その日は、魔法傭兵学園セヴァヴィア2年生の回復魔法の授業があった。
ザキアも一応出席している。
多分回復魔法は使えるだろうが…
私が教室に着くと、サラが隣の席に座り話しかけてきた。
「やるじゃ無いの、エマ!
灼熱の洞窟を最初にクリアしたって、先生達も大喜びだったわよ。
まぁ、ザキア君のお陰だろうけど。」
「何言ってるのよ!
ファイアサキュバスの動きを封じ込めたのは、私の氷魔法なんですからね!」
私はムキになって言い返す。
「あら?
エマ、氷魔法なんて使えたっけ?
アンタが使えるのって、弱い光魔法だけだと思ってたけど…」
「ふふーん♪
使えるんだなぁ、それが!
氷のレクイエムまで使えるようになったんだから!」
私は胸を張って言う。
「へぇ、天才ザキア君は教えるのも一流なのねぇ。」
感心して言うサラ。
「もうっ!
何でもかんでも、ザキアのおかげみたいな…」
「まぁ、すごいってば!」
そんな話で盛り上がっていると、ナターシャ先生が入ってきた。
恰幅の良い女の先生で、回復魔法のエキスパートだとか。
「さぁ、みなさんこんにちは。
今日は回復魔法をみなさんにマスターしていただきます。
あなた方は、1年生では、主に、攻撃魔法と防御魔法を学んでいるはずです。
2年生で学ぶのが、この回復魔法、それから、転移魔法、念話魔法です。
その3つの基本的な魔法の中でも回復魔法は要とも言えます。
何せ、戦闘時の生命に関わる物ですからねぇ。
さて、回復魔法には3種類あります。
エマ!
エマ=D=レティーシアさん!
さぁ、この3種類が分かりますか!?」
ナターシャ先生は私を指した。
「は、はい!
水回復魔法、光回復魔法、聖回復魔法、の3つです!」
私は答えた。
良かった、参考書で勉強していた所だわ!
「よろしい。
今エマさんが言った通り、3つの方法があります。
後者になるにつれて、基本的には効果は大きくなりますが、特にどの回復魔法を使え、という指定はありません。
自分の相性の良いものを選んでください。
では、今から治癒紙を配ります。
これは、あらかじめ破いてあります。
回復魔法に反応して、破れが修復されるのです。
修復に成功した者から出て行ってよろしい。」
そして、ナターシャ先生は治癒紙を配った。
「では、始め!」
そして、みんなは治癒紙に回復魔法を発動し始めた。
えーと、回復魔法の呪文って何だっけ?
私は教科書をめくる。
「出来ました…」
ザキアが治癒紙を掲げてそう言った。
「素晴らしい!
ザキア=S=マクシー!
合格!」
みんなから、どよめきが起こる。
ふん!
嫌味な奴!