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握りしめる手が震えるし、変な汗をかいていて気持ちが悪い。


けれど真衣香は、逆らえるものなら二人の運命めいた再会に水を差したいし、どう行動すれば丸く収まるのかなんてきれい事、全て忘れて見ないようにして、自分本位に動いてみたい。


(最後くらいいいじゃない、別に、悪あがきくらいいいじゃない)


言い聞かせるように心の中で繰り返した。


「芹那ちゃんと坪井くんってどこか似てるよね」

「似てる? 本気でやめてよ」


芹那は心底嫌そうに眉をつり上げた。

これには少し坪井に同情する。


(さっきの見たのは……どっちかっていうと芹那ちゃんからに見えたけど……逆だった?)


だとすれば、自分自身にも大いに同情してあげなければ。

だって脳内には坪井から芹那を引き寄せキスをしている……そんな映像が繰り返し流れ始めてしまったから。


「お互いのことが頭から離れなかったなら、二人だけで済ませるべきなんだよ」

「は?」

「芹那ちゃんも坪井くんも、どうして周りの人を巻き込んで相手のことをもっともっと苦しめてやろうなんて考えるの?」


真衣香が放った言葉に、抱き寄せていた時の延長で肩に触れていたままの坪井の指先。それが、震えるように揺れて、反応した。

その先にいる芹那も険しく眉を寄せて真衣香を睨み続けている。


そんな空気を感じ取ったのか?

隼人が「す、座る? えーっと、ここ目立つし。さっきのベンチ戻る?」なんて気を遣ってくれているのだけれど。

真衣香は小さく首を横に振って隼人に答えた。


(今、途切れちゃったら、もう言えなくるかもしれないし)


目が合うと隼人はただ頷いてくれた。

申し訳なさを覚えつつ、感謝を胸に真衣香は胸の中に溢れる言葉を形にしていく。


「私ね、坪井くんのこと大嫌いになりたかったし、なったつもりでいたし。他に好きになりたいと思う人もいたんだよ。絶対に私のこと傷つけたりしない優しい人」

「はぁ? 本人目の前によく言うのね。なかなかじゃん」


真衣香が何を言いたいのか掴めないせいだろう。芹那は苛立った声で真衣香に返す。

いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました

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