テラーノベル
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マックス→⚙️
カート→🦾
オチ〜!何処行ったオチ〜!!
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宇宙というのは暗いもので、仕事先のおんぼろビルの中に入ってしまえば、物理的にお先真っ暗だった。
⚙️「なにも見えないんですけど〜…」
🦾「奇遇だな、俺も」
⚙️「ライトは?」
🦾「動くのに邪魔」
⚙️「うそ〜……」
今回の仕事は、このビルに拠点を置いているものの処理。それが強化人間だろうがサイボーグだろうがロボットだろうがお構い無し、そういう依頼だ。
カツン……
🦾「……お前後ろ下がってろ」
⚙️「りょーかい」
暗闇の奥で音が鳴る。
気配の動き方からすると、まぁ素人同然。 もし何かあれば応戦するつもりではあるが、きっとカートくん、応戦する隙すらくれないよねぇ。
ヒュン…と風を切って何かが飛んでくる。 ………ナイフ?あら残念、僕らには効かない。 そんな事を考える余裕さえある。
カートくんは淡々と飛んでくるナイフを跳ね除ける。 あちらさんも次は銃とやらに切り替えたが、効果は変わらない。
ただ、煩わしいものを退かす作業。
きっとカートくんにとってはその程度の認識なのだろう。 彼の背中はあまりにも頼もしい。そして後ろにも目が付いているのではと思うくらい、正確に流れ弾が来ないように処理をしてくれるのだ。
⚙️「………かっこいい〜…」
一見重そうなイカつい身体を軽々と操るあの姿に一度目を奪われてしまえば……それはもう僕の中での勝手な敗北だった。
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⚙️「おつかれー」
🦾「数……おおい、、、、、、」
⚙️「そうだね、傷ついてないかの確認させてね〜、、、ほら、後ろ向いて」
🦾「ん、、、、、、」
⚙️「うん、大丈夫そう。それじゃ迎えの車届くまであそこで待機…」
そこまで言って後ろの気配が大きく揺れる。
まずい。
カートくんが倒れる。
⚙️「ッッおっ…と、あぶなーい!カートくんもう少しでベッド着くから頑張って!」
🦾「、、、、、、ん…」
⚙️「寝るな〜!!」
そういえば昨日、充電せずにスリープモード入ってたなぁ…ちゃんと低電力モードにならないように確認しとくべきだった。
⚙️「ほら着いたよ!」
ボフン…と重い音が鳴る。
⚙️「大丈夫?」
🦾「…………だい、じょーぶ、、、」
ベッドに腰掛けながら聞くと、わざわざ起き上がって返事をしてくれた。あきらかに大丈夫じゃないのは一旦ツッコまないでおこう。
⚙️「……ぇ」
座ったかと思えば、そのまま温もりも柔らかさもない僕の足パーツの上に頭を乗せてきた。
え、かわい〜♡♡
じゃなくて……
⚙️「あのー…それ枕じゃないんですけど。僕の足にあたる部分なんですけど!」
🦾「ん”ん……まっくす、ねる、、、」
⚙️「えぇ〜?ここで?危ないよ〜…」
ブゥン、と音を立てて部屋が一人分静かになる。
⚙️「え…カートくーん ?」
🦾「、、、、、、、、、、、、」
⚙️「カートくん、カートくーん!」
🦾「、、、、、、、、、、、、」
⚙️「……カート」
🦾「、、、、、、、、、、、、」
本当に寝ちゃったよ。まぁいいけどさぁ。
⚙️「無防備だなー…まったく」
手首付近にある共有用充電プラグを取り出し、疾うの昔に暗がりに慣れた目でカートくんへつなぐ。カートくんの瞳を縁取ったあの色が、小さく灯って充電の合図を知らせるのを横目に、この後の予定をさらっておく。
……カートくんがこのまま起きなかったらどうしようかな。格好つけてお姫様抱っこでもいいんだけど、後で社長に“そういう仲”だったのかと聞かれても面倒だし、だからといって担ぐのはムードのムの字もない。
やっぱり起きてもらうしかないかぁ…。
ピピピッ、ピピピッ…
車が届いた合図。
出来ればこのまま2人でゆっくりしたいのが本音。眠っているカートくんを撫でくりまわしたいのが本音。でも、そうも言っていられないのが仕事というものだ。
⚙️「カートくん起きて〜」
身体を起こして座らせてから、思いっきり前後に揺する。スリープから目覚めるにはこれが一番いいんだとか。
🦾「、、、、、、ぁ?あれ…ここ何処」
⚙️「仕事先のおんぼろビル」
🦾「あー…ごめん」
⚙️「いいよ〜、歩ける?」
🦾「うん」
まだ覚醒前のぽやぽや感が抜けないまま車へ向かうその足は、確かにしっかり地を踏みしめている。
⚙️「、、、、、、」
『ちょっとは甘えてくれてもいいんだよ?』
そんな言葉は喉の奥にしまっておく。
今は一応“同僚”として働いている体を社長の前では貫いているのだ。僕のワガママでバラしてはいけない。
僕達は。
遠いようで近い。
明るく能天気に見えて、暗がりをひけらかす事もなく悟られないように隠している。
一見羨ましがられるような「美しい思い合い」をつくろって、きっと自分達が思う以上に深い所にある依存を共有している。
まぁ、簡単に言ってしまえば、「愛し合っている」で済む話。
🦾「…どうした、マックス」
⚙️「んーん、なんでもなーい」
恋人同士だという秘密。
2人だけの内緒の秘密。
今は、その特別感に浸れれば、それでいい。
コメント
2件
神作品ありがとうございます!!!!天才にも程があるとおもんですよ!!!!主様天才過ぎませんか!?!?