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そして三日後の月曜日。
放課後、いつものように占い屋へ向かったけど
おばあちゃんは居なかった
会えないのは稀にある事だけど今回ばかりは様子がおかしかった
店の明かりも無く妙に静かで,まるで誰も居ない空間に迷い込んだかのようで…不気味だった
変な思い込みだと思って
僕は結局その場を離れた
おばあちゃんが病院に運ばれたという悲報を聞いたのは、少し経った後の事だったのだ
小学生の僕と強面占い師
第4話_僕と怖い人の出会い
*タクヤ「〜…っでさ?結局のとこ、今あそこは動いてないみたいでさ、スポットとして成り立たなくなったって訳よ」*
*ユウト「…そうなんだ……」*
授業の合間の昼休み,
いつものようにタクヤが僕の机を挟む形で席に座り学校内で話題になっている占い屋について状況を話してくる
しかし噂というものは全て曖昧で明確な証拠が無い為、タクヤが自己分析で正しいと思う噂を話した
・おばあちゃんは救急車に運ばれた
・噂によると心臓が弱かった
・一人で暮らしていた上,搬送が遅く手遅れになった可能性がある
との事だ
どの道,聞いても嫌な話だった
軽く腕を擦りながら空っぽの頭で何とか彼の言葉に相槌を打つ
彼は少し困ったように眉を顰めこめかみ部分を指で軽くかくとおずおずと喋り始めた
*タクヤ「いや…まさかユウトがそんなに気に入ってたとは思わなかったよ…仲…良かったんだな」*
*ユウト「…うん」*
結局僕は、おばあちゃんとの思い出を全部タクヤに打ち明けた
初めは冗談だろっと笑ってはいたが最後まで話すと彼の顔は真剣になっていった
__ごめんな…気付けなくて
それからタクヤは僕の為に必死に噂を探ってきてくれたのだ
普段ふざけたヤツだけど…こういうところは無性にかっこよくて友達で良かったと思う
*タクヤ「……今日も見に行くのか?」*
タクヤがそう尋ねると
僕は少し間を置いてからコクっと頷いた
もしかしたらデマで,本当は今元気にしてるかもしれない
またイタズラで僕を驚かせようとしてるのかも…なんて希望が少しあったからだ
*タクヤ「そっか、俺も!…って、言いたい所だけどさ、今日母ちゃんに妹の面倒頼まれててさ…早く帰んなきゃ行けなくて」*
*ユウト「全然…!妹の面倒か…いいお兄ちゃんだね」*
*タクヤ「…ふふーん!だろ?」*
彼がニカッと笑うと同時に次の予鈴が鳴る
タクヤは、じゃあな!と片手をあげて小走りに自分の席に戻ると今更ながら次の授業の準備を始めていた
それが可笑しくて僕は1人ふふっと笑みを零した
(今日は1人か…)
ふと窓越しに空を見ると雲行きが怪しくなっていくのが見えた
雨の予報はなかったから午後にでも晴れるだろうと思っていたが、天候は放課後になってまでも不機嫌なままだった。
*ユウト「寒っ…」*
いつもの商店街の道を、僕は1人歩いていた
アヤノは数日前にインフルエンザに掛かっており学校に来ておらず、こうして一人で帰るのは何かと久しぶりだ
白い息を吐き出して
手袋をつけた両手をみっともなく上着のポケットに突っ込むと少しは寒さが和らぐ気がした
元気のいいお肉屋さんのおっちゃんの声
新鮮な魚が並んだ魚屋の店
出来たてのコロッケのいい匂い
いつもの光景なのにいつもと違うのはきっと
一人でいる寂しさと寒さのせいかな
*ユウト「……ん?あれは…?」*
いつも曲がる場所の路地付近にタクシーが止まっている
運転士は中に居るがお客さんらしい人物は見当たらない
なのに乗車中と文字が表示されていて、まるで誰かを待っているようだ
(まさか…おばあちゃんが…!)
僕はポケットから手を出すと出せる限りのスピードで路地裏に入り込んだ
途中タクシーの人に声を掛けられた気がしたがそんな事よりも僕は目の前の希望に胸が高なった
もしかしたらおばあちゃんが帰ってきたのかもしれない…!
暗くて狭い路地をひたすらに走ると いつもの広い場所が見える
息を吐きながら寒さに凍える体のことなんて忘れて感覚の無くなった手を力一杯振る
おばあちゃんと会ったら何を話そう…
身体は大丈夫?とか学校であった話?そんなの沢山あり過ぎて今日だけじゃ足りないかもしれない
今度タクヤとアヤノも誘って、会いに来よう…
なんて考えていると僕は広い場所に出た
ユウト「はぁ…はぁ…」
呼吸を整えながらぐるりと当たりを見渡す
それは昨日見た景色と同じでただ孤独さがそこにあるだけだった
それでも僕は1つの可能性に縋る
*ユウト「あ…あの〜…!おばあちゃん…!居ますか?……僕です!ユウトです!」*
……
しかし返事はない
店も人がいる気配は無く僕は立ち尽くすしか無かった
*ユウト「…おばあちゃん…」*
「…せ…けど……」
その時店の中から声が聞こえたのだ
間違いない。声は目の前のおばあちゃんの店から聞こえるものだ
*ユウト「…!おばあちゃ…」*
「へぇ…?んでそれがなんや,うちは関係ないやろ」
目の前の扉がガチャっと音を立て、ゆっくり開いて行く
(…!違う…男の人の声だ…)
そう気付いた時、真っ暗な店の中から背丈の高い男の人が現れた
顔までははっきり見えないが、相手は電話をしていたようで視線は僕の方へ向けられている
「…あぁ…悪ぃけど…後で掛け直すわ…ほな」
ピッ…と通話を切ると男はスマホをポケットにスルッと流した
「坊主…ここが何処か分かって来てんのかい?…家…間違えてんで」
鋭い視線が一気に飛び込んでくる感じがした
体が思うように動かない…
ヘビに睨まれたカエルとはこの事だろうか
そんなことお構い無しに男はとん…とんとタバコを取り出しながらゆっくりと僕に近付いてくる
「なぁ坊主…悪ぃこと言わへんからとっととこっから帰りぃや…ママとパパが心配すんで…な?」
スゥ…と煙草の煙が男の口から出るとそのまま上へと上がり薄暗い雲の空へと消えていく
薄暗くてよく見えなかったが 僕を見下ろす,その目にはまるでエモノでも見つけたかのようにうっすらと僕が映っていた
まるでネズミのような僕の姿は眼球越しではあったが酷く怯えた顔をしているのがわかる
なんだろう…すごく怖い
僕はただ、いつも通り……おばあちゃんに会いに来ただけなのに…
「…坊主震えてんで…?」
(間違いない……この男…)