テラーノベル
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タクシーに乗り込むと、直ぐに翔太は眠ってしまった。ビール一杯でこんなに酔うかな?体調が悪かったのかもしれない。
トイレから戻ってきた翔太は色白の顔が益々蒼白になって体調が優れない様子だった。〝俺が送る〟と言い放った佐久間の言葉に、何処か冷たい印象を持った。
〝一緒に帰ろうって誘ってくれない?〟
SOSに聞こえなくもない不安そうな翔太の一言が頭を掠め、思わず佐久間からの提案に口を出した。
隣で眠る翔太は涙を流している。手で拭って頭を優しく撫でると拭いたはずの涙がまた頰を伝って流れていた。
亮平💚『翔太起きて着いたよ』
翔太💙『んっ頭痛い…』
翔太を抱えて部屋まで送る〝ちょっとくらい、しゃんとしろよ〟ほぼ全体重を預けてきて歩きにくいったらない。何とか部屋まで運ぶとソファーに突っ伏した翔太は〝お水…〟
亮平💚『全く世話の焼ける…ビール一杯でここまで酔っ払う?』
水を差し出すと一気に飲み干した。
翔太💙『ありがとう…今日泊まる?』
亮平💚『帰る。明日うちに泊まるでしょ?翔太を迎え入れる準備が出来てない』
翔太💙『何?どう言う準備』
しまった…〝散らかってるんだよ//〟正直にそう言うとクシャクシャに皺を寄せて〝気にすんなよ〟と言って笑った。
亮平💚『今日初めて笑ったね?』
翔太💙『参ったな・・・』
そう言って肩を震わせ声を押し殺して泣き出した。
翔太💙『ごめん』
亮平💚『何に?泣いてる事?タクシー代払わなかった事?』
翔太💙『ふふっそれじゃお相子だろ』
両手を広げて〝来る?〟と言うと〝歩く元気ないそっちが来いよ〟少しばかり元気になった翔太は頰を赤らめて近づいてきた俺の腰に腕を回し抱きしめる・・・と言うよりしがみ付いている。
この状況で翔太の事を可愛いと思ってしまう俺は不謹慎なのかも知れない・・・
亮平💚『座ってもイイ?俺も疲れた・・・』
ソファーに座ると、翔太は俺の肩に頭を預けた。
亮平💚『聞いても?』
翔太💙『無理』
亮平💚『じゃなんか話して・・・歌う?』
翔太💙『ふふっ歌ってもいいけどまた泣くぞ』
亮平💚『面倒くさい奴だな』
翔太💙『ふはっヒド・・・風呂入る?』
亮平💚『で、歌って泣くの?』
翔太💙『しつこいねぇ〜』
翔太 side
亮平との、くだらない会話のやり取りに胸のモヤモヤが次第に和らいでいく。
亮平に相談できたら幾分楽になるだろうか。気持ち悪がられて俺から離れていく最悪の状況しか思い浮かばない・・・
湯船に浸かる亮平は目を瞑ったまま気持ちよさそうに船を漕いでいる。まつ毛長いな・・・
長いまつ毛に雫が落ちそうになって、思わず手を伸ばす。急に亮平の目が開いて驚いていると、腕を掴まれる。
亮平💚『何?』
翔太💙『いや…まつ毛長いなって……離して痛い』
亮平は大して力を込めていなかったのだろう。首を傾げて手を離すと険しい顔をした。
亮平💚『どうしたのこれ?』
俺は何の事か分からずに自分の腕に目をやると赤く腫れ上がっており、一部は青く痣になっていた〝何でもない〟そう言って足早にお風呂を後にした。
亮平💚『待って翔太、やっぱり放っておけない。抱えてる事半分こしよう?役不足かも分からないけど翔太の痛み半分分けてよ?』
翔太💙『どうして?いいんだよこのままで。俺はこうやってちょっとだけでも亮平と一緒に居たらそれだけで少しは平気なんだ』
亮平💚『じゃなんで泣くの?俺と居てもずっと泣いてるちっとも平気そうじゃない』
翔太💙『嫌われたくない亮平にだけは嫌われたくない・・・もうこの話終わりねっ』
亮平は勢いよく俺にぶつかると固く抱きしめた。
翔太💙『なっ何?』
亮平💚『黙ってな!俺は今翔太を今抱きしめたいって思った。優しさって連鎖するんだって。イケメンの受け売りだけどね』
翔太💙『優しい奴だなソイツ』
