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「おぉ〜、おはよー宝孔雀(ホウクジャク)さん」
遊が光を見つけ、朝っぱらからハイテンションなのか
ローテンションなのかわからないテンションで話しかける。
「おぉ。遊雉(ゆうち)。おはよ」
「まさか朝から会えるとは。これは運め」
「遊雉パーカーに変えたんだ」
遊のバカバカしいことを察知して、それを遮るように話題を提供する光。
「あ、そうなんよぉ〜。ど?Forever Lucky」
白ベースに「Fun is like a Carousel」という文字と
メリーゴーラウンドのイラストが描かれたパーカーを着ていた。
ちなみにここで言う「Forever Lucky」というのはファッションブランドの名前である。
「あぁ。Forever Luckyね。いいよね」
「お。好き?」
「まあ」
ちなみに光は白樺ノ森学院の制服の下にオーバーサイズの白いセーターを着て
Yシャツのボタンを第二ボタンまで開け、緩くネクタイをしている。
「いいね。その萌え袖。クールな宝孔雀(ホウクジャク)さんとのギャップ」
「私、そんなクール?」
「クールクール。でも垣間見える可愛さ?うんうん」
と言いながら光に背を向ける。
「それにオレは気づいちゃってるわけ」
と言って振り向く。決まった。と思った遊だったが
そこにもう光はおらず、もう正門から高校の敷地内に入っていた。
「あー。待ってよー宝孔雀さーん」
と追いかけて行く遊。
「あ。おはようございます。法鹿(ほうじか)くん」
「あ。おはようございます。栗鼠喰(りすぐい)さん」
一方では助と栗夢(クリム)がたまたま会っていた。
「あ、栗鼠喰さんパーカーにしたんですね」
こちらは栗夢がパーカーに変えていた。
「あ、はい。3 o’clock snacksの。好きなんですよね。安いし、オシャレだし
なにより名前がいいですよね。3時のおやつって」
「あぁ。なるほど。ブランド名ってあんま考えたことなかったけど、そうか。
3 o’clock snacksって3時のおやつって意味か」
「ですね。3時のおやつのように手に取りやすい価格で
でも待ち侘びたように特別な感じがする服を販売するって意味らしいです」
「素敵なブランド名の由来」
「そうなんですよ。ほら。うちも洋菓子屋さんなので、その感覚に共鳴しちゃって」
いや、でも、栗鼠喰(りすぐい)さんのとこは、手に取りやすい価格じゃないですけどね
と思う助であった。
「いってらっしゃいませ、お坊っちゃま」
「うん、行ってくるね。あ、美音」
「あ、お、つ、司。おはよう」
「どーしたの」
動揺して、吃る美音に笑う司。
「べっ、別になんでもないわよ。おはよう!鷺崎くん」
「おはようございます。美音様」
「あ、美音がいるってことは」
振り返る。すると帆歌がおり、司と目が合い、頭を下げる帆歌。
「帆歌ちゃん、おはよ」
「司様。おはようございます」
「じゃ、美音、行こっか」
「う、うん。あ、別に一緒に行きたいから行くわけじゃないからね。
他に一緒に行く人がいないから、仕方なく!一緒行くだけだからね」
プンスコしつつも照れながら司の横を歩く美音。
「そっかぁ〜」
ニコニコしながら歩く司。
「おはよ、幸くん」
「おう。おはよ」
「この後は?」
「…。まあ。帰って寝る」
「お昼」
「電話しろ」
「こないだ電話しても出なかったくせに」
「…」
美音に嘘はつけない。でも、変な夢を見て飛び起きたことは言えない。
なんかオレが帆歌のこと…みたいだろ
と思う幸。
「ま、いいよ。電話してあげる」
「あ…りがとうございます」
「どういたしまして」
「じゃ。またあとで」
「うん。またあとでねぇ〜。電話出てよー」
幸はバイクで、帆歌は車で家に帰っていく。8人の1日が始まる。
教室に司、遊、助、美音、栗夢(クリム)、光の6人が集まる。
それぞれ朝の挨拶を交わし、朝のホームルームが始まる。
「あぁ〜…」
下着のパンツ一丁でベランダに足を出し、タバコを吸う幸。
「なんかなぁ〜…やっぱ調子狂うんだよなぁ〜…あいつ」
吹き出す煙に帆歌の顔が映った。ような気がして、もう一度息を煙に吹きかけ、煙を散らす。
タバコを吸い終え、ガラスのスライドドアを閉め、自分の部屋に行く。スマホを充電しようとして
