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参加型企画
〜第6話〜
・固定夢主あり
・キャラや口調が解釈不一あります
・基本的に夢小説なので気をつけていますが、キャラ崩壊があるかもしれません
・この小説に出てくる国や地名、団体名は実際に存在するものとは一切関係ありません
【クララの黙考】
『…ところで、マシュー君は踊ったことあるのか?』
すでに一曲踊ったルマは聞く。
『あるよ、英才教育の一つでね。』
『へ〜、凄いんだな!』
『ふふ、それほどじゃないよ』
マシューは謙遜するが、彼の身につけているタキシードはとても板に着いている。
それに、よく見ると
整った長いまつ毛と吸い込まれるような瞳、くせっ毛だがフワフワとした髪の毛。
タキシードも相まって、まるで小さい時に見た童話に出てくる王子様みたいだった。
『……ねぇルマ?』
『ん?なんだ?』
『僕の顔になにかついてるかな…?』
『その…あんまり見られると恥ずかしいから…』
マシューは頬を淡い赤色に染めて目をそらす。
『え!?そ、そんな見てた!?』
『うん…結構ね…』
『ご、ごめんだぞ!』
ルマは慌てて両手で目元を覆った。
『ううん、謝らないで!、』
『…それに、君に見られるのは嫌じゃないんだ。』
マシューは優しくルマの手を取り、手の甲に一つキスを落とす。
軽いリップ音が聞こえ、ルマの甲に柔らかい唇の感触が残る。
また彼の独壇場が始まった。
『!?』
ルマの顔に熱が帯び、顔が熟れたリンゴのように赤く染まる。
『(西洋のスキンシップは多いと聞いたことはあるけど…ここまでとはおもわなかった…)』
『ねぇ、ルマ?』
『な、なんだ…?』
先程のこともあり、ルマは少し身構えた。
『ちょっといいかな、』
マシューの顔がどんどん接近してくる。
このままだと、この前見た恋愛ドラマみたいにマシューがおでこにキスをしてしまうくらいに接近した。
ルマが恥ずかしさからギュッと目を瞑ると、マシューが慣れた手つきでルマの髪をいじる。
『…うん、こっちの方が可愛いかな』
『え、?』
『ふふ、リボンが取れかけてたよ?』
『あ、え…さ、さっき踊ったからかな?、』
少し拍子抜けしたが、ルマの顔の熱は少し引いたように感じた。
マシューは一歩後退し、ホールを見渡すように眺める。
『……んー、ここじゃ人目が気になるな…』
刹那、マシューがボソッと呟きルマの手を握る。
『ルマ、外に行こうか』
ルマが返事をする間もなく、マシューは強引に、だが、優しく手をひく。
『マシュー君…?どこ行くんだ?』
『……僕のとっておきの場所だよ。』
マシューは静かな憤りを含んだ笑みで会場を後にした。
【マシューの黙考】
時はダンスパーティ前の更衣室に戻る。
マシューがダンスに着るタキシードを選んでいる時、ふいに誰かがマシューの肩に手を置いた。
『やぁ!マシュー!』
『げ、アルフレッド…』
『「げ、」とはなんだい!』
アルフレッドと呼ばれるマシューにそっくりな男性に、 マシューは心底嫌そうな顔をして、目の前のタキシードに向き直った。
『それってタキシードかい!?マシューがダンスに参加するなんて珍しいじゃないか!』
『いつもはいつの間にかいなくなってるだろう!?』
『…僕は一声かけてるつもりだよ。』
失礼なことを言ったアルフレッドを軽く睨んだが、アルフレッドは全く気にしていないようだ。
『Oh !そんな目で見ないでくれよ!』
アルフレッドはわざとらしく首をかしげた。そして、急にニヤリと意地悪く笑いマシューに問いかけた。
『…それで、君がダンスに参加するのは「彼女」もダンスに参加するからかい?』
『……「彼女」?誰だい。』
『umm…忘れたのかい!?君が仲良さそうに話してた子だよ!』
『…もしかしてルマのことを言ってるのかなぁ。』
『あぁ!そうだ、君はルマって呼んでたね!』
『確か、名前はアルマリノ・クララだっけ?』
『…どうしてアルフレッドがルマの名前を知ってるんだい?君とルマは関わりがさほど無いと思うんだけど、』
