テラーノベル
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ここは、カリスマハウスのリビング。カリスマの8人はリビングで和気藹々と話している。何気ない話に花を咲かせている中、自愛のカリスマであるテラが口を開い
「そういえばさ、深夜に1階から物音が聞こえてくるんだけど、皆何か心当たりある?」
カリスマ達は、まず正邪のカリスマの伊藤ふみやを疑う。きっと、皆が寝静まっている深夜に、住人の菓子を食おうとしているのだろうと考えたのだが、ふみやは首を振る。
性のカリスマの天堂天彦はテラに「何時頃だったんですか」と聞くと、テラは「2時くらいじゃない」と曖昧に答える。2時という言葉を耳にした秩序のカリスマの草薙理解は声を荒らげた。
「2時だと!?とんでもない極悪人じゃないですか!!理解お兄さん信じらんない!!」
理解がこの反応になるのは、無理もない。理解は夜の9時には既に布団の中に入っている。なので、理解からすれば、2時に起きているのはとんでもない極悪人なのだ。
その物音の話題にカリスマ達は呑み込まれ、犯人探しが始まる中で、元スパイであった虎姫柊が水を差した。
「あ、あの……関係無いかもしれないんですけど、皆さん102に入ったことありますか?」
102というのは、ドアが開かないという、彼らの中ではあるのが不思議な部屋だ。そんな部屋に入ったことがあるかと投げかけられるカリスマ達は首を傾げ、反発のカリスマの猿川慧は頭をガシガシとかきながら口を開く。
「入るも何も、あそこは入れねぇだろ。」
「で、ですよね。ですが、僕が夜中に目が覚めてしまい、水を飲もうと1階に降りた時に、102の前に誰か居たんですよ。」
「「「「「「「はぁ!?」」」」」」」
誰かが居たと聞いたカリスマ達は虎姫に詰め寄った。
「なんでそれを早く言わなかったの!?」
「す、すみません……。皆さんの誰かだと思ってたので……」
「ねぇ虎さん。その人はどんな動きをしてたか覚えてる?」
服従のカリスマである本橋依央利がその質問を投げかけると、虎姫は少し首を傾げてから答えた。
「暗かったので、ハッキリとは分からないんですけど、立ち上がって、しゃがむ動作をずっと繰り返してたと思います。なんだか不気味だったので、水を飲まずに部屋に戻りました。」
「え〜怖っ、もしかしてテラくんが聞いた物音って102からのってこと?」
「そういえば……」
「ん?おばけくんも何か知ってる?」
内罰のカリスマの湊大瀬は少し俯き、首を横に振る。
「いえ、102って確か猿川さんの向かいの部屋だったのを思い出しまして」
「はぁ!?おい大瀬!余計な事言ってんじゃねぇぞ!!」
「ごめんなさい」
「はは、慧ドンマイ。」
「はぁ?全然怖くねぇ。むしろかかってこいや。ぶっ潰す」
「安心しろ猿。幽霊なんてもの存在するはずないだろう。科学的に考えて存在するはずないんだ。そんなものを信じてるなんてお気楽だな。」
「んだとテメェ!!」
猿川と理解が火花をバチバチと散らしていると、ふみやがファミリーパックのアイスを1口すくい、咀嚼した後で「それじゃあ、俺たちでそいつの正体を突き止めようぜ」と切り出した。その提案に、理解以外のメンバーは賛同し、深夜の2時頃にハウスのリビングに集合することになった。
只今の時刻は、AM2:00。ハウスのリビングには、理解以外のカリスマが集まり、ふみやはソファに横になり、寝息を立てている。テラは「言い出しっぺが寝てどうすんじゃい」と文句を言い、天彦は「セクシーでいいじゃないですか」と笑みを浮かべながらブランケットを掛けた。
「ってかよ、なんで電気つけねーんだよ。暗いだろうが」
「猿ちゃん、僕らは物音の正体にバレたらマズイから真夜中に集まったんだよ?僕らがいるって分かったら現れないよ。」
「猿川くんお化けだけじゃなくて真っ暗も怖いんだよね〜」
「全然怖くねぇ、」
「……あの、バレないようにするのなら、声も抑えた方がいいのでは?」
「それもそうだね、猿川くん。絶対静かにしちゃダメだよ?」
テラの一言で、猿川は一言も喋らなくなり、沈黙が続く。そんな中で、虎姫は庭に続く窓を開け、庭を凝視する。しばらく凝視した後、短い悲鳴を上げ、後ろに転けた。カリスマ達は虎姫のそばに駆け寄り、何があったのかを聞く。
「虎!!どうした!?」
「大丈夫ですか?」
「い、いました……。102の窓から中に入っていきました!!」
猿川、テラ、天彦は驚きを顕にしていたが、依央利と大瀬は眉間に皺を寄せて首を傾げて、依央利が虎姫に投げかける。
「えっ、本当に102から入ったの?」
「本当にってどういうことなんですか?」
天彦が聞くと、依央利は少し困惑しながらわけを話した。
「この前、大瀬さんと102の窓だけはめ殺し窓になってて開かないから不思議だよねって話をしてたんです。ですよね、大瀬さん。」
