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翌日、手芸教室ではちょっとしたにぎやかさが広がっていた。
「ねえ涼ちゃん、LINEつなごーよ!」
「私もつなぎたい!」
「オレも!」
生徒たちが涼ちゃんを囲んで、
それぞれスマートフォンを手に持ちながら次々と声をかける。
みんなの勢いに、涼ちゃんは戸惑っておろおろするけれど、
どこかうれしそうにも見える。
LINEのID交換が始まって、
「友だち追加したよ!」「今メッセージ送った!」
と、チャットの音があちこちから聞こえる。
涼ちゃんのスマホにも、メッセージが次々に届く。
あわてて何か返信しようとして……
ふと可愛いウサギのスタンプボタンを押して送信してみた。
すぐに返事が来る。
『わー!そのスタンプ可愛いね!』
『涼ちゃんのチョイス最高!』
みんなからポンポンと誉められて、
涼ちゃんは顔をほんのり赤くしながら、
その画面を何度も見返しては――
ちいさな笑顔をこぼしていた。
そんな涼ちゃんの姿に、まわりの空気もさらにやさしくなっていった。