赤side
その日の帰り道
冷たい風に吹かれながら、帰り道を歩いていく
「…____ ♪ 」
夕陽を眺めながら、なんとなく頭に浮かんだ歌を歌う
ふと、視界に映っていたころちゃんとるぅとくんが動きを止めた
「…どうしたの?」
「……ぇ、あ…莉犬、その歌…何処で知ったの…?」
明らかに動揺しているるぅとくんに、首を傾げる
「…ううん、ふと思いついたから」
「そう、なんだ。素敵な、歌、だね」
るぅとくんはヘラっと笑うと、下を向いた
前髪で見えなくなった表情に、何も思わない振りをして前を向いた
「…………………」
青side
狂ってしまいそうだ____
何故、今になって戻ってきたのか
何がしたいのか
全てが分からなくて、持っていた液晶端末を思い切り投げつければ画面はバキバキになって外れ、様々な部品が砕け散った
壁にはヒビが入っている
「…………マジ、死ねよ」
何故僕がこんな思いをしなくちゃいけない
何故僕がこんなコトをしなくちゃいけない
「………殺す…絶対、許さねぇ…」
俺の人生を狂わせた彼奴を
「…メチャクチャにしてやる」
彼奴も、”あの子”を壊したあの方々も
全て
「____…あーあ、こんなにしちゃって、まったく」
キィィィ、と重たい扉を開けて入ってきたのは黒いスーツを着たるぅとくん
「もー…この訓練場作るのに結構お金かかったんですよぉ?元通りにするためにまたお金かかっちゃうじゃないですか」
「…る…とく、」
上手く、声が出ない
1つ息をつくるぅとくんは座り込む僕の前に立つと膝をつき、視線を合わせた
「____…はは、本当に君は、泣き虫だね」
クスリと笑うるぅとくん
その言葉に、初めて泣いていることに気がついた
「僕は……僕は何をしたらいい…?」
「何をすればいいのか……もう…っ分からなく…なりそうだ……」
きっと、怒られてしまう
こんな事で、簡単に挫けてしまう僕に
るぅとくんはきっと、呆れてしまう
伸ばされた手に体を強張せるが、意味はなかった
「………一緒に、背負うから…一緒に頑張りましょう」
「一緒に、あの子と幸せになろうね」
ギュッと強く、抱き寄せられ、頭を撫でられた
「僕が絶対、君を守ってあげる」
「だか、君が僕を守って」
「そして、2人であの子を守ろうね」
第三話
赤side
あれから彼は事あるごとに毎日生徒会室に来ていた
「____…ねぇ、どうして君達は授業に出ないの?」
好奇心旺盛に目を輝かしながら俺逹を視てくる
「……………………生徒会の者は授業に出なくてもいいんだ」
暫くの沈黙の後、條檻を見つめていたるぅとくんは諦めた様に口を開いた
「へぇどうして?」
「この学校には、ptがあるでしょ?それが行事ごとに発表されてTOPだった場合、生徒会は授業に参加しなくていいんだよ」
まるで、言葉を理解したての子供みたいだ
なんでなんでと、アホ毛を揺らすその仕草
「この学校は結果が全てだからね」
「………………ハァ、何故こんな事を知りたがる。ていうか、これも全て初日の説明で聞いたはずだ」
私立百花薔蘭学園《シリツ ヒャッカソウランガクエン》
幼稚舎、初等部、中等部、高等部、大学部が連なりそれらを囲う様に駅、病院、飲食店、ショッピングモールなども隣接してある超巨大な学園
中等部から入学式の次の日に行われる新入生歓迎テストという名の最終審判
そこで全科目50pt以上得ないと、そこで即退学となる
定期テスト、文化祭、体育祭、修学旅行等の必須行事、不定期に行われる行事ごとに100pt以上得なければ退学
年に5000pt得なければ退学
1つでも赤点を取ると全科目−50pt
日常の行動もptは加算されたり、減点されたりする
行事ごとに順位は発表され、1位になれた者が生徒会会長となり、2位から10位の間で生徒会のメンバーを最低2人以上決められる
だが、決められると言っても好きな者を選べる訳ではない
例えば4人欲しいとなると、2位3位4位5位が選ばれるといった形になる
そして選ばれた生徒会は授業に参加しなくても良い
その代わり日常のptは貰う事が出来ない為、行事で全て補いTOPを取らなければならない
ジッと條檻を見るるぅとくんは何処か疲れている様に見えた
「えぇ?だって、俺_ 」
「生徒会に入りたい」
「……なんて言わないよな」
今までよりも更に目を鋭くさせたるぅとくんは、立ち上がった
「今日はもうお引き取りを」
「俺なんか怒らせること言ったかなぁ」と囁き、るぅとくんの行く末を見つめている條檻は微笑んだ
重たい扉を開けると、條檻は眉を下げて一度笑った後素直に立ち上がり生徒会室を出て行った
終始ずっと黙っていた俺は席に戻っていくるぅとくんを眺め、席についたのを見て口を動かした
「良かったの?」
「いいのっ、ああいう人は生徒会には要らない。それに十分人も足りてるもん」
「この間は人が足りないーって言ってたのにね」
「あっ、あれは、えっと…その…」
んー、と何かしら理由を絞り出そうと顎に手を押さえて考え込む姿にふっと笑みが零れる
その時、先程閉ざされた扉が再び開かれた
「____…あれ、なんだ。もう帰ったんだ」
「…て言いながら、どうせ見計らってたんでしょ」
「素直じゃないですねぇ」
入って来たのはころちゃんでソファーに凭れ掛かり、天を仰いだ
疲れた様に重く、深い呼吸を繰り返すころちゃんにるぅとくんは一度溜息をついて立ち上がった
「………もー…今回のはそんな苦労する様な相手じゃなかったと思うんですけど…」
「……………別に、任務はいつも通りだよ」
「ただ……ちょっと油断しただけ」
ころちゃんは、前に立ったるぅとくんを抱きしめ、膝に乗せた
るぅとくんはそれをさも同然のようにころちゃんの頭を撫でている
正直、こっちの身にもなって欲しい
ズズ、とココアを口に入れ、2人を尻目に外を眺める
白く光り輝き世界を照らす太陽
その姿が雲に隠されていくのを見つめ、強く願った
元に戻れます様に、と
コメント
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こ は な ま る 様 の マフィア 好 き す ぎ ま す 〜 😵💫😵💫 ︎🫶🏻💕 続 き 楽 し み に し て ま す !!
続き楽しみです👍🏻👍🏻
続きは♡500〜