★途中作品です。
※小説じゃないよ
※うちの各沼達の擬の表現練習だよ
※CPっぽいのあるよ
※うちの擬は基本的に♀だから『彼女』表現あるよ
※慣れてないからめっっっちゃ長くなってるよ
※おーけー?
シグキン
ばさり、と羽が羽ばたく音が聞こえた。ふわりと頭上から紫色の羽が一枚、バチキンの頭の上に舞い降りてくる。それに気が付いてバチキンが嬉しそうに顔を上げれば、そこには彼女が心待ちにしていた美しい死神がいた。白く、長いその髪は絹のようで、ところどころ赤みがかった紫のメッシュが入っている。耳に空けている厨二病の学生達が好きそうな大量の十字架のピアスと、三日月のネックレスがアメジストのごとく光を反射する。紫の翼をはためかせ、ふわりと深い紫紺の上着が揺らし、細く華奢な足で地上に降り立った。黒と紅色の色違いのロングブーツをコンコンと鳴らして彼女、シグキンはバチキンの方を向いた。
「なんだよ、バチキン」
「んふふ、なんでもないバチよ!」
「あーッそ」
バチキン
その日はとてもいい天気の昼下がりのことだった。緑豊かな総本山の草っぱらの上でスヤスヤと眠っている沼がいた。少し硬い白い髪に入った鮮やかなマゼンタのメッシュ。迷彩柄のへそ出しの半袖半ズボンと火薬の汚れが付着している茶色い革のブーツ。服の下には黒のインナーを着ているらしく、腹には固い腹筋がインナー越しに見えていた。体や大きな胸など、至る所に収納ポッケがベルトで固定されており、そこからはほのかに火薬の匂いがする。金の丸いイヤリングも、もはやアイデンティティとなったサングラスも外さずに大の字で眠りこけているこの沼の名は、バチキンという。
「よッ、お寝坊さん。」
「ふがッ、んん・・・?あっ!シグキン!!」
バチキンの鼻ちょうちんをパチンと割り、強制的にバチキンを起こしたのは彼女の相棒であるシグキンだ。シグキンの長い髪がカーテンのように垂れ下がっていて、バチキンの視界はかなり暗かったはずだが、それでも彼女はきちんと相棒の顔を認識できたようだった。
「サボりか?」
「違うバチよ〜!今日はお天気がよくて・・・ふぁ〜あ・・・眠くなっちゃうバチ・・・」
バチキンは大きな欠伸を一つして、目を擦る。シグキンは膝に手を置き、バチキンの顔を覗き込んでいる。
「だ〜か〜ら〜!!シグキンもお昼寝するバチ〜!!」
「うわっと!?」
バチキンはシグキンの腕を勢いよく引き、自らの横に引きずり込んで彼女を抱き抱えた。目の前のバチキンの髪からは二人がお揃いで使っているシャンプーではなく、彼女の銃火器と同じ硝煙の匂いが漂っていた。
「今日はお休みデーバチよ〜・・・」
「・・・・・・そうかよ」
隣のバチキンからは既にすうすうと寝息が聞こえてきている。シグキンも今日は復興作業は諦めて、大人しく眠りにつくことにした。
オツキン&氷虎
トンコツ山のある工房内にカチャカチャと試験管やビーカーなどが擦れるガラスの音が響いている。その音をたてている主は、淡い青緑のメッシュが入った短い白髪で、ぴょこぴょこと跳ねたくせっ毛を揺らして、研究に没頭している。彼女が頭を動かすたびに、紫と白のカプセル型のピアスが揺れ動く。長い白衣の下には胸元を開けた白いワイシャツと、黒色の短パン、その下に明るい紫と黄緑の二色のインクのような模様の入った灰色のタイツを着用している。時々コツコツと鳴らしているブーツは長めで、少し明るい黒色をしており、よく見ないと分からないくらい暗い紫の縁が入っているのが見えた。
そんな彼女の名前はオツキン。人間ともエネミーともまた違う沼族、と呼ばれる種族で、優秀な科学者でもあり、研究者でもあるマッドサイエンティストだ。
「オツキン、そろそろ休憩したらどうだ?」