「はい、なので102の部屋から入るっていうのは有り得ないんです。」
「それなら、虎の見間違えじゃねぇか?」
「いえ!はっきりとは見えてないんですけど、黒い影が中に入っていくのを僕は見たんです!」
虎姫は首と一緒にウェーブのかかった髪を横に揺らす。更に謎が深まり、頭を悩ませるカリスマ達だったが、大瀬が目を見開かせ、「あっ」と声を上げた。
「もう今度は何お化けくん!」
「あ、あの……102の部屋じゃないのなら、隣の部屋から入った可能性もありますよね?」
102の隣の部屋は101で、理解の部屋である。それに気付いたカリスマ達は理解が何者かに襲われているかもしれないと思い、早速101へ駆けて行った。6人が慌てている中、ふみやはすやすやと眠っていたので、天彦がふみやをお姫様抱っこして、101へ行った。
101の部屋の扉を猿川が蹴破り、7人が一斉に理解の部屋になだれ込む。扉を蹴破る音で、理解も流石に目が覚め、理解がいつも首から下げているホイッスルを手に取り、勢いよく吹く。
「うるっせぇんだよ貴様らぁ!!!今何時かわかるかこの愚か者共め!!!深夜だよ!?深夜の2時30分!!良い子はもう寝る時間だぞ!!!早く寝ろ馬鹿!!」
「えっ?理解君、何ともないの?」
「は?なんともありませんよ。9時にinオフトゥンしてましたので。全く、夜の話のことでまだ盛り上がってるんですか。馬鹿馬鹿しい。」
「ほ、本当に何にもないんだな?理解」
「さっきも言っただろう。分かったら早く寝てくださいよ皆さん。ただでさえジャングルのようにやかましいんだから寝る時間くらいはしっかりしなさいよ……」
「分かりました、今度は理解さんのセクシーな寝顔を見に行きますね。」
「やめてください。」
そして理解は部屋の扉を閉め、眠りについた。そんな中、虎姫は本当に自分が見間違えただけだった事に罪悪感を抱き、溜め息をついた。
「なんだ、結局虎さんの見間違えだったじゃん」
「心配して損したぜ」
「本当にね〜」
「す、すみません……」
「ま、まぁまぁ、理解さんに何も無くてよかったじゃないですか。」
天彦がなだめて、リビングに戻ろうとした時、102から金属がぶつかり、床に落ちるような重い音がカリスマ達の鼓膜を撫で、勢いよくカリスマ達は振り向き、102の部屋へ向かう。
確かに102の部屋には扉があるものの、ドアノブを捻っても開かなかった。猿川が蹴ってもビクともしない。そこで天彦とテラは顔を合わせて、頷いた。
「一か八かやってみよう、ビューティ」
「そうだね、セクシー。くらえ!ビューティービィィィム!!!」
「セクシーアタァァァック!!」
謎のビームとアタックには、扉も耐えられずに倒れてしまった。猿川は「お前ら本当になんなんだよ」とツッコミを入れる。
102の部屋が露となり、中から「はぁ!?えっ何!?何が起きた!?」と高めの男性らしき声が聞こえてきた。
その声の主はボサボサ気味の赤髪に、赤いパーカーに黒ジャージの奇抜な青年だった。
「あ、貴方は!!」
「えっ、いおくん知ってるの?」
「知ってるって言うか……」
依央利が答える前に、ふみやの目が覚め、赤髪の青年の前に立ち、「調子どう」と話しかける。赤髪の青年は呆れながらも口を開いた。
「一応はめ殺し窓から、他の部屋と同じ窓につけ直しは出来たぜ。」
「へぇ、本当にDIY好きなんだね千秋。」
「まぁな。初めてだったけど楽しく出来たからありがとね、ふみやクン。」
「「「「「「おいおいおい」」」」」」
千秋とふみやが何気なく会話していると、カリスマ達がふみやに詰め寄る。
「ねぇ伊藤ふみや?普通に会話してるけど、本当にこの人は何?誰?なんで彼は普通にここに居て、勝手に家を改造してんの?」
「セクシーではありませんね」
「どういうつもりですかふみやさん。あまりふざけてると喉掻き切りますよ。」
「ほんとに何考えてんのお前」
千秋は、詰められているふみやを見て、ある違和感を覚え、「あの」と2文字をこぼした。
「もしかして、ふみやクンから何も聞いてません?ジブンてっきり、皆さん知っているものだとばかり……」
「「「「「「ううん、初耳」」」」」」
赤髪の青年は肺が無くなりそうなほどの溜め息を吐いたあと、見えない速さで土下座をカリスマ達の前でした。
「ホンッットにお騒がせしてしまい、申し訳ありませんでした!!!!」
「はは、こんな早い土下座見たの俺初めて。ウケんね」
「お前がウケんな」
「とりあえず、頭をあげてください。そして、貴方は本当に誰なんですか?」
虎姫が顔面をフローリングに擦り付けている千秋に問いかけると、千秋は額に擦り傷を作り、血を流しながら頭を上げて、こうなってしまった経緯を零した。
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