただ、いるまは毎日顔を見せ、らんの隣に座っては一方的に話しかけてくる。
🎼📢「お前、朝は弱いだろ? 休みの日とかずっと寝てんの?」
🎼🌸「……別に、関係ないし」
🎼📢「いや、関係ある。俺が知りてぇから聞いてんだよ」
🎼🌸「……っ」
いるまの距離感は常に近い。触れはしないが、目は決してそらさない。
⸻
ある夜、らんは覚悟を決めた。
スプーンの柄をポケットに隠し、深夜、監視の死角を縫ってドアの鍵穴をいじる。
あともう少し――というところで、
「……なにしてんの?」
その声に、心臓が凍りついた。
振り返ると、そこにはいるま。
黒いコートを肩にかけたまま、無表情で立っていた。
🎼📢「逃げようとした?」
🎼🌸「っ……だって、ここ、おかしいだろ……! 警察に、通報されるよ……!」
🎼📢「俺が誰かわかってねぇみてぇだな。……この部屋出たら、その瞬間に”処理”されんのはお前のほうだぞ」
らんの手からスプーンが落ちる。
🎼📢「……でも、逃げようとしたの、初めてだな」
いるまはゆっくり近づいてきて、ベッドに腰を下ろす。そして、乱れた前髪をそっと払った。
🎼📢「俺は……お前を傷つけたくねぇ。でも、お前が俺を無視するなら、話は別だ」
🎼🌸「……どういう、意味」
🎼📢「言葉でわかんねぇなら、身体で覚えさせるしかねぇか?」
息が止まりそうになる。
その指が頬に触れた瞬間、らんは震えながら叫んだ。
🎼🌸「っ、やだ……! やめてよ!」
その声に、いるまの手が止まる。
しばらく沈黙のあと、ふっと笑った。
🎼📢「……やっぱ、お前は逃げる顔も可愛いな」