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※暴力表現注意
日本と初めて出会ったのは2年前、反社としての人生が始まってまだ間もない頃だった。
アメリカはその日、敵対している組の傘下組織を殲滅させるという任務を課せられていた。
その為、組織が拠点としている根城に単独で乗り込み任務を遂行している最中だった。
そこら中で銃声が響き、弾丸は金属音を伴って乱れ飛ぶ。
銃撃戦になっている中、死角への警戒が手薄になっていた。
そこから飛び出して来た敵のナイフが脇腹に深々と突き刺さる。
🇺🇸「がっ…!?」
🇺🇸「てめぇ…ぶっ殺す」
刺した相手を躊躇なく銃で撃ち殺すと、刺さっていたナイフを乱暴に引き抜く。
咄嗟に避けた事で致命傷は免れたが、血が大量に溢れ出ている。
🇺🇸「チッ、油断した」
相手が弱いから、また自分の強さに自信があるからと隙を見せてしまった自分の傲慢さに苛立ちが募る。
内心で悪態を付いている間に、周囲を敵に囲まれてしまった。
🇺🇸「雑魚共が…今なら大勢でかかれば俺を殺せるとでも思ったのか?」
🇺🇸「全員まとめてかかってこい。徹底的に叩き潰してやる」
あの後、宣言通り敵対組織を壊滅させたアメリカは誰も通らない薄暗い路地裏で1人激痛に耐え忍んでいた。
壁に背を付けてずるずるとその場に座り込んだ。
息は荒く、額には大量の冷や汗が滲んでいる。脇腹を抑えている手と真っ白だったシャツは血で赤に染まっている。
むせるような血の匂いが、辺りに充満しており息をする度に鼻に突く。
🇺🇸「こんなしょうもないミスしたなんて言って帰ったら絶対あいつらにバカにされるな…いっ”!」
戦闘時はアドレナリンが過剰に分泌されていたのか、何とも無かった傷口が今になって熱を持ち始めた。
気休め程度にしかならないが、着ていたジャケットを脱ぎ止血を試みる。
少し動いただけでも、焼けるような痛みが脇腹から全身にかけて駆け抜ける。
🇺🇸(くそっ、血流し過ぎたな…視界が霞んできた…。)
🇺🇸(あいつら、来るまで意識保てるかな…)
血が足りない為、酸素が回らず視界がぼやけ頭がふらふらする。
もう、このまま迎えが来るまで意識を飛ばしてしまおうかと思い始めた時
?「あの、どこか怪我でもされたんですか…?」
?「えっ、、予想以上に凄い怪我してる!?大丈夫ですか!?」
心配そうな声が上から落ちて来たと同時に、月明かりを遮る人型の影が目の前に落ちた。
こんな怪しい人物に、声を掛けてくるような物好きに驚きつつ気まぐれで声の主へと顔を向けた。
何かあった時すぐ対処するために、銃のトリガーに指をかける事を忘れない。
🇯🇵「あの…?意識ありますか?私の声聞こえてますか??」
🇺🇸「女神…?」
🇯🇵「は…??女神?私は男ですし、そもそも貴方生きてますよ!?」
女神が俺の迎えに来た。
神への信仰心など1mmも持ち合わせて居ないアメリカもこの時ばかりはそう思わざるを得なかった。
そう思う程に、闇の世界で生きているアメリカの目には日本が眩しく輝いて見えたのである。
🇯🇵「とりあえず、このタオル使ってくださいっ!!止血しないと!!」
🇺🇸「っ!!いいから、早くここから去れ。」
🇺🇸「俺に構うな」
我に返ったアメリカは咄嗟に手を振り払うと、ドスの効いた声で日本に対して凄む。
だが、日本はそんな事はお構い無しに逆にアメリカの腕を掴むとじっと見つめ返す。
🇯🇵「貴方が普通の方では無いのは十分承知の上です。それでも、こんな状態の方を放っておく訳にはいかない。」
🇯🇵「…気安く触れられたくないのは理解してます。ですが今、この時だけは私を信じて任せて頂けますか?」
とても強く揺るぎない意志の籠った目で見られてしまうともうダメだった。