*亮平💚『翔太・・・俺嫌いになったりしないよ?そんな軽薄な人間に見えているんだとしたら、ちょっとショックだよ*』
俺は何も言い返せないで亮平の胸に顔を埋めると声を荒げて泣いた〝泣き虫だな〟と悪態を付きながらも優しく撫でる亮平の手は温かかった〝もう少しだけ待ってよ…言える勇気がまだないんだ〟弱々しい声で俺がそう言うと〝勇気が出るまで何度でも抱き枕になってあげる〟亮平の優しさが身にしみる。ずっとこの胸に甘えていたい・・・
亮平は〝薬箱何処?〟と言って俺の腕に湿布を貼った〝これでよし!じゃぁ寝よう明日の買い物話でもしよう〟そう言って2人でベットに入った。
次の朝早朝から郊外のショッピングモールに出掛けると2人で買い物をした。
亮平💚『どうこのTシャツ?』
亮平 side
昨夜は結局散々俺の胸で泣き腫らした翔太は俺を抱き枕代わりに爆睡すると、幾分スッキリしたのか柔らかい笑顔で〝おはよう〟と言った。
今日は俺も決意を持って朝を迎えた。俺が正面からぶつからないから・・・俺の勇気を見せる事で何かが変わる気がした。勇気も半分こできればイイのに。
翔太💙『イイねぇすごく似合ってる。阿部ちゃんらしい』
俺らしいって何だろう・・・前にも翔太から言われたな。翔太にはどんな風に映ってるんだろうか。ただの優しい胸を貸してくれる奴?そんなもんだろう。
亮平💚『翔太は何か見たい物ないの?』
翔太💙『うん亮平の買い物見てるの楽しいから気にしないで』
翔太はミニマニストだな。気に入った洋服は同じ物を持っているイメージだし部屋も整頓されていて物が少ない。インテリア用品のお店に入ると、翔太は何やら足を止めて見入っている物があった。
亮平💚『椅子買い換えるの?』
翔太💙『…引っ越そうかな……』
翔太は節目がちに椅子を見やると物思いげにその場を離れた。
夜になり焼き肉を食べ終えると翔太行きつけのサウナに向かった。個室サウナで2人汗を流した。
鍛えられた翔太の身体は綺麗な筋肉美で白い陶器の肌に右腕の痣が痛々しい。
亮平💚『まだ痛む?』
触れてほしくないのだろう〝いや〟とだけ言うと心を閉ざすように暗い表情になり長い沈黙があったのち、目を瞑る俺に向かって〝亮平ってまつ毛長いね〟と言うと頰に手を充てキスをした。
突然の事に驚いて固まっていると〝ごめんなんか…キスしたくなった〟時が止まった。翔太からのキスに意味があるだろうか?
翔太💙『マジでごめん///』
気が付いたら翔太を押し倒して唇にキスをしていた。翔太は少し怯えた顔をしている。
亮平💚『俺が怖い?』
翔太💙『怖くない…何で泣いてるの?』
亮平💚『さぁ?…もう一度キスしても?』
翔太は応えない。おでこに優しくキスすると翔太の体を起こした〝帰ろう〟
帰りの車内はどちらも話す事なく俺の家に着いた。
〝どうぞ散らかってるけど気にしないなら入って〟
クシャッと笑顔を見せると〝気になるから入るわ〟と言って入ってきた。
〝綺麗にしてるじゃん〟と言って翔太は気を使ってくれた。こう言うところも優しい気遣いの人だ。
翔太の携帯に着信が入り、またあの冷たい声色になった。
翔太📲『悪い、友達の家に泊まりに来てて今、家には居ないんだ…本当だよ…いい加減に…』
亮平📲『もしも〜しどちら様?』
大介📲『あれぇ?阿部ちゃん?佐久間だよ何?翔太今阿部ちゃん家居んの?』
まさかの人物の声に動揺を隠せずにいると翔太に電話を取り返された。
翔太📲『ごめんそう言う事だから…うん分かってる…はい』
翔太💙『余計な事すんなよ・・・帰る』
俺に背を向けた翔太の後ろ姿は、小さく震えていて〝ひとりにしちゃいけない〟そう思った。
コメント
24件
ああ 可愛くてウブウブのしょったが🥺🥺🥺さっくん、ひどいなあ〜〜(5杯目くらい
やっぱりしょっぴー💙可愛くなきゃ嫌だぁー。どうせ可愛いんだからちゃんと甘えてほしい💙💙🥹🥹🥹
時々、ユートピアの若干おねぇ口調の亮平が脳内を邪魔するんだよね🤣