「氷虎か・・・」
氷虎と呼ばれた彼女も、オツキンと同じく沼族の一人だ。オツキンの作業を覗き込むようにひょこりと顔を出している。顔に三組の氷で止められた紙には”雑”と書かれており、その漢字は左下が”隹”になっていて誤字をしていることが分かる。三本に別れたアホ毛がぴょこりと跳ねて、うなじの下辺りで結われた綺麗な白髪には氷のような澄んだ水色のメッシュが入っている。少しくすんだ水色をしている上着は荒い縫い目が目立つ半袖、そして胸の当たりが出るような構造になっていた。胸元は袖抜きと同じ藍色の着物のようになってはいるが、胸のすぐ下までしか長さがなく、左胸あたりに白い文字でzathuと印刷されていた。黒のインナーは腰は出るようなデザインで、腰上辺りを茶色いベルトで止め、チャイナドレスのような少し細めの藍色の布にも、またもや誤字をした雑が明朝体で書かれている。そんな彼女も研究者で、エンジニア。最近、ラーメンの食べ過ぎで腹が出てきたことは内緒だ。
「う”〜ん・・・後ここだけ・・・」
「ダメだ!この前もそう言って徹夜しただろう?」
子供のように駄々を捏ねるオツキンを研究材料が転がっている机からひっぺがし、強制的にベッドまで引きずっていった。氷虎の工房にはこのように、オツキンがよく研究しにくるため、オツキン専用のベッドが置いてある。氷虎はオツキンをそこに寝かせて、ポンポンと子供をあやす様に一定のテンポで優しく布団の上から叩き始めた。
「俺は・・・だから・・・・・・ねむ、く・・・・・・・・・すぅ、すぅ・・・」
「ほら、寝た。」
寝かしつけ始めてすぐにオツキンは静かに寝息をたて始めた。真っ黒の瞳の下には深い隈が出来ていて、どれだけ寝ずに作業していたんだと氷虎は内心思っていた。
「おやすみ。オツキン。」
アクシズ
カラカラと氷がグラスに当たる音がアグハウスに鳴り響く。グラスの中に入っている液体はアグハウスにある酒の中でも特に彼女、アクシズが好きな銘柄のものだ。
「〜〜♪〜♪」
トントンと指先でリズムを刻みながら、ゆらゆらとカラフルな厚底のスニーカーを揺らす。白いウルフの髪型に群青色のメッシュ。VRゴーグルのようなゴーグルにはドット絵で”亜”と表示されている。ゴーグルと合わせて暗い青色のヘッドホンも着けているので、耳も外見からでは確認できない。ピッチリとしたスーツのような歪な形をした服の上にダボダボの青色のパーカーを着ていて、肩まで襟を下ろしている・・・といった中々色とりどりで何処となく異世界感を感じる格好しているのが、前述の通り、アクシズである。
「たまにはゆっくり過ごすのもいいよなぁ〜」
ふふふと嬉しそうに微笑み、アクシズはグラスに口をつけた。
エクレア
ギラリという効果音が付きそうなほど、冷たく鋭い視線をそのエネミーは感じていた。冷や汗がダラダラと流れそうなほど、鋭い視線がどこからか届いてはいるが、どこから届いているのかは分からない。その時だ。
「こっちだ。」
綺麗で、強い女性の声が聞こえ、ザクリ、と音がして己の体に鋭利な刃物が突き刺さる。目をやればそれは白銀のバラけた大きなハサミのようだ。その上には不健康なほど白い肌をした沼族が乗っている。
「よォ。おめーに恨みはねぇけど、いい材料になりそうだから死んでくれねぇか?」
理不尽な理由で殺されるエネミー。自分をランランと光る緑の目で見下ろす沼族は、折れそうなほど華奢で、まさに骨と皮だけの体つきをしていた。艶の無い白い髪は、ウルフにしては長く、先の方はくるりと丸まっている。髪の断面はバッサリと切られていて、パッツンのような印象を受けた。幸せのハッパの髪飾りと、注射器型のピアス。右耳にだけ、蛍光色の黄緑のイヤーカフを付けている。肘元ぐらいまである若干灰色が混じったTシャツは長いのか、ベルトで胸下辺りで止めていた。ざっくりと裂けたスリットが入ったOLのような黒いスカートと、とても細いピンヒールの灰色のロングブーツ。かなり動きずらそうだが、ここまで動けているということはそれほどでもないのだろう。