マシューはまくし立てるように喋った。
『HAHA!簡単さ、オーナーに直接聞いたんだよ!』
『ふーん。で、それがどうかしたのかい?』
マシューが挑発的に聞く。
だが、アルフレッドは涼し気な顔で 淡々と言った。
『いや、俺も彼女が気になっただけさ!』
『だって、マシューが俺に近づけさせないようにしたんだぞ!それなりに理由があるはずだ!』
『彼女…いや、ルマのことどう思ってるんだi…』
『アルフレッドがその名前軽々しく呼ばないでね。』
マシューはいい終わらないうちに大きな声で、でもゆっくりとした口調でアルフレッドに言い放った。
マシューの声が少し反響する。
『……oh,sorry…でも、これで確信を得たぞ』
『……』
マシューは怒りを抑えるように乱暴に引き出しを閉めた。 タキシードが決まったようだ。
『君がそんなに執着する彼女のこと、もっと知りたくなったんだぞ!』
『…はいはい、』
『言っておくけど、君がルマに手を出すなら…僕も容赦しないから。』
『俺は欲しいものは必ず手に入れるからね!…マシューもうつつを抜かしてたらすぐとられちゃうんだぞ!』
『…ふふ、よく喋るね』
マシューは微笑んだが、目は笑っていなかった。
『それじゃ、またダンス会場で会うんだぞ!』
「僕は嫌だけどね」という言葉を飲み込み、マシューは手を振った。
マシューの胸の中には嫉妬心と執着心が混ざりあった複雑な感情が、グチャグチャと満ち溢れていた。
【クララの黙考】
時は今に戻り、マシューとクララはバラ園の噴水に腰掛けていた。
『…なんか僕たち悪いことしてるみたいだね、』
月明かりに照らされたマシューが悪戯っぽく笑うと、クララもつられて笑った。
『実際、パティー抜け出してるから悪いんだぞ!』
ルマはニコッと笑いながら言った。
『ふふっ、それもそうだね』
マシューもつられて吹き出し、月明かりの下で笑いあった。
『…ところで、なんでマシュー君はさっき怒ってたんだ?』
『…え?』
『ほら、我の手を引っ張った時!』
ルマは「ほら!」とでもいうかのように人差し指をたてた。
『…うん、やっぱりルマにはかなわないね。』
マシューは降参というように両手を上げ、ルマの方に向き直った。
『…あの時、僕が一番嫌な奴と目が合っちゃったんだ。』
『マシューにも嫌いな奴がいるんだな?』
『そりゃいるよっ!』
マシューは講義するようにプクッと頬を膨らませた。
『本当にやな奴なんだ!そいつ!』
『そーとーやなことされたんだな…』
マシューは怒りがおさまらないのか、空虚を睨みつける。
『…ま、そんなこと言ったってどうにならないんだけどね。』
一つ深い呼吸をし、マシューは再びルマに向き直った。
『…ルマ、今週の日曜日って空いてる?』
『に、日曜日…?』
『うん、日曜日。』
『僕と一緒にデート行かない?』
『で、デート!?』
突然の「デート」という単語にショートしそうになったルマは思わず聞き返してしまった。
『そう、デート』
『絶対楽しませるからさ……どうかな?』
マシューは上目遣いでルマを凝視した。
『い、いいのだ…』
ルマはマシューの勢いに気圧され、二つ返事で返答した。
『ほんと!?ありがとう!』
マシューはルマの右手を取り、またキスを落とした。
『絶対満足させるから、覚悟してね?』
熱がひいたと思っていたルマの顔は瞬く間に熱を帯びたのだった。
ちなみに、右手の甲にキスを落とす意味は、相手への敬意や愛情、親愛の情を示す行為と知ったのは、また後の話。
〜第6話fin〜
次回はイヴァリベ回です!
ここまで見てくれてありがとうございました!
コメント
15件
初コメ失礼します! 陰ながらこっそり読ませていただいてます笑 いつも楽しみにしてます!続き頑張ってください!
は じ め ま し て ! 私 も 参 加 さ せ て 頂 き た い の で す が … よ ろ し い で し ょ う か ?
あらヤダ口角が月にお出かけしちゃいましたわ… ちょっと月まで取りに行ってきます…