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#高校生
第65話 「福岡の頂点」
2022年7月。
夏の福岡大会決勝。
柳城高校―九州第一高校。
甲子園への切符は一枚。
負ければ終わり。
勝てば甲子園。
球場は超満員だった。
昨年から続く因縁。
柳城と九州第一。
福岡最高峰の対決だった。
試合前。
整列する両チーム。
九州第一の主将が佐伯を見る。
佐伯も見返す。
言葉はない。
もう十分に戦ってきた相手だった。
試合開始。
初回。
九州第一が攻める。
ヒット。
送りバント。
二死三塁。
いきなりのピンチ。
だが塁が踏ん張る。
空振り三振。
無失点。
スタンドから大きな拍手が起きた。
三回。
試合が動く。
史陽がヒットで出塁。
盗塁成功。
一死二塁。
打席は佐伯。
センター前。
柳城先制。
1対0。
ベンチが盛り上がる。
しかし九州第一も強かった。
五回。
連打で一死一、三塁。
スクイズ成功。
1対1。
同点。
試合は振り出しに戻る。
七回。
再び柳城のチャンス。
二死二塁。
打席は塁。
九州第一ベンチは敬遠も考えた。
だが勝負を選ぶ。
三球目。
鋭い打球が三遊間を抜ける。
勝ち越しタイムリー。
2対1。
柳城リード。
九州第一も最後まで諦めない。
九回裏。
2対1。
柳城リード。
二死二塁。
一打同点。
打席は九州第一の四番。
球場全体が静まる。
塁は深呼吸する。
史陽がショートから声を掛ける。
「一本や!」
塁が頷く。
そして投げた。
高めのストレート。
振った。
打球は高く上がる。
ショートフライ。
史陽が落下点へ入る。
グラブに収まった。
ゲームセット。
柳城高校2対1九州第一高校。
優勝。
甲子園出場。
選手たちがマウンドへ駆け寄る。
塁の元へ。
史陽が真っ先に飛びついた。
歓喜の輪が広がる。
スタンドでは保護者たちが泣いていた。
おっちゃんも。
おばちゃんも。
涙を拭いていた。
表彰式。
優勝旗を受け取る佐伯。
昨年。
甲子園準優勝。
春。
センバツ優勝。
そして夏。
再び甲子園への切符を掴んだ。
だが。
福間監督は静かだった。
表彰式の後。
選手たちを集める。
「おめでとう」
まずそう言った。
そして続ける。
「ここからが本番です」
選手たちは頷く。
誰も浮かれてはいなかった。
甲子園。
昨夏は準優勝。
今年の春は優勝。
次の目標は一つ。
春夏連覇。
全国制覇。
福岡の頂点に立った柳城。
その視線はすでに甲子園へ向いていた。
第66話 終
コメント
1件
第65話、お疲れ様でした!福岡大会決勝、めっちゃ熱かったです。柳城と九州第一の因縁の対決、1-0の先制から追いつかれての2-1、九回裏二死二塁の場面で塁が投げて史陽が取る最後のアウト、もう手に汗握りました。表彰式後に福間監督が「ここからが本番」と言ったのもグッときましたね。優勝したのに浮かれてない柳城、春夏連覇に向けてこのチームなら行ける気がします!