「大丈夫だ。お前の死は無駄にはしねぇよ。じゃあな。」
その沼、エクレアはそういうと、そのエネミーの顔面を細いピンヒールで思いっきり踏みつけた。エネミーはギャッと断末魔をあげて、絶命した。
「ん〜、やっぱり、いい素材だなぁ・・・流石私。」
エクレアは独り言を呟き、鼻歌を歌いながら立ち去って行った。
フサキン
「あっつ・・・」
ここはある廟堂。そこで木刀を振って鍛錬をしている沼が一人居た。猩々緋の鉢巻を頭に巻き、雪のように白い髪がその赤色を際立たせている。前髪はセンター分けで胸元まで伸びており、後ろ髪はお団子型。黒いインナーは汗でぐっしょり濡れて、遠目から見ても分かるくらい、綺麗な腹筋の形が浮き彫りになっていた。深い真紅の帯紐で止められた檳榔子黒の袴をバサバサとはたき、いつも羽織っている紺鼠のマントの端で顔の汗を拭う。暑そうに手で自分のことを扇いでいるその沼族の名前はフサキンという。最近、禁忌の術に手を出し体を得たばかりで体作りの為に鍛錬に励んでいるようだった。
「マジで暑っつい!!麦茶!飲み物!!」
ヒールのような高い下駄を脱ぎ捨てて、廟堂の中に入り、台所までは走って行く。冷蔵庫から冷やしていた麦茶を取り出し、一気に飲み干した。
「はぁ〜!!鍛錬の後の一杯は体に染みますなぁ〜!!サイコー!!さ〜て後少し、頑張りますか〜!!」
フサキンは清々しい顔で口元を拭い、腕を回す。後、もうひと頑張り。
マリキン
トントントンと高速で指でカウンターを叩く音がマイドン・ランチ内に響いている。人差し指と中指を机に打ち付け、頬杖を付いている彼女の名前はマリキンという。飲食店特有の濃い緑の三角巾の下からは白い髪が伸びており、邪魔にならぬようきちんと結われているのが分かった。店の照明を反射して右耳の金の花のイヤーカフと、小さな稲妻型のオレンジのピアスがキラリと光る。マイドン・ランチの制服であるエプロンの下には、白黒のボディスーツの上に「廃課金」とプリントされた短いTシャツ、そしてインディゴブルーのジャージの短パンを履いていた。
指だけでは抑えきれないのか、スニーカーのような見た目をしたヒールも先ほどから、コツコツと不機嫌そうに踏み鳴らしている音が聞こえている。何故こんなにもイラついているのかというと、先程から店の中を徘徊しまくっている客に対して、だろう。こういった客は、何を言っても無駄なので、普段は無視しているのだが、今回ばかりは無視できない案件であった。理由は、その客がうざったいほど後輩ちゃんに絡んでいるから。後輩ちゃんもはっきりと断ればいいのに、とマリキンは考えるながら大きくため息をつき、カウンターを離れて後輩ちゃんの元へと向かった。
「あ!マ、マリキンさん・・・」
「後輩ちゃんはカウンターに回ってくれ。交代だ。」
「は、はい!」
マリキンが後輩ちゃんに指示を出せば、彼女は慌ただしく、カウンターに向かって行った。それに気付いた客の男はマリキンをただの女性だと思い込み、高圧的に怒鳴り始めた。
「おい!!何してくれたんだ!!俺はただ彼女を見ていただけなのに!!」
「あーそーですか。その彼女は迷惑してたみたいですけどね?」
「なんだお前は!?生意気だな・・・!?」
