そして3日後。
シヴェルに連れられ、これから乗って旅する船の元へ来た。
「今回のメンバーはティティア、セイレス、ネロ、シルク、ファルシオ、フォルトゥナ、エフロレそして…」
「こちらが船長のラメールさんだ」
「よぉ、アンタが噂のノアって小僧か?」
豪華な装飾が施された白のトリコーンをかぶり、深い海の様な色の髪でその前髪から見える瞳は海に差し込む光の様だ。ノアより頭一個分とラメールのハイヒールの分身長が高く、ノアが見下される様になっている。
「はっはっは!そんな怯えなくていいって!改めて、これからよろしくな!」
ノアは背中をバシバシと力強く叩かれた。
「ちなみにラメールさんはマリンの叔母だ」
「えっ、そうなんですか」
「おっ、マリンの事知ってんのか!いや〜本当自慢の姪だよ!」
「でもちょっと危なっかしい所あっからさ〜 団長!面倒見てくれてありがとな!」
シヴェルも背中を叩かれた。凄く痛そうにしている。
「まぁ、あいつは強いが…戦闘狂だし、戦場に一人で突っ込んでいくから危なっかしいっちゃ危なっかしい…」
聞こえるか聞こえないかの小声でシヴェルは言い放った。
「団長、後で会議がある。あの翼生えた小僧連れて部屋来い」
そう言うと部屋に戻っていった。
「…まぁ、ああ言う人だから慣れてくれ」
「…いい人ではありますね」
「そういえば今回の人達、僕会ったことない人もいますね」
「セイレスさんは名前だけ聞いたことありますけど、フォルトゥナさんとエフロレさんは聞いたことないです」
「どちらも精霊族の各部族の族長の孫だ」
「というか、セイレスはどこで聞いたんだ?知名度はフォルトゥナとエフロレの方が高いと思うが…」
「あ〜、えっと、初めて騎士団に来た時シルクさんがファルシオさんに向かって『セイレス様がお呼びしておりました』って言ってたから覚えてます」
「あぁ、だからあの時ファルシオじゃなくてシルクが来たのか」
「あっ、そういえばあの時」
「ん?」
ノアはあの時、ネロが「お前も分かるだろ?今のあいつは通常よりも機嫌悪いし、俺を視界に入れただけでも怒りそうでしょ」と言っていたのを思い出した。
「シヴェルさんってネロさんと仲悪いんですか?」
「あ、あぁ…過去のことだが、色々あってな」
「な、なんかすみません…」
少し空気が重くなった時、シルクが来た。
「シヴェル様、会議のお時間です」
「分かった」
「ノア、自由に船の中でも探索でもしていてくれ」
「分かりました」
シヴェルとシルクは会議室に入っていった。
「お前がノアか?随分ガキだな」
後ろを見ると男の人が立っていた。
「オレはセイレスだ。これからよろしく」
疲れ果てた笑顔で目の下の隈が酷い。短髪の黒髪、後ろは一つ結びで、左の横毛は細い三つ編みになっている。髪は適当に結んでいるようだ。一つ結びもぐちゃぐちゃだし、三つ編みもぐちゃぐちゃだ。よく見ると右手の二の腕から下は切断された様になっている。
「人と会う時ぐらい、身だしなみをちゃんとしたらどうですか?」
「おっファルシオじゃん」
「人の話聞いてます?」
はぁ〜…と大きいため息をつくと、ファルシオはセイレスに近づいて言った。
「まったく、二番隊隊長としての自覚がないんじゃないですか?」
「うん」
そうぐちぐち言いながらファルシオはセイレスの後ろ髪をほどいて一から綺麗に結んだ。
「ほら前もですよ。こっち向いてください」
また軽い説教を言いセイレスの髪を綺麗に結んだ。
「できましたよ」
「うん」
「貴方そろそろぶっ叩きますよ…?」
二人の会話を聞いていると後ろから肩をぽんぽんと叩かれた。
「ノアくん、久しぶり〜」
「ティティアさん!」
「あっちで話そっか」
「久しぶりって言っても、数日ぶりだけどね」
「…その、セイレスさんいつもはあんな感じじゃないから、なんかごめんね」
ティティアが申し訳なさそうな顔をで言った。
「何かあったんですか?」
ティティアは少し言いづらそうな顔をすると、口を開いた。
「神龍様が暴走した日があったでしょ…?」
「僕が天下の国に来た日ですね」
「あの日の戦いで…セイレスさんの部隊、二番隊の人達…ほぼ皆亡くなっちゃったの」
「それからずっとあの調子で…」
「セイレスさんの腕、片方なかったでしょ?その日に神龍様の攻撃受けちゃって、もう使い物にならなくなっちゃったから切断したの」
「…そうだったんですか」
また重い空気になってしまった。 セイレスはあの時、ファルシオに会った時、少し表情が明るくなった。今のセイレスにはファルシオが支えなのだろう。
「2人とも、会議終わったみたいだから、皆にも喋るって」
「あっ軽く自己紹介、僕エフロレ。よろしく」
「あっはい!よろしくおねがいします」
半透明の薄い桃色の羽。尖った耳。幼い女の子が想像する妖精の様な見た目だ。白いラッフルスカートには所々に金の花の模様が入っていて、よく目立っている。毛量の多いふわふわした白から翠色のグラデーションの髪は一つの三つ編みに纏められている。横の毛は風に吹かれて揺れている。前髪が編み込みになっていて顔がよく見える。鮮やかなピンク色の瞳の瞳孔は花の形になっているようだ。
エフロレに連れられて先程いた場所に戻ると、今回の旅、遠征に行くメンバーが全員居た。
「この前も伝えた通り、これから俺達は全ての国を周り、それぞれの国の神に会いに行く」
「この世界の神は謎が多すぎる。この遠征でその多くの謎を解き明かす」
「そして最初に行く国…そこは」
第二章 —完―
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