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『仁人ごめんねぇ〜』
『いえ全然。早く体調良くなるといいですね』
『ほんともうこんなに良い子に育っちゃって。私のおかげかな…』
『寝言は寝て言ってください。』
『ごめんごめん笑今日は一段と忙しくさせちゃうけど、よろしくね』
『はい、頑張ります。それでは』
佐藤さんが体調を崩してしまい、本日のライブの準備はほとんど俺に任されている。
マネージャーになって随分経つから1人で出来ないわけではないが、やや心細い。
「仁ちゃーん!メイクお願いしてもいー?」
「あ、はい!大丈夫です!」
今日もまた一人一人心を込めて仕上げていく。
「ほんとさぁ〜運転もしてもらっちゃって、疲れてない?」
「全然!何もかもが楽しいよ。今この時間だって、幸せでたまらない」
「も〜♡仁ちゃん、俺と付き合わん?…」
「おい!ずりぃぞ太智!」
いつの間にか俺も敬語が緩くなり、友達のような感覚で話せるようになった。
きっとみんなが良い環境にしてくれているから、俺も安心していられているのだと思う。
ライブも無事閉幕し、宿泊するホテルへと準備を進める。
「柔〜?忘れもん」
「あ!ありがとー」
「準備出来次第出発するので、車に乗ってくださいね」
「りょうかーい」
佐藤に"今からホテルに向かいます"と連絡を入れ、会場を後にした。
ホテルに着き、チェックインを済ませる。
各部屋のルームキーを渡し、それぞれの時間となった。
自分も部屋に入り、明後日のスケジュールの確認をしてから風呂に入った。
(明日はオフだけど、みんななにすんだろ…どっか観光スポット調べといた方が良さそうかな…てか、今日のみんなもやっぱかっこよかったなぁ)
そんな1人余韻に浸ってから風呂を出て、各々のSNSの確認、グループのSNSの確認、発信をした。
するとベルが鳴り、覗いてみるとメンバーがドアの外で立ちすくんでいる。
「え、、どうしたの?」
「いや〜暇だからさ!みんなでゲームでもしない?って思って!」
「さとちゃんから仁ちゃんゲーム得意って聞いたし」
「一緒にやらへん?」
「別にいいけど…」
そう言って、俺の部屋に全員集合しゲームが始まった。
「ほら、仁人もこっちこいって!」
「いや、そこ俺のベッドなんだけど…」
「ほらほら、こっちおいで!」
柔太朗が俺の腕を引っ張り、ベッドに崩れ倒れた。
「はー!?また仁人にやられた!」
「佐野さん、まだまだっすね」
「こんにゃろ!!!」
そんな気が緩みながら男子校のようなノリで時間が過ぎていった。
「仁ちゃん楽しそうだねぇ!」
「めっちゃ楽しい。」
「笑笑笑笑よかった」
そこから何時間も過ぎて、徐々に目がうつろうつろになっていった。
「仁ちゃん…眠い、?」
「…い、や、、眠く…い、、、」
「仁人、眠かったら寝ていいからな?」
「…ん、、」
メンバーの察しがいいのか、静かになると数分後に眠りについた。
「寝ちゃったね笑」
「ね笑」
「可愛いなぁ」
「俺らのマネが1番可愛い」
「それはそう」
「今日は朝から運転も、メイクも、舞台準備も頑張ってたからね」
「ほんと尊敬するよ」
「仁人、お前の努力はちゃんと俺らが見てるよ」
いつもの海底のような気分とはまるで違って、ふわふわ浮いているような感じがする。
頭に温かさを感じ、より深く暖かい底へと落ちていった。
「よし、仁人は寝たし、俺らも寝るか」
「そうだね」
「んじゃ、おやすみ!」
「あ、明日の朝もちろんここ集合よな?笑」
"当たり前だろ"
遠くから俺を呼ぶような声が聞こえる気がする。
この暖かく優しい世界から抜け出したくない気持ちと、起きなければならない葛藤が頭の中を交差した。
「…と、、んと!…じんと〜?」
今度ははっきりと聞こえた。
瞬時に目を開け、1度周りを見回す。
「仁ちゃんおはよー」
「え…?」
「笑笑笑まだ流石に寝ぼけてるか」
「別にまだ寝ててもええけど、仁ちゃん予定が大幅にズレるの嫌いそうやからなぁ笑」
「え、今何時…?」
「今?9:30前」
そう言われ、もう一度手元のスマホで時刻を確認する。
時刻は9時26分
せっかく早起きして、みんなと色々な所を回る予定だったのに、まさかの自分が寝坊してしまった。
「みんなごめん…」
「全然大丈夫だよ笑」
「勝手に見て悪いけど、俺らと色々回る予定だったんでしょ?それって別に午後からでも大丈夫じゃない?」
「そーだよ仁人、とりあえず朝食食って、ゆっくり準備してから行こーぜ」
「…うん、、みんなごめん」
「ちがぁぁぁーう!!」
「…ん?」
「ごめんじゃないっしょそこはー」
「…みんなありがと!」
「はい!」
「いや〜それにしても仁人の寝顔可愛かったなぁ」
「しつこい。」
「笑笑勇ちゃん嫌われたなー」
そうして、朝食を済ませ、準備をし始めた。
「仁ちゃんこれ被ったらー?」
「いや、でも…」
「ほーら!めっちゃ似合うじゃん!」
「確かにいいね!」
「じゃ、じゃあ」
そんな着せ替え人形のような状態でやっと準備が終わった。
「よし、忘れ物はないな?」
「だいじょーぶ!」
「OKよー」
それじゃあ?
"行ってきまーす!!"
「誰もいないけど笑」
「いや、いたら怖いだろ笑」