テラーノベル
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キィィィ……
〈親潮駅、到着でーす〉
そのアナウンスが車内に響くと、
先程まで泳いでいたマグロやサバなどに代わって、
サケやタラ、ニシンにホッケ、カレイやサンマなど、様々な魚が泳ぎ始めた
心なしか珊瑚駅や黒潮駅とは違い、ひんやりとした空気が漂っている
〈こちら、非常に得られる情報が多い駅となっております。〉
〈是非、今後の旅路に活かしてみて下さいね。〉
〈そして、引き続き汽笛が鳴りましたら戻ってきてください〉
〈それでは、行ってらっしゃーい〉
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
駅の中は列車の中よりもひんやりと冷たい空気が漂っていて、
駅はとても広く、静かだった。
駅構内には一面に本棚が並んでおり、
駅と言うより図書館と言った方がしっくりくる。
「あれ……誰?お客さん?」
声がして正面を見ると、
カウンターの中に背の高く、
鬼の面をつけて、
猿の偶像を持った男が佇んでいた。
nk「えっ…と、、」
「あぁ、マヨイビトか。」
「俺は…この駅の駅長だよ。」
nk「僕は__」
「Nakamuだよね、待ってたよ」
nk「…どこかでお会いしましたっけ?」
「いや、初めましてさ。」
「でも知ってるよ、君達のことは」
br「それはどういう__」
「それより、君達にはここで色々知ってもらわなくちゃならない。」
nk「どういうことです?」
「俺の口からは言えないけど、これは絶対だ。」
「列車や車掌、駅、君達に関係するもの全て調べて。」
sya「ぜ、全部ですか?」
「できる限り全部調べて欲しい。」
「ここでいかに真相に近づけるかで、君たちの道筋が定まるから。」
nk「道筋…」
「さぁ、本の場所はお面が教えてくれる、早く探して。」
「そして本を見つけたら、もう一度ここに戻ってきて。」
nk「…ッ分かりました、探してきます」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
nk「うーん…」
お面が導いてくれる、と言われたものの、お面に変わった様子はない。
nk「…」
ふと、お面に触れてみる
ゴトッ
後ろから物音がして振り返ると、
そこには本が落ちていた。
nk「落としちゃったかな…?」
そう言って本を拾い、
傷ついた箇所がないか確認するためにペラペラとページをめくる。
すると、最後のページから可愛らしいクリオネのしおりが出てきた。
そっと拾ってみると、
それは本物のクリオネへと変化し、
宙を漂うように、でもまっすぐ一方向に泳ぎ始めた。
nk「……着いてきてってこと?」
そう問いかけると、肯定するかのようにクリオネは淡く光り始める。
nk「分かった。」
そう言って、俺はクリオネに着いて行った。
__しばらく歩くと、クリオネは青い表紙の本に近づいた。
nk「この本?」
そう問いかけると、本を引っ張り出し、俺の手に乗せてきた。
nk「読んでいい?」
そう問いかけると、否定するかのようにすいすいと駅の入口近くに泳ぎ始めた
そして駅の入口近くに着くと、すぐにどこかへ泳ぎ去ってしまった。
sya「あ、Nakamu!」
nk「しゃけ…あ、みんなも!」
br「僕、本見つけたよ〜ん」
Kn「俺は見つけられなかったな…w」
Kn「代わりにこんな物は見つけたけど…」
そう言ってきんときはキラリと輝くクラゲのキーホルダーを取り出す
sya/sm「クラゲ…!!」
Kn「あれ、知ってんの?」
sya「知ってるもなにも__」
sya/sm「ソイツがクリオネを食ったんだよ…!!」
シャークん達が声を荒らげた途端、
クラゲのキーホルダーは本物のクラゲに変化した
そしてクラゲはきんときの手を離れ、
シャークんとスマイルの方に勢いよく泳ぎ寄る
nk「危ないッ!!」
バシッ
その瞬間、鈍い音がして、
クラゲが叩き落とされる
「ふぅ〜…ごめんね、危険な目に合わせちゃって。」
そこに居たのは、鎌を持った駅長さんだった
nk「駅長さん…!!」
「……ごめんね。」
そう言って駅長さんは
クラゲを手ですくい上げる
「ここのクラゲは、本とか魚類を養分とするんだよね。」
「…そのせいで最近、クラゲが増えてきて、クリオネとかの魚類が減ってきてる。」
「……だから、こうやって駆除せざるを得ないんだ。」
そう言って駅長さんは切なげに微笑む
それと同時に、静かな空間にぼわぁぁっ、と汽笛が鳴り響いた
「さ、もう時間だよ」
nk「え、でも、本返せなくないですか…?」
「本は列車の中で読みな、その本たちは…」
少し間を置いて、駅長さんは微笑み、話を続ける
