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#高校生
第64話 「名門の意地」
2022年7月。
夏の福岡大会準決勝。
柳城高校―博多学院高校。
博多学院。
福岡屈指の名門。
春の県大会王者。
今大会でも優勝候補の一角だった。
球場は超満員。
報道陣も多い。
事実上の決勝戦。
そんな声も聞こえていた。
試合開始。
初回から緊迫した展開になる。
博多学院のエースは二年生左腕。
切れ味鋭い変化球を武器にしていた。
柳城打線はなかなか攻略できない。
一方。
塁も負けていなかった。
三回まで無安打。
両投手譲らず。
0対0。
試合は投手戦になった。
五回。
均衡が破れる。
博多学院の四番。
レフト線への二塁打。
続く五番のタイムリー。
0対1。
柳城が先制を許す。
スタンドが沸く。
今大会初めて。
柳城は追いかける展開になった。
ベンチ。
誰も慌てない。
福間監督も動かない。
「まだ五回です」
それだけだった。
六回。
先頭の史陽が出塁。
送りバント。
一死二塁。
佐伯が粘る。
フルカウント。
そして。
センター前ヒット。
同点。
1対1。
柳城ベンチが盛り上がる。
しかし博多学院も引かない。
七回。
一死満塁。
最大のピンチ。
球場全体が博多学院の流れだった。
打席は主砲。
誰もが長打を予想した。
だが。
塁が投じた一球。
鋭いライナー。
史陽が飛びつく。
捕った。
そのまま二塁へ送球。
ダブルプレー。
チェンジ。
柳城最大の危機を脱する。
スタンドがどよめいた。
八回。
流れが変わる。
二死一塁。
打席には塁。
初球。
振り抜く。
打球は右中間を破る。
勝ち越しのタイムリー三塁打。
2対1。
柳城逆転。
ベンチが総立ちになる。
九回裏。
博多学院最後の攻撃。
二死。
ランナーなし。
最後の打者。
塁が振りかぶる。
投げた。
ストライク。
空振り三振。
ゲームセット。
柳城高校2対1博多学院高校。
接戦だった。
どちらが勝ってもおかしくなかった。
試合後。
博多学院の選手たちは涙を流す。
三年生の夏が終わった。
柳城ナインは整列する。
深く礼をした。
相手への敬意だった。
甲子園まであと一勝。
しかし。
次の相手は最大のライバル。
九州第一高校。
春の県大会準優勝。
昨年から何度も名勝負を繰り広げてきた宿敵。
その夜。
おっちゃんの店。
店内は大盛り上がりだった。
だが福間監督だけは静かだった。
「監督、あと一勝ですね」
常連客が言う。
福間監督は頷く。
そして小さく答えた。
「一番難しい一勝です」
誰も反論できなかった。
甲子園への切符は一枚だけ。
夏の決勝戦が始まろうとしていた。
第65話 終
コメント
2件

そう言ってもらうと凄く嬉しいです😊
もうマジで第64話やばかったよ…………!!😭💕💕 投手戦から始まって、先制許したときは「やばいやばい」ってなったけど、史陽と佐伯の連携で同点、塁のダブルプレーでピンチ脱出したシーンはマジで心臓止まるかと思った…!しかもその後の逆転タイムリーとか完全に主人公ムーブやん??🔥 そして試合後の博多学院への敬意、柳城ナインの礼…そういうとこだぞ柳城…好きすぎる…💖 「甲子園まであと一勝」なのに福間監督が「一番難しい一勝」って言うのがもう胸にグッときた。次の決勝、九州第一との宿敵対決絶対読む!早く続きください天海先生!!!🙏📚