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「……え、これ、本当に俺がやったの……?」
凪は、呆然と自分の右手を見つめた。
そして、その手が作り出した「惨状」に視線を戻す。
目の前の潔は、もはやアスリートの面影など一欠片もなかった。
熱に浮かされたように顔は真っ赤に上気し、焦点の合わない瞳からは涙がこぼれ続け、枕は涎でぐっしょりと濡れている。
「……は、……ぁ、……っ、……ふ、……」
喉の奥から漏れるのは、掠れた、甘い、熱い吐息だけ。
凪の心臓がドクン、と大きく跳ねた。
いつもは「めんどくさい」が口癖の天才が、生まれて初めて「愛おしさ」という名の、逃げ場のない暴力的な感情に襲われる。
「……潔。……ねぇ、潔」
凪は姿勢を立て直し、ふにゃふにゃになった潔の身体をそっと抱き上げた。
潔の首筋は驚くほど熱く、脈拍は異常な速さで打っている。腕の中に収まった潔の、あまりにも「トロトロ」になった無防備な顔。
そのあまりの可愛さに、凪の耳までが真っ赤に染まった。
「……やりすぎた。……ごめん、潔。……可愛すぎて、手が止まらなかったのかも……」
自分が寝ていたという事実さえ疑わしくなるほど、目の前の潔は「自分だけのもの」として完成されていた。
潔の指先が、力なく凪の腕を掴もうとして空を切る。その無力な姿が、凪の中の独占欲を静かに、けれど深く刺激した。
「……汗、すごいよ。……このままじゃ風邪引く」
潔はもはや、凪が何を言っているのか理解できていない。ただ、凪に抱きしめられている安心感と、身体に残る痺れるような残響の中で、虚ろな瞳を彷徨わせている。
凪は、潔の濡れたトレーニングウェアのボタンを一つずつ、慎重に外していった。
あらわになった潔の肌は、凪の指が触れていた場所を中心に、赤く腫れ上がり、痛々しいほどに敏感になっていた。
「……ん、……ぁ、……っ…………」
肌に空気が触れるだけで、潔の腰がピクンと跳ねる。
そのたびに、凪は「ごめん……」と呟きながら、清潔なタオルで潔の身体を丁寧に拭き、新しいシャツに袖を通していく。
着替えさせる間、潔の身体は何度も凪の腕の中で小さく痙攣した。
そのたびに、凪は潔の額を自分の額にこっそり重ね、赤くなった顔を隠すようにして、壊れ物を扱うような手つきで潔を整えていく。
「……よし。……綺麗になったよ、潔」
ようやく新しいウェアに着替えさせると、凪は潔をベッドの中央にそっと横たえ、自分もその隣に滑り込んだ。
潔はもはや喋る気力も残っていないのか、凪の胸元に顔を埋め、「……ん、……ふ、……っ」と、小さな寝息のような吐息を漏らし始めた。
「……おやすみ、潔。……明日、玲王に殺されるかもしれないけど……今は、俺だけのもの」
凪は、まだ熱を帯びている潔の髪を優しく撫でながら、朝日が昇り始めるブルーロックの部屋で、最高に愛おしい「獲物」を腕の中に閉じ込めるのだった。
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