アラーム…。アラームどうするか…
一応かけといた。そして眠りについた。
「あ、お姉ちゃん仕事?」
帆歌が自分の部屋を片付けていると、波歌が帆歌の部屋の前を過ぎ去った。
「おん。これから撮影ー。帆歌ちゃんは〜…また片付けてんの?」
「またってことはないでしょ」
「いや、1週間ちょっと前に片付けてたでしょ」
「お姉ちゃんが片付けなさすぎなんだよ」
「まあ…。めんどいからね。…なに?幸くんでも来んの?」
ニヤッっとする波歌。ドキッっとして一瞬手が止まる帆歌。
「え。違うけど。なんで幸くんの名前が出てくるの?」
「なんでだろぉ〜ねぇ〜。んじゃ〜いってきまーす」
可愛いのぉ〜帆歌ちゃんは
と思いながら波歌はルンルンで仕事へ向かった。
白樺ノ森学院では1時間目と2時間目が終わり、3時間目と4時間目の授業に。
3時間目と4時間目の授業は体育。体力測定である。
白樺ノ森学院では「2人組作ってー」とか言わない。1人がいい人は1人で。
記録を確認しないといけない種目は1人がいい人同士で、そのときだけペアになる。
「つーかさーたーすけー。組もうぜぇ〜」
なのでこうやって3人で組むということもできる。ということで司、助、遊の3人は様々な種目をしていく。
垂直跳び、立ち幅跳び、長座体前屈、状態起こし、握力、シャトルラン。
司と助は至って普通にこなしていくが、ここで明らかになった遊の運動神経。
めちゃくちゃ運動神経が良い。
「え。遊スゴいね。めっちゃ運動神経いいじゃん」
「そおかな?うちの遊園地の従業員さんのほうが運動神経いい人、いっぱいいるよ」
「あぁ。なるほど?小さい頃からそーゆー人たちに可愛がってもらってて教えてもらったりしてたのか」
「あぁ。それだわ。バク転教えてもらったりしたわ。
んでバク宙は手つかないだけかって思ってやったらできたりした。なるほど。英才教育ってやつか」
「うん…。まあ、合ってるのー…か?」
一方女子陣。こちらも美音、栗夢(クリム)、光の3人で組んだ。
体育館での種目は今、男子陣が行っているので、女子陣は校庭でできる種目を行う。
ハンドボール投げ、50メートル走、持久走。
栗夢(クリム)は運動神経がいい方。しかし、洋菓子屋の娘。
手先を大事にしているため、小さい頃から激しい運動はしていない。
それでも平均以上のポテンシャルを持っていた。
光も運動神経はいいほうだった。どの競技もめんどくさそうに、気怠げにやっていたが
それでも50メートル走はずば抜けて早かった。
「宝孔雀(ホウクジャク)さんすごい早いですね!陸上部とか入られるんですか?」
「いや?部活はしない。めんどくさい」
「もったいない」
そしてそこで明らかになった美音の運動神経。そこそこ悪い。
ハンドボール投げ。思い切り投げるも、枠を大きく外れ、エラー。
今度は角度に気を付けつつ投げる。思い切り下に叩きつけ2メートル。
50メートル走も走り方が独特。そして遅い。栗夢(クリム)と光はそれを見ながら
あんなツンケンしてるキャラが運動神経悪いのかぁ〜…。なんだかなぁ〜
と思うのであった。
スマホのアラームが鳴る。
「んん…」
アラームを止めようとスマホに手を伸ばす。
スマホをタップする瞬間に帆歌からLIMEの無料通話がかかってくる。
「あ、出た。もしもしぃ〜?幸くん?起きてる?」
「…んんっ…なんで…帆歌…?」
アラームを止めたつもりの指が偶然にも通話に出るボタンをタップしてしまったようだ。
「あ。完全寝起きだ。おはよう」
「おはよー…」
「また寝ないでね?幸くん寝起き悪いから」
「ん…うん…寝ないよ…なんか…なんか帆歌の夢見た気がする…」
「…え。…私の、夢?」
そう帆歌に復唱されてハッっと目覚める幸。
「あ、おはよう…。あ、うん。準備するわ。じゃ」
電話を切る幸。
「あ?…あ?あれ?変なこと言ったか?言ったな。あぁ、言ったわ」
ベッドの上で、まるで一晩の過ちを悔いるように下着のパンツ一丁で、両手で顔を覆う幸。
数秒「あぁ〜」と顔を手で覆ってから洗面所に行き、歯を磨いて顔を洗って、一度ベランダでタバコを吸う。
ただボーっと。先程の変なこと言った事実をも脳から消したようにボーっと。
タバコの火を灰皿に押し付けて消し
「よっし」
服を着替えて、長い髪に洗い流さないトリートメントを塗り、櫛を入れる。
