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17 ◇正義が満島まほりと付き合い始めてから早、9か月目
満島まほりと付き合い始めてから早、9か月目くらいになるだろうか。
それはつい最近のようにも思えるし、ずっと以前からからのようにも思えた。
それまでも正義は健康な子供にも恵まれ、美しい妻は、共働きで家計も支えてくれ、
仕事に家事に子育てにと奮闘してくれて、文句つけようのない結婚生活を手に入れる
ことができ、とても幸せだった。
だが、家庭生活が落ち着いた頃、まほりと関わりができたことで独身でしか
味わえないはずのウキウキドキドキ感まで手に入れることができ、
幸福度MAXの 生活を送ることになる。
妻に見つかってしまったが、最後の一線は超えていないのだから
まほりとの現在の付き合いを止める必要はないと思った。
いくら妻でも、一個人の楽しみを奪う権利などないはずだからだ。
賭け事をしたり、借金をしているわけでもない。
モラハラしたり暴力ふるったりもしていない。
これまで休日には料理を作ったり、子守をしたりと家庭サービスにも励んできた。
たまたま若い子との個人的な繋がりができ、その子との楽しい時間を──
それも仕事と家庭との狭間で残った時間を使ってのことだ。
それだけに溺れているわけでもなく、妻さえ少し目を瞑ってくれればいいじゃないか、
そんな風に正義は考えた。
『まほりとの時間はスキマ時間を使っているのだから』
という大義名分が正義の中にはあった。
だが、まほりとの──
脳を溶かし潤いのある時間に溺れ過ぎていることには気付かなかった。
……というより、見ない振りをしているのかもしれなかった。
休日の子供たちとの時間、妻と語らう時間、そんなささやかだが家庭の一員と
しての大事な時間をどんどんなくしていることに意識が向くことはなかった。
妻の由香がふたりの寝室から出て行った後でさえ……。