レイラー「どうします?この村の連中」
彼女が投げかけた疑問が部屋に響く。暫くの沈黙が続いた後、めめが話し出す。心ここにあらずといった様子だった。
めめ「…二人で協力してウパパロンさんを、ブロックテントのベットに運んでください。レイラーさんもブロックテントで待機です」
レイラーがついてこないことに驚いた。しかしすぐに、魔法を使いすぎた彼女への休憩を与えたのだと気づいた。分かりづらいが、めめなりの思いやりなのだろう。そういえば以前、魔力者は自分の限界以上の魔力を使うと、酷い疲れがでるとめめに聞いたことがあった。表に出していないだけで、実はレイラーはかなり疲弊しているのだろうか。
めめ「この村の処遇は、村の村長と話し合って決めます。いえもんさんは彼を運んだ後、私についてきてください」
いえもん/レイラー「分かりました」
彼の腕を自分の首にかけウパパロンを背負う。痩せ細った見た目以上に軽く、生きているのを疑う程だった。食事も満足に食べさせてもらえなかったのだろうか…。
レイラーが出したブロックテントの中に入り、とりあえず空き部屋のベットに寝かす。着替えは本人が起きてからでいいだろう。
彼を看るために必要な物を取りに行っていたレイラーに後を任せ、俺は外に出てめめと合流した。
まだ彼女の精神状態は回復していないようだ。ピリピリしているような雰囲気に包まれためめが前を見つめる。
めめ「行きましょう」
その呟きは、いつもよりか弱かった。
階段を上がり地下室から一階に戻った。ブロックテントは持ってきているので、そのままさっきと逆の順序で板を戻す。もう二度とこんなことに使われることのないように、彼以外の犠牲者がでないように願いながら、地下階段に蓋をした。
それが終わると、また階段をのぼって2階へ上がる。建物の一階は話し合いの場、二階は村長の居住区としていたようで、玄関のようなドアが現れた。
鍵がついていないのを確認して、ドアノブに手をかけた。一度めめと頷き合い、俺は無言の連携でドアを勢いよく開ける。そのドアに負けない速さでめめが中に入り、魔法で相手を捕縛する。
男「何だ!?離せ!!」
その中にはこの家の主……村長らしい中年の男がいた。鎖をほどこうとジタバタと暴れており、必死さが溢れ出ている。
めめ「あなたがこの村の村長ですか?」
男が必死にブンブン首を縦に振って肯定する。恐怖で声が出ないのだろう。
彼女の星の蒼い光のような瞳が、黒く暗く、闇の魔法のように染まっていく。
めめ「村長さん。お話に来ました」
声に感情が籠もっていなかった。
村長は、もう暴れることはなく、ただガタガタと震えていた。いくら抵抗しても、闇の鎖はほどけない。そのことを悟ったのだろう。
めめ「まず質問です。ウパパロンさん……あなた達が『水の使者』だと思っていた人をなぜ閉じ込めたのですか?」
村長は慌てたように自己弁解を始めた。
村長「……おお俺たちは被害者だったんだ!山のふもとの村長に騙されて、あいつを買ったんだ……!でも、『水の使者』様ではなかった………俺たちは、あいつに責任を持ってもらっただけだ!」
いえもん「っはw…責任って……。自分達が求めてたものとは違ったから、イライラして八つ当たりしただけじゃないんですか?w」
嘘だろという感想と共に、下手な責任転嫁に思わず笑いが込みが上がってくる。
村長「やや八つ当たりだと!?あいつが飯を食わなかったから、食わせるために殴ったんだ…!」
ウパパロンが自ら飯を食べなかった?あんなに痩せてたのにそんな訳がないだろ。
村長が言い訳を重ねるたび、次々とボロが出てくる。よくもまあここまで馬鹿な行動ができるものだ。
めめ「それなら、なぜ村に水があんなにあったんですか?ウパパロンさんが偽の『水の使者』なら、あなたたちが言う『水龍』様というやつは起こせないはずでは?」
村長「……あいつが出したからだよ…!。水を…手から…。そこで能魔者だと気づいたんだ……!」
水の能魔者か…。それなら村に水が溢れかえっていたのも辻褄が合う。『水の使者』を通じて『水龍』なんてものにわざわざ水をもらわなくても、そいつから搾り取れば十分すぎる量を取れるからだ。そちらの方が圧倒的に早いし、最悪使い捨てもできる。
俺が一人で思案していると、村長が愚痴をこぼすような口調で話し出す。
村長「…『水の使者』様だと思ったのに、なにが能魔者だ。あいつの穢れた姿を見たくないから地下に閉じ込めた。そのついでに水を利用しただけだ」
いえもん「は?……」
怒気が身体中を巡る。腹綿から、火で炙られているような怒りを感じた。
脳裏にこれまでのことが反芻される。
あいつは…………あいつは……あんなに綺麗だったのに……なんで……
なんでお前みたいなやつが生きてんだよ!!
いえもん「能魔者が穢れているだって!?いい加減にしろ!!!」
俺は気付いたら大声で怒鳴っていた。
村長「っはw、人外の端くれの癖に。」
村長は煽るように言葉を吐き出す。まるで最後の足掻きのように。
いえもん「ッ俺たちは_」
めめ「やめてください。いえもんさん。この人たちは救いようがありません。相手をしても疲れるだけです」
静かな、しかしそれでいてはっきりとした声で制止される。
……感情的になりすぎた。彼女の言う通り、こんな奴のために体力を消耗するのは無駄だったと反省する。
めめ「あなたたちが水に困窮していていたのは同情します」
めめ「ただ、だからといってウパパロンさんを閉じ込めたり殴ったりしていい理由にはなりません。……なので私は_」
めめ「この村に”宣戦布告”します」
ここで切ります!ウパパロンさんの代わりに復讐始まりましたね〜。今回も補足なしで!
テストで忙しいのでここまでにします。
また来てね!
コメント
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いいね〜!!久しぶりに見た気がするけどやっぱ好きよこの話☆え、こいつ誰やねんっていま思ったでしょ〜私観測者〜☆忘れたとか言わんでよ!?カナシクナルカラ☆現在私スマホ取り上げられてまして妹のあかでタブレットから入っておりま〜す☆(テラーへの執着ゴキブリなみw)