その日は髪は結ばず、ただヘアゴムは左手首にはめておき、財布とスマホを持って家を出た。
一方、バッチリ起きてはいたが寝耳に水の帆歌。
「え。…え?私の…夢?を見てたの?幸くんが?」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔でキョロキョロする。
「あぁ。いや。準備準備」
帆歌もそこから準備をして家を出た。
女子陣が持久走を終え、男子陣もシャトルランを終え、一旦休憩を挟み、男女交代。
今度は女子陣が体育館、男子陣は校庭へ。
立ち幅跳びで揺れる栗夢(クリム)の巨乳をジト目で見る美音と光。同時に自分の胸に目をやる。
スイーツの栄養全部胸に行くタイプか
と思う2人。50メートル走が爆速の遊。
「「おぉ〜」」
パチパチパチと拍手をする司と助。男子はシャトルラン。女子は持久走をしたということで
男子は持久走、女子はシャトルランを次回の体育でやるということで
3、4時間目の体育の授業が終わった。体育着から制服に着替え、教室に戻った。
コンビニ組の光と遊は教室に帰る最中にコンビニに寄ろうとしたが
コンビニが賑わっているピークだったので、一旦教室に帰ってからコンビニに行くことにした。
「宝孔雀(ホウクジャク)さん。ハンドボール投げ何メートルでした?」
「ジュ〜…8だったかな?」
「おぉ〜18メートル。…おぉーとは言ったもののどうなんすかね?いいのか…ま、悪くはないだろうけど」
「遊雉(ゆうち)は?何メートルだったん?」
「私(わたくし)はですねぇ〜。30いきました〜」
「おぉ〜スゴーいー…のか?…たしかに。記録聞いたところでいいのか悪いのかわからんね」
「っすよねぇ〜」
階段を下り、コンビニに向かう。
「今日はなににします?」
「なんで?」
「いや、同じの食べようかなぁ〜って」
「なんで」
「え?…なんで…そう聞かれるとムズイな。あ!共有したいからかな?美味しかった、不味かったを」
「ふぅ〜ん。…じゃ、これにしよ」
光はパンのコーナーから1つ手に取った。
「ん?Wホイップ、Wカスタードクリーム&Wミルクチョコレート、Wビターチョコレートパン?
とんでもないの選びますね」
「あとミルクティー」
「…太るっすよ?」
無言で遊のふくらはぎを蹴る光。
「いてっ」
2人それぞれで会計を済ませ、教室へ戻った。
「たぁ〜でぇ〜まぁ〜」
買ったWホイップ、Wカスタードクリーム&Wミルクチョコレート、Wビターチョコレートパンと
ミルクティーをテーブルに置く。
「なに?Wホイップ、Wカスタードクリーム&Wミルクチョコレート、Wビターチョコレートパン?
結局なに味なん?」
と疑問を持つ助。
「さあ?これからっ」
そう言いながらパンを包むビニール袋をギザギザ部分から
「確かめる」
破り開ける。パキバリパキパキ。新品のペットボトル特有の音をさせながらミルクティーのキャップを開ける。
「んん〜…。なんでこの安さでこんなうまいん」
と感動する遊。
「Wホイップ、Wカスタードクリーム&Wミルク、Wビターチョコレートパン?どこで売ってるんですか?」
栗夢(クリム)が疑問をぶつける。
「HIGHTOKU(ハイトク)。220円でした」
「安い!」
驚く栗夢。ちなみにLes joues de Chestnut tombent
(レ・ジューン・デ・チェストナッツ・タンブ)のクリームパン、1個720円。
デパ地下のケーキ並のお値段である。パンを包むビニール袋をギザギザ部分から破るのではなく
裏側の真ん中のピロピロ部分を持ち、左右に引き開ける光。
パキバリパキパキ。新品のペットボトル特有の音をさせながらミルクティーのキャップを開け、一口飲む光。
「…美味しいなぁ〜」
しみじみ思う。パクッ。遊と光、同時にパンを食べる。
「「ん…うん…ん?」」
同時にパンの断面を見る2人。
「チョコ要素どこ」
「クリーム要素どこ」
どうやらそのパンは真ん中から半分がチョコ、半分がクリームだったようで
遊はクリーム側を、光はチョコ側を食べたようで、2人とも逆側から食べてみた。
「「あぁ。なるほどね」」
と納得したが、どっちにしろ口の中が甘く、ミルクティーを流し込み
「「あぁ〜…このコンビネーションよ」」
とどこまでも意見の合う2人だった。