「その本たちは、君達の糧として持っていて。」
「……また、会える日まで。」
そして、ぼわぁぁっ、と2度目の汽笛が鳴り響く
「さぁ、もうお帰り、子供達。」
「……君達にユメクイ様のご加護があらんことを。」
〈おかえりなさい、どうでしたか?親潮駅は。〉
rd「俺寝てたわ…」
gt「なにしてんだよw」
rd「本とか読んでると眠くなっちゃって〜w」
md「勉強シテナイヤツノ言イ訳ダ」
rd「グッ……反論できねぇ…」
〈まぁ、楽しんで頂けたということで…〉
〈……おや、Nakamu、きりやん、Broooock……様、なにかお持ちで?〉
br「え?あー、本のこと〜?」
kr「そう言えば読んでなかったな…」
nk「列車の中で読んでって言ってたし、読もっか」
そっと表紙をめくり、書き出しを読み上げる
nk『海獣列車について。』
_海獣列車、別名 決断列車
海の上を走っていく列車で、
様々な駅を巡り、駅の者達は
人々を楽しませ、もてなし、成長させる。
だがその場所に魅了されてはいけない、
きっと決断を誤ってしまうから。
gt「…ガイドラインでも出てきてたけど、決断ってなんなの?」
pn「絶対重要だよね!?」
〈…さぁ?どうでしょうね?〉
rd「なーんか……嫌な予感〜」
tm「……俺も嫌な感じする、なんか…いや、なんでもない。」
〈さて、次のページをお読みになられては?〉
rd「……読んで良いよ、Nakamu」
nk「分かりました、、」
なんだか腑に落ちないが、
らっだぁさんが言うならそうしよう
nk『海獣列車について 2』
_海獣列車は片道切符で、
帰りの切符はもう存在しないが、
車掌や駅の住人の正体を見破れば、
乗り替えの切符を発行して貰えるんだとか。
pk「車掌や駅の住人……、、」
tm「その正体…?」
〈貴方達なら分かるはずですよ、正体が。〉
gt「ハァ〜…もうちょい分かりやすく言ってくんね?」
md「ソーダソーダー」
〈……分かりやすく言えば、“名前”を当てて貰いたいのですよ。〉
md「ハァ?」
〈らっだぁさん、ぐちつぼさん、ともさん、ぴくとさんなど、〉
〈みなさん、なんらかの名前を持っているでしょう?〉
〈それを当てるのです。〉
nk「…ふむ。」
rd「難しそ〜w」
先程までとは打って変わって
ふにゃふにゃした口調になるらっだぁさんに安心感を覚えながら、Broooockに話しかける
nk「Broooockの本、読も?」
br「あ、うん、そうだね〜」
br『海獣列車と花龍列車について』
_海獣列車は花龍列車と似て非なる存在。
海獣列車も花龍列車も片道切符。
だが海獣列車は、どんなに逃避したくても戻らなくてはならない
花龍列車は、どんなに戻りたくても進まなければならない
海獣列車は、どこか親しき者に似てる者の正体を1人でも見破らねば戻れない
花龍列車は、自分の正体、そして同乗者の正体を見破らねば進めない
nk「花龍、列車……」
br「…って、僕らが作った、ブラテのやつで合ってる…?」
〈はい、合っていますよ。〉
kr「……なるほどねぇー…」
kn「花龍列車と関係あるんだ…」
nk「ね、俺も似てるとは思ってたけど、関係あるんだな…」
〈さぁ、どうでしょうね?〉
rd「なんか車掌さん、めっちゃはぐらかしとるやぁーんw」
gt「もうちょい情報零してくれても良くないすかァ〜!?」
〈そういう決まりですので。〉
pn「なんも言う気なさそー…」
tm「ま、まぁ…次の本読も?」
kr「あ、はーい」
kr「……ん?」
nk「どうしたの?」
kr「いや……見てよ、この本」
差し出されたその本を覗き込むと、そこにはたった2文字しか書かれていなかった
“大人”
pn「大人……?」
rd「なんだっけ、エッセイ本…“それでも僕はやってない”だっけ?w」
pn「“だから僕は大人になれない”…な!?w」
rd「毛並みは大人なのになw」
pn「帯やめろww」
rd「まぁそんなことは置いといて…w」
rd「車掌さん、次の駅は?」
〈えー、次の駅は、“対馬駅”です。〉
〜〜〜♪
乗車中の皆様に、参加型企画のご案内を致します。
目標はただ、1つだけ。
“車掌や駅の住人の正体を見破ること。”
終点に着くまでに見破って、私に報告して下さい。
どの駅の駅長か、又はどの駅の住人か……又は、車掌か。
そしてその正体は誰なのか。
その正体を1人でも見破れば、
マヨイビト達に希望のある選択肢が与えられるかもしれません。
__是非、何度でも何人でも、ご回答下さいね。
では引き続き、列車の旅をお楽しみ下さい。
コメント
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珊瑚礁の車掌ーらだ美 イトーペン子 親潮の車掌ー猿山らだお