テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
10
あいか
63
34
ミィコは静かな部屋で目を閉じ、まどろみに落ちた。
気づけば、そこはかつて所属していたバンド「StellarVox」の楽屋だった。
薄暗い照明。遠くから聞こえるサウンドチェックの音。
そして、過去からそのまま引き戻されたように、彩花がこちらを見て言い放った。
「リナってさ、いつも目立つよね。なんか、ずるい」
横にいた美咲は言葉もなく頷いた。
かつて「仲間」だったはずのふたり。
だが、その瞳は今や冷たく、皮肉と敵意に満ちていた。
張り裂けそうな胸の痛みとともに、記憶の扉が次々に開く。
冷たい雨の中、路上ライブの場所取りを押しつけられたあの日。
誕生日ライブのステージ袖で、「誰も祝ってない」と背を向けられたあの瞬間。
無視、嫉妬、そして沈黙という名の暴力。
あの頃の孤独が、夢の中で鮮明に蘇る。
「なんで、私だけ……?」
叫んでも誰にも届かない。声は空中に溶け、静寂に飲まれていく。
やがて、彼女の足元は崩れ落ちるように沈み始め、終わりのない孤独の底へと引きずり込まれていく。
その時だった。
一筋の光のように、あの顔が浮かぶ。
きぃちゃんの柔らかな笑み。
ヨミ姐の温かな眼差し。
ひーちゃんの屈託ない声。
セバスの、あの不器用で真っすぐなコメントたち。
「……みんな……」
心がふっと軽くなりかけたその刹那。
再び現れた彩花の冷笑が、幻のようなファミリーの姿を一瞬でかき消す。
安心なんて、なかった。
居場所なんて、やっぱり──ない?
ミィコは静かに涙を流していた。夢の中でさえ、笑えなかった。
目が覚める直前、その唇が微かに動いた。
「……助けて……」
──それは、誰に向けた声だったのだろうか。
#夢の中 #バンドの記憶 #StellarVox #裏切りの記憶 #孤独 #ミィコの過去 #彩花と美咲 #ファミリーの絆 #悪夢再来 #心の傷
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!