テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
シーツに両手を突いた恰好の彼と、つぶさに見つめ合う。
「……だが本当に、このまま寝るだけでいいのか?」
膨らみを捕らえた指が、わずかに揺らぎ、胸の尖頭を上滑って、
「……ん」と、艶めいた声が喉元から洩れる。
「いい……。だけど、感じちゃうかもしれない……」
「それは、私も同じだ」
赤らむ頬に、彼の手がひたりと添えられる。
「君に指摘されたように、疲労もあるからあからさまにとはならなくても、」
秘密を打ち明けるように、彼がひそめた声で話して、
「……愛しているのだから、感じるのも当たり前だろう」
そう甘ったるく囁きかけると、唇にしっとりとしたキスを落とした。
「貴仁さん、愛してる……私も」
キスを送り返して、
「……抱いて、いて」
滑らかで広い背中に両腕を回し、その身体を抱き寄せる。
「ああ、ずっと抱いていよう」
抱き合うと、互いの胸が密着して吸い付くようだった。
「あなたの温もりが伝わる」
「私にも、君の体温が伝わってくる」
彼の手の平が、私の胸を下から掬い上げて柔らかく包み込む。
「あっ……ん、そんなことされたら……」
目の縁が仄かに赤く染まるのを覚えて、小さく口に出すと、
「そんなことをされたら、なんだ? ……言ってみなさい」
胸の先にチュッと唇で触れられ、いつにない命令口調を投げかけられた。
私を見下ろす彼のクールな顔立ちに、その口ぶりが言いようもなく嵌まっていて、ドキリとさせられる。
「……いじわる。今日の貴仁さん……」
上目遣いに見やる私の視線をじっと捕らえて、
「そう感じるのだとしたら、話したように君が足りずに、私は欲しすぎて求めすぎているのかもしれない」
そんな情熱的なことを吐くから、ますます鼓動はドキドキと早まるばかりだった──。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!