男は腕を振り上げ、マリキンに殴りかかろうとする。しかし、相手は沼族。素人の攻撃を避けることなど、エネミーの攻撃を避けるより簡単だ。彼女は頭を傾け簡単にその攻撃を避ける。ふわりと透き通った雪のような髪が揺れ、男の頬の横を光の速さでプリペイドカードが通り過ぎて行く。つうと頬が薄く切れ、血が流れる。マリキンはニコリと道化師の笑みを浮かべながら口を開いた。
「ここはそういう店じゃないので、おかえりください。」
「ヒッ・・・!」
男はマリキンの圧に負けて小さく悲鳴を上げ、さっさと逃げ帰って行った。それを確認したマリキンは機嫌良さげに鼻歌を歌いながら手元のカードをシャッフルして、カウンターに戻っていった。シャッフルしたカードを右腕のカードケースに仕舞い、髪を結い直す。その日からマリキンはしばらくマイドン・ランチの常連客達から、救世主だなんだと呼ばれることになったそう。
ウイエ&フク郎&シュミタロウ
「・・・・・・・・・。」
ローリング山脈の途中にあるザンゲ村。そこのとある家の上に、小さな体で宇宙最強と謳われるシュミタロウが鎮座していた。紫色のメッシュが入った少しガサツなミディアムヘアと黒色のマントが揺れ、金の花のイヤーカフが白く光る。マントの中に着ているダボダボのスーツやマントに雪が積もることも気にせず、漆黒の瞳で何処か遠くを見つめていた。
「やぁ、シュミタロウ。今日も元気そうだね。」
「・・・ウイエか。」
その時、下からシュミタロウを呼ぶ声が聞こえてきた。カクンと下に目線を向ければ、そこには寒そうな格好をした同じ沼族、ウイエがいた。長く一つに三つ編みされた白い髪には暖かいオレンジ色のグラデーションが入っている。肘上までの袖の灰色の服は胸元から下は空いていて、(恐らく)下着で胸だけは隠れてはいるものの、一部だけであり、こんなに寒い場所なのに、なんの惜しげも無くへそや腹はさらされている。彼女の長いスカートは左側にざっくりとキツいスリットが入っており、そこから見えるのは網タイツととても長めのロングブーツで、そのブーツのヒールはかなり高く、よくこの雪の上をバランスを崩すことなく歩けるなとシュミタロウは関心していた。
「今日も山登りかい?」
「あぁ。鍛錬はかかせないからな。」
シュミタロウはそう言って屋根から飛び降り、ウイエの前に降り立った。その時、下から誰かが走ってくる音が聞こえ、ウイエの弟子であるフク郎が走って来た。白く長いおさげをなびかせ、息を切らして自分の師を追いかけてきたようだ。
「ウイエ様!いきなり機械槍に乗って私を置いていくのはやめてください!!」
「ごめんごめん」
「反省してないですね!?もう・・・・・・ん?そこに居るのは・・・シュミタロウさんではありませんか!!!」
ショタ、ロリ、ポメが好きなフク郎なので、この姿のシュミタロウを彼女は大層気に入っていた。中世の女性のような緑色のドレスを揺らしてシュミタロウの周りをグルグルと回っている。しかし、ロリショタNOタッチを掲げているため、絶対に触ろうとはせず様々な角度から眺めるだけであった。
「あぁ、やはり可愛らしい・・・!」
「・・・ウイエ・・・」
「ははは、ごめんね。私にはどうすることも出来ないんだ。」
シュミタロウの助けてくれと言わんばかりの視線は彼女に届いたようだが、ウイエはヒラヒラと手を振りながら、シュミタロウの目の前で堂々と責任を放棄した。あと数時間は付き纏われることが確定した瞬間であった。
荒川
荒川、彼女は三度の飯より戦いが好きな言ってしまえば野蛮な沼だ。他には寿司も好きらしいが、それ以上に獲物の血を浴び、獲物の血肉を己の武器で引き裂く。あの瞬間、あの瞬間こそ、幸せの絶頂、エクスタシーと言っても過言では無い。そのくらい荒川は戦い好きな沼だった。
