そう聞いて、私はサッと赤面すると体育座りをして足を引き、「にゃー」と抗議を込めて鳴いてみせる。
尊さんはスーツのジャケットを脱いでテーブルの上に置くと、「オラ、ストッキング脱げ」と言ってスカートの中に手を入れてきた。
「きゃあっ! んゃ……っ、んーっ」
ストッキングの生地ごしに彼の手が這うのが気持ち良く、私は疲れているはずなのに色っぽい声を上げてしまう。
「ん……っ」
大きな手でウエストを掴まれた瞬間、私はドキッとして目を見開く。
すると尊さんと目が合い、この上なく恥ずかしい気持ちに駆られる。
けれど彼は優しく微笑むと、「今は足を拭くだけ」と言い、スルスルとストッキングを脱がしてきた。
でも脱がしながら太腿からつま先まで指先で脚に触れているので、ツーッと撫で下ろされた私はゾクゾクと身を震わせる。
「んー……」
久しぶりに尊さんに性的に触れられた気持ちになった私は、真っ赤になってじろりと彼を睨んだ。
「んな顔しても駄目だ」
彼は小さく笑い、濡れタオルで私の足を拭く。
「蒸れてますよ。臭いですよ」
「朱里の足ならどれだけでも嗅いで、ガンギマリしてやるよ」
「やだもう、それでフレーメン反応の顔をするんでしょ……」
言いながら、床の上に胡座をかいた尊さんは私の足を拭き、乾いたタオルで包むと足の裏を指圧してきた。
「ん、あ、……あー……、……気持ちいい…………」
疲れた足に指圧が効き、私は吐息混じりに声を漏らす。
「朱里に『気持ちいい』って言わせるの、快感だな。……絶対、よその整体師に揉ませたくねぇ」
「それはいきすぎた嫉妬ですよ。猫も歩けば棒に当たるんですから」
「何の棒だよ」
「わぁ~……、セクハラだ。労基に訴えてやる」
「こんにゃろ」
尊さんは少し強めにグリグリと足の裏を指圧してくる。
「ひひひ、気持ちいい。ひひひ」
笑っていると、彼は膝にチュッとキスをし、上目遣いで言う。
「今日一日、お疲れ様。秘書さん」
「う……」
改めてそう言われると照れてしまうので、言い返してやった。
「……副社長もお疲れ様です」
すると彼は「おや?」と眉を上げてニヤリと笑う。
「……秘書さん、俺を労ってくれる?」
そう言った尊さんは、私をソファの上に押し倒して脚を抱え上げた。
「あ……っ、足を拭くだけなんですよね?」
上ずった声で尋ねると、彼はまた私の膝にキスをして悪い笑みを浮かべる。
「どうかな? 気が変わるかも」
「……シェフの気まぐれパスタ」
照れくさいのを誤魔化すために上段を言うと、尊さんはスルリと太腿を撫でて口角を上げる。
「朱里のハニーバター、生クリームと苺を添えて」
「……なんか、グッと美味しそうになりましたね?」
真顔になって感想を述べると、彼は横を向いて噴き出した。
「俺専用のデザートだよ」
微笑んだ尊さんは、ソファの座面に手をつくと、サラリと私の髪を撫でてキスをしてきた。
「……ん、んー……」
イチャイチャが嬉しい私は、思わず彼の背中に両手を回して抱き締める。
ちゅ……、と小さな音を立てて唇が離れたあと、私は尊さんの耳元で囁いた。
「ぎゅーして」
すると尊さんは私を見て目を細めて笑い、体重をかけすぎないように気をつけながら抱き締めてくれる。
「んー……、私の」
私はちゅっちゅっと尊さんの頬にキスをし、耳を軽く囓る。
「……煽るなよ」
尊さんは顔を上げ、少し頬を染めて私を睨む。
「……今ならアカリンパイ、触り放題ですよ?」
私は悪戯っぽく言って尊さんの手を握り、ベージュピンクのワンピースの胸元にパフッと置いた。
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