一際大きく心臓が動いたのが自分でも分かる。
穢れを知らない無垢な瞳に、アメリカの心はがっしりと囚われてしまった。
未来永劫、その呪縛から解放される事は無いだろうと思う。
アメリカが諦めを含んだ声で小さく呟いた。
🇺🇸「分かった…分かったから。もう勝手にしろ。」
🇺🇸「大人しくするから、早く掴んでいる腕を離せ。」
🇯🇵「あ、すみません…!怪我されてるのにこんな事して…」
🇯🇵「…なんか、顔さっきより赤くなって来てませんか?怪我のせいで、熱出て来たかな?」
🇺🇸「ばっ、それ以上近寄るなっ!!熱は出てないっ!!」
顔が赤くなっている事に気づいた日本が、近かった顔を更に近付けてくるので慌てて遠ざける。
顔が赤くなっている理由なんて、自分が1番分かっているのである。口に出すつもりは無いが。
熱のせいではないとだけ言っておく。
🇯🇵「はぁ…そうですか…?とりあえず、タオル1枚だと足りなさそうなのでお水とタオル追加で買ってきます!」
🇯🇵「ここで待っていてください!!」
一方的に、言い残すと日本はそのまま早足にその場を立ち去った。
その数分後、カナダからこちらに到着したという知らせが入る。
自身の居場所を送ると、直ぐにそちらに向かうとの連絡が返ってきた。
🇺🇸「綺麗な瞳だったな…。」
この逢瀬が、もう時期終わりを向かえてしまうことを名残惜しく思ってしまう。
感傷に浸っていると、聞き覚えのある声が耳に届いた。
🇨🇦「この馬鹿兄貴!!何、ヘマやらかしてんのさ!!ほんとに!!」
🇬🇧「アメリカ、意外に元気そうですね。良かったです!」
🇺🇸「これ見て元気そうに見えるとか、親父そろそろ老眼鏡付けた方がいいぜ?」
🇬🇧「はっ倒しますよ、バカ息子。迎えに来てやったんだから、感謝の意を真っ先に伝えるのが礼儀と言うものでしょう。」
🇺🇸「ハイ、アリガトウゴザイマスデス。」
🇨🇦「2人とも、アホなやり取りしてないで早く帰るよ!一般人に見られたらどうするの!?」
🇺🇸「いってぇな!もう少し丁寧に扱ってくれよ!!」
カナダに支えられながら、力を振り絞って立ち上がるとその場を後にした。
車まで辿り着き、後部座席に放り込まれるとそのまま動き出す。
今でも目を閉じると浮かんでくる、脳裏に焼き付いていて離れないこちらを真っ直ぐに見据える澄んだ瞳。
🇺🇸「日本…か…。」
アメリカは日本が立ち去る際、勝手に鞄から拝借した社員証を熱を帯びた目で見つめるとそのまま軽いキスを落とした。
🇺🇸「今直ぐにでも俺の嫁にしたいが…まだ、その時期じゃない。」
🇺🇸「日本の為にも、早く潰さないと」
翌日から、アメリカは一刻も早く日本を嫁に迎える為怪我も治っていないうちから行動を始めた。
1回裏社会に入ってしまった人間が、そう簡単に足を洗える訳もなく。
かと言ってそのまま裏社会で、日本を嫁に貰えばアメリカの弱点として日本の命が危うくなる。
そうならないためにも、アメリカは自分の確固たる地位を確立しようと考えた。
一から組織を作って成長させるのは、アメリカと言えども容易い事では無いし時間がかかりすぎる。
ならば、既存していてある程度裏社会で力のある組織を乗っ取ってトップの座に自分が座ればいい。
1年間は、大人しく忠実に命令をこなしボスの右腕としての地位を経た。
また、英加の他に独仏伊韓と言った優秀で信頼出来る仲間も出来た。
今のボスに不満を抱いている者達を言葉で言いくるめ、自分の配下に加えることにも成功した。
そうやって着実に、だが秘密裏に自身の派閥の勢力を拡大していった。
元ボスをトップの座から引きずり下ろすのはとても簡単な事だった。
完全にアメリカに信頼を寄せ、安心しきっていた元ボスは考えもしなかっただろう。
自身の右腕が虎視眈々と命を狙っていたなんて。
