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それから数日
灯の生活に変化が現れ始めた。
朝のアラームと同時に姿見からアカリが満面の笑みで出迎えてくる。
学校では教室にいるときも、教室移動の時もアカリがどこからか現れる。どうやら他の生徒にアカリのことは見えないらしい。
(私以外見えないってことは幽霊か何かなのかな…?)
それにしてはしつこい幽霊だ。授業中、灯以外には姿が見えないからと永遠に話しかけてくるし…。
最近は数分に一回のタイミングで「灯ー!」と言う声が聞こえる。目の前でふよふよしてるからノートもまとめにくい。
今日は塾も無いし、家に帰ったらアカリと話をしなきゃ。オブラートに包みたくても流石にこのしつこさは包み隠せない。
その日の昼休み
灯はノートを何冊か、それと筆記用具を持っておずおずと美英の席へ行く。
「…みは」
「おっ、あかりんじゃん。どしたの?」
「それがさ…悪いんだけど今日もノート写させてくれない?現代の国語と、古文がまだ終わってなくて…」
「もちろんいいよ!」と、美英が笑顔で言う。
灯の数少ない友達である美英は成績優秀でクラスの人気者。美英から灯に頼ることは今までも何度かあったが、最近は灯から頼ってくれるようになって嬉しいようだ。
「…それにしてもあかりん、もしかして最近目が悪くなったとか?」「えっ、いや、まぁ…そんな感じかな…?」「んーまぁいいや。それより今日は授業でこのノート使わんし、持ってっていいよん。明日返してね!」「うぅ…ありがとうみは…」
早くアカリに話をしなきゃ。これ以上みはにも迷惑をかけたくない。2年生になって2回目の定期テストまであと3週間。今回のテストで、学年順位をなんとしてでも上げなければ、母親の機嫌が悪くなる一方だ。
その日のホームルーム後、
アカリへの謎の怒りと、美英への感謝の気持ちと、母親に掛けられているプレッシャーを背負って、灯は家へ急ぐ。玄関を静かに開け、「ただいま」と温度のない言葉を言い、2階の自室へ急ぐ。部屋のドアを開け、閉める。荷物を置いてもらったプリント類を整理していると、
「あっ!灯!学校おつかれさま〜」
案の定、姿見からアカリがぬるりと出てくる。
改めて見て思うが、本当にアカリは何なんだろう。そもそも鏡から人間(?)が出てくるのもおかしいし、幽霊のような透ける体なわけでもない。不気味な低さの体温を帯びた、一見すると普通の人間だ。
「…アカリ」「なになにどうしたの?」
この笑顔。やはり自覚は無さそうだ。
「あのさ、アカリ。美術館もそうだし、アカリについても聴きたいことは山ほどあるんだけど、もうすぐ定期テストが始まるから学校には来なくていいっていうか何と言うか…その…」「あーなるほどねっ。じゃあしかたなく、灯の事は家で待つことにするよ」あ、以外と話が通じた。「でもさー灯」…?「灯ももう高校2年生でしょ?もっとキラキラな高校生活を送りたいとは思わないの?もし来年3年生に進級したら、受験とかで楽しめなくなるんじゃなぁい?」
…もしってことは留年するかもって思ってるのかな、、。いやそれより…「アカリ…私は今の生活で十分だよ。それにアカリの言うキラキラな高校生活が何かよく分からないけど、私は周りの女子みたいにキラキラしたいとは思ってないよ」「むぅ…」納得のいかない様子だったが、アカリはそのまま姿見、いや、美術館へ戻って行った。
最近学校にアカリが現れるようになったのは、私が楽しく学校生活を送ってほしいって思っていたからなのかな。
でもまあ、言いたいことは言えたし、しばらくは授業に集中できそうだ。定期テストが終わったらもう一度美術館に行こうかな。
そして、アカリはカバンの中から美英から借りたノートを取り出し、自分のノートを穴埋めしていく。
今日はなぜか、シャーペンを持つ手がいつもより軽い気がする。
そう思いながら、灯はノートを写していく。
コメント
1件
第5話読了!アカリのしつこさと灯の困り顔がめっちゃ伝わってきたw でも美英の「もちろんいいよ!」の一言が優しくて胸あったかくなった…。母親からのプレッシャーも背負ってる灯、テスト終わったら美術館また行くって決めた前向きさがいいな。アカリが灯にキラキラした高校生活を勧めるのも、悪意じゃないんだろうけど灯には重いんだろうな。続き気になる!
アウラウラ
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琉姫
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