荒川の戦い方を見た周りの沼や人間は皆、口を揃えてこう言う。まるで獣のようであった、と。それもその筈。 エネミーを狩っているときの彼女の姿は、いつもの無害そうな姿から一変、目をランランと光らせ、真っ白な雪のような髪と白い肌を返り血で真っ赤に染め、稲妻のごとく相手を始末していくのだ。このスピードを出す為、着ているものまで最低限で、かなりの薄着をしている。肩と横腹の辺りには水色のコルセットピアスが見える。太ももに白黒の色違いのベルトを着けているが、肉の波が見られないあたり、以外と痩せているらしい。服には返り血のシミが所々確認できる。荒川は寿司と戦い以外には本当に興味が無い、彼女はそういう沼なのだと見た目からも感じさせられた。
「あ、どうも。ワシのストーカーですか?ずっとワシのこと観察してましたけど。見てて面白いものなんか無いと思いますよ。では。」
太陽
暗い夜道にカツカツとヒールの音が響く。カツカツというより、ゴツゴツというような重い音だったが、その足音の主は太陽という沼だった。女性の体をしているにも関わらず、195cmという巨漢の持ち主で、他の沼族と比較しても身長も体格も胸でさえも大きい部類であった。そんな太陽は自分の住処に帰る最中のようで金の十字架の模様が入った真っ黒の長いコートを風になびかせながら、道を歩いていた。夜の闇にも負けぬほど白く美しい髪はうなじ上で結われていて、赤みがかった橙色のメッシュが入っている。その髪は、艶のある光沢をしている為、きちんと手入れが行き届いていることが見て分かった。右足には包丁の入ったケースが着いており、足には、金色のリングで留められた所々破れたハイソックスを履いている。そんな神父、いやシスターのような格好をした太陽は、首の後ろを撫でながら、淡々と夜道を歩いていく。その時、ガサリと音がして、草むらからエネミー達が飛び出してきた。だが、彼女はそれに見向きもせず、歩みを進める。エネミー達はそれが気に入らなかったようで、一斉に太陽に襲いかかった。太陽は少しも振り向かない。しかし、その直後、目を開けた時にはエネミー達の体は地面に打ち付けられていた。目を回しながらエネミー達が上を向けば、そこには白い睫毛に縁取られた炎のような十字架の瞳で自分達を見下ろす太陽が居た。
「俺の背後取れるとでも思ってたんですかぁ!?!?残念だったなぁ!!!とっくの昔に気付いてんだわ!!!!カス!!!!!」
月明かりに照らされ太陽を模したような金のイヤリングとオレンジのダイヤ型のイヤーカフが光を反射する。ギラギラと眩しいくらい光っていたが、下品だとはけっして思えなかった。
「じゃあね!!!!!!! 」
太陽は笑顔でそれだけ言うと、赤い斧を振り下ろした。ビシャリと白い肌にエネミーの返り血がかかる。
「血かかっちゃったぁ!!!俺血きらーい!!!だって汚れるんだもん!!!帰ろ。」
頬に掛かった血だけ、手の甲で拭って、太陽は足を早めた。
カシキン
彼女はユリレイズの騎士だった。毎日々々くそ暑い中、弱音も吐かず金のヒールを踏み鳴らして砂漠を見回りしている。よくもまぁここまで粘れるものだ、と周りの人々が口々に話す声もカシキンの耳には届いていた。それでも彼女は己の騎士道精神の元、自主的に動くのだ。不審な輩や町へ近付こうとするエネミーを、美しくしなるレイピアで切り裂くその姿は正に騎士だった。白く長めのハーフアップに所々入った黄色のメッシュ、踊り子のようなベールに隠されたその顔は髪と合わせてとても麗しく、誰が見ても美しいと言うことであろう。
そして彼女に助けられた人々もこのユリレイズには多く、一部根深いファンがいるらしい。
「今日は特に何も無さそうだな。」
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