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2002年(平成14年)1月10日、神奈川県横浜市瀬谷区下瀬谷三丁目の県道交差点付近[注釈 1]で発生した事故[25]。
事故車両は、同県綾瀬市内の運送会社が所有していた大型トレーラートラックのトラクター(1993年7月に製造された「ザ・グレート」[26])で、重機を積載して片側2車線の走行車線[注釈 2]を走行中、左前輪が外れて下り坂を約50メートル転がり、ベビーカーを押して歩道を歩いていた大和市在住の母子3人を直撃した[28]。子供2人を連れていた母親(当時29歳)が背中からタイヤの直撃を受け[25]、頭を強く打ち[29]、外傷性くも膜下出血で死亡した[25]。また、長男(当時4歳)と次男(当時1歳)も手足に軽傷を負った[28][30]。外れたタイヤは直径約1 m、幅27.8 cmで[25]、重量はホイールを含めて約140 kgあった[28]。
神奈川県警が、貨物自動車の実況見分を行ったところ、事故を起こした車両はハブが破損し、タイヤやホイール、ブレーキドラムごと脱落したことが判明[31]。三菱自動車製の大型車ハブ破損事故は、1992年(平成4年)6月21日に、東京都内で冷凍車の左前輪脱落事故が確認されて以降計57件発生し、うち51件で車輪が脱落していた[30](うち事故車両と同じ1993年製「D型ハブ」が7割を占めていた[32])。
三菱自動車側は、一貫して『ユーザー側の整備不良が原因だ』と主張したが、事故を起こした車両と同じ1993年(平成5年)に製造された三菱自動車製のトラックに装着されている「D型ハブ」の厚みが、その前後の型や他社製よりも薄い構造であった。ねじ締付け管理方法を怠り、六角ボルトの締付トルクを強く掛けすぎた場合やカーブや旋回時に掛かる荷重により金属疲労が生じ、ハブが破断しやすいことも判明した[33]。
これを受け、三菱ふそうは2004年(平成16年)3月24日、製造者責任を認めて国土交通省にリコールを届け出た。さらに同年5月6日、宇佐美ら5名が道路運送車両法違反(虚偽報告)容疑で、品質保証部門の元担当部長ら2名が業務上過失致死傷容疑で逮捕され(5月27日に起訴)、法人としての三菱自動車も道路運送車両法(虚偽報告)容疑で刑事告発された[30]。
なお、この事故で死亡した女性の遺族である母親が、約1億6550万円の損害賠償を三菱自動車に請求する訴訟を起こした民事訴訟では、2007年(平成19年)9月、三菱自動車に550万円の損害賠償支払いを最高裁判所が命じ、確定判決となった。このとき、原告の訴訟代理人を担当した青木勝治弁護士は、損害賠償金を代理人である自分の銀行口座に振り込ませ、遅延損害金を含めた約670万円を預かった。しかし、訴訟当初の約1億6550万円の請求額を基に、弁護士報酬額を約2110万円と算定し、「自分が預かっている約670万円と相殺する」と通知して、原告に対して損害賠償金を一切渡さなかった。
2010年(平成22年)6月、横浜弁護士会は「当初550万円としていた賠償請求額を一方的に1億6550万円に増額し、これに伴う報酬の変動についても、原告に説明せず、いきなり2000万円以上という高額報酬(最高裁判所で確定した賠償額は、当初の請求額である550万円)を原告に要求した」などとして、青木勝治に対して弁護士業務停止6か月の懲戒処分を下した[34]。