第二話
「____…ここが、生徒会室かな」
入ってきたのは紫の髪色をした男
窓から届く光に照らされ、紫色の瞳が輝く
微かに細められた瞳、数ミリ上げられた口角
まるで、完璧な笑顔だ
「……ハァ、答える必要が何処にある」
「條檻ななもり」
「アッハハ、それもそうだね。黄志紀るぅとくん」
「それにしても、名前を覚えてて貰えるなんて、光栄だよ」
まんで、AIが話すようにツラツラと出てくる言葉を吐きながら、條檻は俺に指定されたソファーに腰掛けた
「……それで、何の用だ。手続きも案内も説明も済んだだろう」
「…ふふ、その様子だと、最初から気づいていたみたいだね」
「少しずつ気配を調整して、僕達がいつ勘付くのかを測っていたくせに、よく言うよ」
鼻で笑い、嘲笑うかのように言い放つころちゃんにるぅとくんは一瞬目を鋭くさせ、ころちゃんを睨んだ
「……で、何の用なんだ。條檻ななもり」
額に手を当て、何度目かのため息をついた後、るぅとくんは條檻を見た
「ははは、そんな堅くなんないでよ。今日はただ……」
「……ただ仲良くなろうと思って、ね」
なんとなく、目が合った気がした
「……何故?」
「それは勿論、今後のために」
その瞬間、ガタッと音がして
「これ以上話す必要はない。帰れ」
そう発したのはころちゃんで、今まで聞いたことのない低い声をしていた
クス、と微かに笑い声が聞こえてころちゃんから條檻へと視線を変える
「……まぁ、いいよ。今回は」
立ち上がった條檻は扉の前に立ち、ニコリと微笑んだ
「それではまたの機会に____」
パタン、と閉ざされた扉を、俺はジッと見つめた
コツ…コツ、と誰もいない日差しのいい廊下に、二つの愛音が響いた
「____…おい」
「ん?」
微笑んで振り返った先には先程俺を追い返した水色の子
「何の真似だ」
「何の話?」
「惚けんなよ」
眉間に皺を寄せ、瞳には怒り、憎しみ、恨み、様々な負の感情が滲み出ている
「誰の命令だ。何故此処に来た。何故彼奴まで連れて来たんだ」
一気に近づかれ、胸ぐらを掴まれる
「これ以上、あの子の何を苦しめるつもりだ…!」
ドスの効いた顔には似合わない声
「……俺が、何をしたの?」
「…っ!」
きっと今、これ以上ないくらいの怒りが湧いているのだろう
あの子はこの子にとって1番なのだから
…きっと、あの時よりも、怒っているだろう
今にも俺を殺しそうな表情とオーラに冷や汗をかく
でもね、君は俺を殺せない
「…………っ、あの子に何かしたら、ただじゃ置かない」
バッと突き放すように手を引かれ、彼は踵を返した
「…………良かったの?出てこなくて」
そういえば影から姿を出したジェルくん
「………そもそも出ていける空気ちゃうやろ…笑」
「……確かにね。でもあれは、ちょっと感情が出過ぎだね」
こんな近くに彼がいたのに、気が付かないなんて
クスクスと笑う俺とは逆にジェルくんは少し悲しそうな表情で彼の消えた先を見つめていた
「……謝って、済む問題やないよな」