🇺🇸「すまないな、ボス。あんたに恨みは無いが、俺の願いを叶えるにはあんたが邪魔なんだ。」
🇺🇸「俺の為に、ここで死んでくれ。」
油断しきっていた所を、背後からナイフで刺し殺した。
その後、配下達が全力で抵抗するのは予想済である。
そいつらは事前に配置していた英国達が制圧した。
アメリカがトップに立った後も反乱因子は、定期的に湧いていたがその都度拷問にかける。
そして、最後に見せしめとして疑いがある人物の目の前で殺し反抗する気力を削ぎ落とす。
そんな事を繰り返している内に、歯向かう輩は徐々に姿を消していった。
また、アメリカの天性のカリスマ性も相まって、部下達が忠誠心を抱くのにそう時間はかからなかった。
そうこうしている間に、日本と初めて会った日から2年の月日が経っていた。
その間も日本の事を忘れた日は1日も無く、日に日に想いは募っていくばかりであった。
🇯🇵「嘘でしょ…?私の人権どこ行った…??」
そして、今長年の夢が叶い日本が嫁として自分の目の前に立っている。
首には、自身が用意した首輪を付けており自分の中の独占欲と支配欲が急激に満たされていく。
涙に濡れる瞳は、やはり昔と変わらずとても綺麗で澄んでいた。
その瞳に見つめられた瞬間、2年間もしまい込まれていたものが蓋を弾き飛ばして溢れ出た。
愛という感情をもう止める事が出来ない。
🇺🇸「I promise to love you forever.《この先もずっとお前を愛する事を誓うよ》」
🇺🇸「これから末永くよろしくな♡」
等々我慢の限界が来たアメリカは、日本の顔を掴んで上を向かせると軽いキスを落とした。
そのまま、めちゃくちゃにしてやりたいという自身の強い欲求を抑えて、控えめにしたのだから褒めて欲しいぐらいだ。
🇯🇵「なにするんですか!?今まで、誰ともキ、キスなんてした事なかったのにっ!!」
🇬🇧「アメリカぁ!!突然何をしてるんですか!!貴方は!?」
🇨🇦「日本おいでっ!!今すぐ、消毒してあげるからっ!!」
🇺🇸「おいカナダ。人をバイ菌扱いすんなよ、失礼な奴だな。」
🇨🇦「日本が汚れたらどうすんのさ!!日本は、兄さんと違って純粋な子なんだから!!」
🇩🇪「アメリカ、いきなりそれはどうかと思うぞ?順序は守れよ。」
🇮🇹「流石に僕でもいきなりキスはしないかな…。」
🇫🇷「反社のトップに勝手に嫁にされた挙句、ファーストキスまで奪われるなんて…可哀想に…」
🇰🇷「……フン。」
正に阿鼻叫喚である。
原因を作った張本人は、悪気もなく寧ろファーストキスを自分が頂いたという事実に優越感を感じていた。
日本をカナダから奪い返すと、後ろから抱きしめてニコニコと満足そうに微笑んでいる。
次回予告
🇮🇳「初めましてだよね?日本」
🇮🇳「僕は、インド!韓国と一緒に君の護衛役を務める事になったよ!」
🇮🇳「君の事をもっと知りたいんだ!だから、君について詳しく教えてくれない?」
あとがき
お待たせしてしまった挙句、長くなって申し訳無いっす。
これでも、結構削ったんですけど😭
無理やり短縮したので文章おかしかったり、展開が急な所あるかも。
今回書けなかった所は隙を見て書くか、小話として出そうかな
さて、名前だけ前回ソ連の口から先に出て来たインドくん。
次回、初登場致します。
お楽しみに!
てか、私もそろそろアイコン欲しい
お礼💌
続き読みたいと言ってくれた方、コメント、いいね、フォローして頂いた皆様ありがとうございます!
色々溜め込んですみません!!
EURO2024終わったら頑張りますっ😇
それでは、ここまでお読み頂きありがとうございました!
また、次回ばいちゃ( ´・ω・`)ノ~
コメント
18件
編集お疲れ様です!続き楽しみにしてます!